取り敢えず打ち破ろうか 167 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

カンテラは古き良き時代の喫茶店

朝は7時半には開店している

殆どがモーニングセットの注文

珈琲、紅茶のどちらかに

トースト、ゆで卵・サラダの

ワンプレートが付く

お値段は珈琲の値段のみ

(かなり格安)

だから、一番混雑してるのが朝

それも9時過ぎまでで

ランチタイムまで暇になる

 

一段落ついた10時過ぎ

珈琲を淹れてひと息つく

 

「直人さん、昔は店をほっぽり出して

 出かけてたって聞いたけど本当?」

 

しょっちゅう店から逃亡してたと

カンちゃんが教えてくれた

 

「有能なバイト君がいただろ

 彼奴目当ての常連客が沢山いたから

 任せて出かけても問題なかった」

 

「想像できないけど ・・・

 確かにカンちゃんなんでも出来るもんね」

 

「ああ、器用だし

 料理を作るのも好きだから」

 

「ふ~ん ・・・

 当時もこんな早くから

 店を開けてたの?」

 

「このスタイルは開店当時から変わってない

 小さい店だから満席でも知れてるよ」

 

居心地がいいお店だから

長居するお客さんが多い

そう言う意味ではゆったりとしてる

(ランチの時は目が回る忙しさだけど)

 

「家は常連客で持ってるようなお店だから」

 

吹けば飛ぶような街の喫茶店だと

言いたげな表情を浮かべ

くすくす笑いながらコーヒーを口にした

 

「よく言うよ

 隠れた名店として有名だし

 辿り着けない人続出の店としても有名」

 

「俺のキャパを考えて

 そうそう辿り着かれても困るな」

 

「儲けにならないじゃん」

 

「そこそこ食っていけてるし

 今のままで良いよ ・・・」

 

欲がないと言うか

ある意味変人だよな ・・・

 

「今度 和菓子も出そうかな ・・・」

 

唐突に言い出す直人さん

 

「ああ、昨日の利休饅頭!

 美味しかったよね

 でも、それだとお茶じゃない?」

 

「抹茶か ・・・

 流石に抹茶は点てるのが難しいな ・・・」

 

翁に教えてもらったけど

点てるのはそこまで大変ではない

(作法が大変なだけで)

 

「煎茶で良いんじゃない?

 例えば玉露とか?」

 

「そうだな ・・・

 それならやれるかもな ・・・」

 

この人も好奇心旺盛で

チャレンジ精神も旺盛

やると言ったらやるかもな ・・・

 

「そうなると器だよね ・・・」

 

「そうだな ・・・」

 

二人してその場合の器を頭に思い浮かべる

俺の場合、すぐに蒼灯さんが浮かんだ

その時、タイミングを計ったように

独特の音を鳴らしながらドアが開き

 

「おじゃまちま~す!」

 

さとち君の声

その声で直人さんの顔が緩んだのが見えた

 

「いらっしゃ~い」

 

二人同時に振り向くと

豆屋さんに抱っこされてるさとち君

 

「豆屋さん ・・・ こんにちは」

 

「こんにちは」

 

「とっても美味しい珈琲

 ありがとうございました

 どうぞお座りください

 さとし君、利休饅頭ご馳走様

 凄く美味しかったよ」

 

「ほんと!よかっちゃね

 まめやしゃん」

 

「ああ、久しぶりに作ったから

 上手くできるか心配だったが

 美味しかったようだな」

 

「うん」

 

嬉しそうに笑う二人が

カンターの椅子に座る

 

「サクちゃん、長からの伝言

 江戸に行ってくれてありがとう!」

 

昨日蒼さんが言ってた

軸と器が発見されたと

知らせに行ってくれたんだ

 

「元気にしてましたか?」

 

「儀式の準備と博物館開館準備と

 忙しそうにしてたが

 とっても元気だったぞ」

 

「何よりです」

 

「珈琲で良いですか?」

 

マスターがカウンターの中に入り

まずは豆屋さんに聞く

 

「ああ、珈琲で」

 

「さとし君は何にする?」

 

「う~ん ・・・ なにがいいかな?

 レモネードにする!」

 

カンテラには花茶がないから

それが一番いいかな 

 

「アップルパイもつけるね」

 

直人さんデレデレだ ・・・

気持ちはわかる(笑)

 

「さて、今日の用件は

 サクちゃんに届け物だよ」

 

豆屋さんが風呂敷包みの箱を

カウンターに置いた

 

「智君からですか?」

 

二人が顔を見合わせて苦笑い

さとち君が頭を振って

 

「あおひしゃんからの

 おとどけものだよ」

 

そう言われてハッとした

 

「もしかして 出来上がったんですか?」

 

「かなり昔に出来上がってるけど(笑)」

 

「250ねん?もうちょっとまえ?」

 

「うん、それれ位前だな」

 

そうなんだけど

俺としては半月ほど前

 

「時代を経て良い味を出してるよ」

 

俺の方に箱を押しやって

『どうぞ』って顔で笑った

 

 

どんな出来栄えなんだろう ・・・

ちょっとワクワクしてきた

 

 

 

 

 

 

<続きます>