取り敢えず打ち破ろうか 179 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

露地門を抜けると

木々に囲まれた庭に着いた

 

「月見亭だ!」

 

雑貨屋さんが興奮した声をあげる 

 

「月見亭?」

 

「上毛屋の庭にあった

 月を見るための月見亭

 まさか当時の趣のまま残ってるなんて ・・・」

 

信じられないって顔をする

 

「ここはあの二人が晩年暮らした場所なんだ

 上ちゃんは、この地に移築したいと言ったけど

 若ちゃんが月見亭は上毛屋に在るべきと

 それに反対しそのままとなった

 文明開化の頃、上毛屋は財閥となり

 古い建物を壊し

 立派な洋風建築の百貨店を建てた

 その時、月見亭をどうするかとなり

 若ちゃんの弟の末裔がそれを聞き

 月見亭を移築したんだ」

 

「和也さんの末裔が ・・・

 きっと、代々伝えられてたんでしょうね」

 

「そうだろうな ・・・

 その後、この国も色々あった ・・・

 時代が変われば人も考え方も変わる

 15年ほど前、この月見亭は

 建物博物館へ移築が決まった

 維持するのも大変だからな ・・・

 それを聞いた上毛屋の現当主が

 今度は自分の番だと言って

 この地に移したいと打診し実現した」

 

「漸く上ちゃんの願いが叶ったんだ(笑)

 ただ ・・・ あの石の橋がないのが寂しい」

 

「それは仕方ないな

 石橋まで移築は出来ないから」

 

二人の会話を聞きながら

当時の上毛屋の庭がどれほどのものだったかに

想いを馳せてしまう ・・・

ますます行ってみたいと思う

(行けたらいいな)

 

月見亭の障子が開けられて

中が見えるようになっていた

 

「中に入れてもらえるかな?」

 

「見学はさせてくれるはずだ 

 あの建物、重要文化財に指定されてて

 年に2回、短期間だけど公開してるらしい」

 

「画伯はあそこで寝泊まりしたんですよね」

 

「ああ、あそこで寝泊まりした

 夏だったから ・・・

 障子を開けて寝ると

 涼しすぎて(笑)」

 

当時は今よりも涼しかったと

資料にも乗ってたけど

開けっ放しで寝たら蚊に刺されてしまう

多分、庭木が多いから余計に ・・・

 

「虫に刺されなかった?」

 

「そこは蚊帳があるから

 蚊帳の中は快適だったよ」

 

「蚊帳ってそんな昔からあるの?」

 

それは知らなかった ・・・

明治に入ってからの物だとばかり ・・・

 

「蚊帳の歴史は古いはず

 江戸の時代には有ったから」

 

「ああ、江戸西川家は美声の男たちを雇って

 お洒落な半纏を着せ町中を颯爽と

 「蚊帳~ 萌黄の蚊帳~!」って言って

 売り歩いたんだよ」

 

「豆屋さんが言うと説得力がありますね

 そうだ、雑貨屋さんが来てないけど」

 

「雑貨屋は今日は運転手なんだ

 大事な器を持ってくる二人の

 そろそろ来るんじゃないかな」

 

有名な二人の事かな?

 

「翔たちは?」

 

「あの二人も運転手(笑)」

 

「誰の?」

 

「蒼ちゃんとチビちゃんだよ

 集合場所は屋敷の玄関」

 

「俺たちはどうするの?」

 

いきなり庭に現れたら

それこそ不法侵入になる 

 

「玄関前に行くよ

 先に月見亭を見せてやりたかったの(笑)」

 

また露地門をくぐるのかと思ったら

なんと、庭を通り抜け

門を開けて外に出た

 

扉の閂は内側にあるから

出られるけど

そこまで勝手していいのかな

ちょっと心配になったけど

騒ぎになっていないから良いのか(笑)

 

やっと翔に会える

画伯も相当嬉しいのか

満面の笑みを浮かべてた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>