取り敢えず打ち破ろうか 184 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

二人に贈られた皿には

見事な梅の花が咲いていた

 

「じょうちゃんがいろをつけたうめだ」

 

さとち君の言葉に画伯が大きく頷いて

 

「モノトーンからカラーに

 画題を決めたのが上ちゃん

 絵付け色付けしたのが若ちゃんだ」

 

「ちゃんと さとしょうっちぇ 

 かいちぇあるよ」

 

裏を覗き込んださとち君が

満面の笑みを浮かべた

 

「この梅は ・・・ 

 大櫻酒造の庭の庵の傍にあるんです」

 

「庵から見える梅は本当に綺麗で ・・・

 俺たちの取っても大事な梅です」

 

二人の話す顔を見てたら

4人にとって思い出深い梅なのが分かる

 

「梅は別名を春告草と言う

 その梅に春告鳥のウグイスが二羽 

 縁起がいいじゃねえか」

 

豆屋さん、この絵を描いてる若ちゃんを

眺めてたんだろうな ・・・

 

「二人の想いに

 胸が熱くなってきます

 最高の作品を見せて頂き

 眼福でございます」

 

現当主が胸がいっぱいと言う顔をする

上ちゃんの末裔が

守り続けてくれたから

今の時代まで伝わったんだ

何かお礼をしないと ・・・

 

その時、蒼ちゃんが

大きな風呂敷包みを当主の前に置いた

 

「これは何でしょうか?」

 

「蒼灯から預かった器です

 作ったのは智翔の二人です

 貴方に渡して欲しいと」

 

「私にですか?」

 

目をまん丸くして固まった現当主

 

「ええ、上毛屋の蔵に収めると

 現当主は智翔の作品だと言って

 公表してしまうだろうから

 蒼灯に託くしたようだ」

 

「家の蔵に入っていた

 ご当主とは面識がないので

 骨董屋に届けてもらおうと託したんだが

 俺も一緒に来ることが出来てしまった

 智翔の器は公表せずに使って欲しいそうだ

 あの二人はご当主の事を大事に思っているよ

 世話を掛けて申し訳ない

 せめてもの感謝の印だそうだ」

 

豆屋さんの言葉に

ご当主の瞳が潤んでいるように見えた

 

「滅相もございません

 これだけの物を残していただき

 それだけで十分ですのに ・・・

 私宛に器を ・・・」

 

「お茶を嗜まれるのですよね」

 

「ほんの少しでございますが ・・・」

 

「では、その時お使いください」

 

蒼さんが風呂敷包みを解き

桐の箱から出てきたのは『赤楽茶碗』

 

「東雲の空を写したと言ってた ・・・

 彼奴は陶芸の才も有った(笑)

 器は二人で拵えているよ」

 

「私共の家宝に致します ・・・

 ありがとうございます」

 

「ふたりともきこえちぇる?

 みんな うれちいって!」

 

さとち君の声が2人に届いてるといいな ・・・

 

 

「益々、江戸に行きたくなってきた ・・・」

 

貴方がぼそっと呟く

 

「絶対に二人ではいけないんだよ

 それでも行きたいの?」

 

多分、二人ではいけない ・・・

となると俺は留守番だ ・・・

それはかなり寂しい ・・・

 

「行きたいよ

 だって、跳んだ時間に帰ってくるから

 お前は寂しくないだろ?」

 

「ああ、そうか ・・・ 

 そうだね」

 

じゃあ良いのか ・・・

 

「サクちゃん、帰ってこないかもよ」

 

画伯が俺の耳元で囁く

 

「それは大丈夫です

 信じてますから」

 

「なら、行けるな(笑)」

 

画伯がにっこり笑って

貴方の肩を叩いた

 

 

 

 

 

<続きます>