取り敢えず打ち破ろうか 175 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

確かに公衆電話からだと

出るのを躊躇ってしまうけれど

この時間での「公衆電話」には意味がある

きっと電話室から掛けてるはず

俺は直ぐに公衆電話の番号をメモして

直ぐに渡せるようスタンバイする

 

半信半疑の翔兄は

怪訝な表情を崩さないまま

携帯の画面をタップした

 

「はい、さく ・・・」

名乗ろうとしてすぐに

 

「さとしくん!」

 

と嬉しそうな声に変わった

ほらね、幸せの公衆電話だったでしょ

手にしたメモを翔兄に手渡そうと

近くまで行くと

 

「翔、間違い電話をして欲しい

 事務室の電話の前で待ってる

 伝えたからな!」

 

え? ・・・ 俺にも幸せのおすそ分け ・・・

 

「ありがとう!

 翔兄、画伯が使ってる公衆電話の電話番号

 掛け直してあげて」

 

早口で言って

開いてるほうの手のひらに握らせ

俺は急いでローテーブルの上の携帯を手にして

寝室(ゲストルーム)に向かう

 

会ったのは去年の11月だっけ?

2か月近く声も聴いていない ・・・

(俺にとっては一年くらい経ってる気がする) 

逸る気持ちを抑えながら

ゆっくり深呼吸 ・・・

さて、どんな間違いをしようかな

 

ゆっくり画面をタップして

コール音が鳴るのを聞く

電話に出ても名乗らないのが里

 

「はい」

 

「もしもし、そちら ・・・

 夢屋さんですか?」

 

夢のような出来事だから

思いついたのはこの言葉

 

「こちらは現屋でございます

 お間違いではありませんか?」

 

俺の大好きな人が

弾んだ声で訂正する

 

夢現か ・・・ これは夢じゃないって事だよね

 

「間違ってないよ

 智君 ・・・ 声が聞けて嬉しい」

 

「俺も嬉しいよ、元気で何より(笑)

 豆屋さんから二人の話は聞いてるから

 久しぶりって気はしないけど」

 

「どんな話を聞いても

 顔は見れないし声も聞けないんだよ

 久しぶりは久しぶりだし

 ものすご~く寂しかったんだけど」

 

そんな簡単に会えないのは分かり切った事だけど

声が聴けないのは正直辛かった

 

「それは俺も寂しかったよ

 声が聴けないって

 こんなに辛いんだって思い知った」

 

「良かった、同じように感じてくれてて

 寂しくなかったって言われたら

 目も当てられない」

 

ちょっと拗ねた声で言ってみた

だって、言いそうだし ・・・

 

「言わないよ

 俺はいつも素直だけど」

 

「ふふ ・・・ 元気だった?」

 

「画伯がいてくれて心強かったよ

 一人だったら

 とてもじゃないけど音を上げてた

 改革って難しいな」

 

少し疲れた声をしてる

 

今までは神輿の上にだけ載っていた長が

一族の先頭歩く真の長になり

里を改革していくのだから

並大抵の力ではないはず

 

「画伯の力あってこそだよ

 俺たちの兄貴は二人とも頼りになる」

 

「うん、頼りになる兄貴だよ」

 

「そう言えば翔兄 ・・・

 ふふ ・・・ 公衆電話に驚いてたよ」

 

「やっぱり?

 ちょっと狙ったんだ

 慌てる翔兄を思い浮かべながら(笑)」

 

悪戯が成功した少年の様な声で

可笑しそうに笑うんだ

離れてる間にまた一つ

貴方の魅力が加わったような気がする

何処までのも素敵な人なんだから

 

「最初は公衆電話?って怪訝な顔して

 電話に出たのに

 すぐだよすぐ!

 最近で一番嬉しそうな声を出して

 叫んでたから」

 

「あはは ・・・ 翔兄には感謝してる

 俺たちに付き合ってくれて ・・・

 毎日、大変だったんじゃないの?」

 

「まあ、最初の頃は大変だった

 毎日電話したいって言ってたから ・・・

 それでもO国に行ってからは変わったな

 しょ~やんさんが親友になったみたいだ」

 

「風ちゃんと画伯も仲がいいから

 必然的にそうなるよね」

 

「話したいことが沢山あるんだ

 江戸の話とか ・・・」

 

「それ、狡いよ!

 俺が行きたかったぁ」

 

「ダメなんだって」

 

「なにが?」

 

「向こうに行っても帰りたいって

 思う人しか行けないって」

 

向こうの生活に馴染める人は特に

行かせられない

だって、帰れなくなっても悲しまなさそうし ・・・

 

「俺は帰ってくるよ

 だって、お前が居るのに

 向こうに残るなんて無理!」

 

いつになく素直な貴方に

ちょっと感動してしまう

 

「貴方がそう言ってくれて

 ものすごく嬉しい!

 俺もそうだから」

 

「今度ゆっくり話してよ

 江戸での生活」

 

「勿論!一日じゃ足りないから」

 

「若ちゃんと蒼灯さんに

 頼んでくれてありがとう

 智翔と蒼灯の作品を翔と見れる

 今から凄く楽しみなんだ」

 

「俺も見ていないから

 そうだ俺が作った器も持って行くね」

 

「うん、楽しみにしてるよ」

 

この調子だと朝まで話してしまいそう ・・・

そこはぐっと我慢しないと

 

「話は尽きないけど

 事務室は寒いでしょ?

 あと数日で会えるから

 今日はここまでにする?」

 

貴方が話したいと言ったら

もう少しいいかな?

 

「もう切るの?

 もうちょっちょだけ話そう!

 画伯も話してると思うから」

 

不服そうな声が返ってくる

これもまた新鮮

いつもは俺の方がごねるのに ・・・

 

「暖かくしてる?」

 

「毛布に包まってる」

 

「じゃあ、もう少しね」

 

俺達はその後

30分くらい他愛のない話をした

 

リビングに戻ると

翔兄も丁度電話を切るところだった

 

 

これは二人で祝杯をあげれそうだな

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>