取り敢えず打ち破ろうか 166 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

江戸時代にカフェオレボウルはないから

蒼灯さんが考えて「夫婦茶碗」としたのだろう

それにしては大ぶりの茶碗で

(丼茶碗ほどある)

絶対に驚いてたと思う

 

「もう一つは ・・・」

俺がもう一つの袱紗に触れると

 

「勿論『翔』だろうねえ」

間髪入れずに画伯が断言する

 

「絵を描くのが苦手だし

 模様も上手に入れる自信がないと言うから

 それなら字が一番だと

 翁の助言でそうなった

 味のある字で良いんじゃないか」

 

豆屋さんの話から

その時の翔の真剣な顔が目に浮かんでくる

 

「字体がデザインぽく見える

 アートって感じだな」

 

画伯、褒めすぎ(笑)

字体は翔らしい癖のある字だ

多分、紙の上に描いて

貼り付けたのかも?

 

「本来なら表面が乾いた段階で

 字を書くんだが

 そこまで長く居なかっただろ

 だから、彫ると言った方が近いな

 帰るときに色を聞いて

 俺が後で色付けした」

 

「この字は間違いなく彼奴の字です

 上手くはないけど味がある」

 

二つ並べて置いた

それぞれ形が違う

歪と言えばそうだけど

それも味がある

 

「豆屋さんは手を加えてないの?」

 

「色付けのみ

 細かい下処理はしたけど

 ほぼ彼が作ったよ」

 

「サクちゃん作でも年代物だ

 アンテークと言える代物だよ

 二人で大事に使ったらいい」

 

「使うのが勿体ない ・・・

 飾ろうかな ・・・」

 

「この子は長い年月を越えて

 漸く持ち主の所に帰ってきたんだから

 毎日使ってやってよ

 珈琲豆は進呈するから」

 

器は使ってこそ

豆屋さんの言葉だ

 

「そうだよ

 江戸まで行って拵えてきたんだ

 二人で使わないダメ!」

 

どんなに形が歪でも

どんなに字が下手くそでも

最愛のお前が作った物は

俺にとっての宝物

 

 

二人で並んで

この器でカフェオレを飲もうな

 

「はい、大事に使います

 これを翔に届けるんですよね?」

 

「ああ、チビちゃんの皿を届けてから

 サクちゃんのカフェに届ける予定

 伝言があったら預かるよ」

 

伝えたいことは沢山あるけど

それは会って直接伝える

 

「江戸に行ってくれて

 ありがとう

 そう伝えてください」

 

「畏まりました

 器を見せたことは内緒にしとく」

 

「秘密だな」

 

二人が悪戯っ子の様な眼差しで

可笑しそうに笑った

 

「ええ、約束は守ります

 見せてくださり

 ありがとうございました」

 

「そうだ、一つだけ

 頼みを聞いてくれる?」

 

豆屋さんが畏まった顔をして

居住まいを正した

 

「なんですか?」

 

「儀式の前日

 あの二人と ・・・

 昔話をさせて欲しい」

 

「皇子と翔様ですか?」

 

豆屋さんは黙ったまま大きく頷いた

 

「承知しました」

 

唯一、二人を知っている豆屋さん

伝えたいことが有るのかもしれない 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>