取り敢えず打ち破ろうか 219 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

此処が里だと忘れてしまうほど

楽しい一時を過ごした

このまま本家邸に泊まろうと考えていたら

御前は甘くなかった

 

「大切な儀式が控えております

 無事その日を迎えられるよう

 離れでゆっくり体を休めて頂きたく存じます」 

 

笑みを湛えているにもかかわらず

有無を言わさない圧を感じて

渋々承諾せざるを得なかった

ここで無理を言ったら

本家邸に出入りできなくなる

それくらいは言いそうな勢い

 

そして、御前は画伯にも同じように

 

「見極める者は

 長の傍で支えるのが役目

 大事の前、気を引き締め

 本分を忘れてはいけない」

 

一緒に戻る様に伝えた

ここは外の世界ではなく

紛れもなく蒼穹の里

 

 

画伯は御前の言葉を真摯に受け止め

 

「御前、浮かれておりました

 私は私の役目を全うさせていただきます

 長、離れに戻りましょう」

 

御前に返事をした後

綾野君たちに目配せをして

俺の少し後ろに控えた

 

「楽しい時間を過ごすことが出来た

 偏に御前と本家の皆のお陰

 感謝する」

 

「恐悦至極でございます

 その言葉だけで本家の者の

 励みとなります」

 

無礼講と言っても

最後はきちんと締めないといけない

これが里(国)を率いると言う事なのだ

今まで以上に気を引き締めないと

 

翔の顔を見ると

笑みを浮かべて頷いてくれた

 

「長のお帰りでございます

 皆様その場でお控えください」

 

綾野君の言葉で

広間に居た者すべてが

頭を下げて見送ってくれた

(いつまでたっても慣れない)

 

廊下に出ると小瀧も控えて待っていた

 

「なんだか外に放り出された気分(笑)

 もう少し一緒に居たかったな ・・・」

 

ぼそっと呟くと

画伯が優しく背中に触れ

 

「楽しい時間だから余計だな

 その気持ちは分かる

 でも、君は一族を率いる長

 本家との距離が近すぎてもいけない

 御前の判断は正しい

 ただし、径君は別だ

 「長は里に在り」を実践するなら

 径君として一族の者たちと接すればいい」

 

それは分かってる

でも ・・・ 本家との距離が遠いのは寂しい

 

「儀式が終わり

 真の長になられたら

 どこにでも行けます

 その事を忘れておいでですか?」

 

綾野君がにこやかな顔で俺の顔を見た

 

「忘れてるようだよ(笑)

 美術館の修復師として

 どこにでも行けるよ

 俺の所にも来てくれるだろ?」

 

画伯がさっきとは打って変わって

砕けた言葉で話してくれる

 

「そうだった ・・・

 どこにでも行けるんだ ・・・」

 

「先輩、忘れてたんですね

 一番大事なことですよ」

 

小瀧までもがくすくす笑う

 

その為の儀式だ ・・・

肝心なことを忘れていた

 

 

「まずは画伯に会いに行きますよ」

 

「それは楽しみだ

 美味しい料理と酒を用意して

 翔と二人で待ってるから

 二人で遊びに来て」

 

「ええ、日向ぼっこ同好会の一員になるために

 海のアトリエに行きますね」

 

約束が出来ることが

こんなに嬉しい事なんだと

改めて実感する

 

 

 

 

 

 

<続きます>