君のいない迷路 1 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

君を見送ったあの日から

慌ただしい日々がやってきて

池田の引っ越しを手伝い

自分の引っ越し

3月下旬には都会の住人になっていた

入社式前までは時間を気にしながら

ラインで話をしてたけど

入社してからは慌ただしい日々と

生活に慣れるのに精一杯

それは君も同じで、語学の勉強と仕事で

中々会話も弾まず

声を聴くのも週に一回となり

いつの間にか季節は

春から夏に変わっていて

夏休みに会いに行く予定も未定のまま ・・・

 

「大野の選択は間違っていなかったな」

 

出張で東京に出てきた池田が

俺の部屋に入るなり呟いた

その言葉に何も反論できず

冷蔵庫からビールを取り出した

 

「だんまりか ・・・

 まあ、俺は別にいいけど」

 

口をへの字にして

俺を一瞥した後、首を傾げた

 

池田が言いたいことは

口に出さなくても分かる

 

「内田は元気にしてる?」

 

「ああ、元気だぞ

 5月いっぱいまで大野の部屋で暮らしてたけど

 今は実家に戻った」

 

「ラインでそんな話してたな 

 心境の変化?」

 

「彼女が出来たんだよ」

 

「え~~~~~~~~~!」

 

あんなに彼女一筋だった彼奴が

どういう事?

 

「高里さん?」

 

「違う、別の人

 彼奴の恋心ごと好きになってくれた人が彼女」

 

恋心ごとって

全てを話したうえでって事か ・・・

 

「そうなんだ

 全く教えてくれなかったし ・・・」

 

「ばつが悪かったんだよ

 あれだけ待つと宣言してて

 その舌の根も乾かないうちに

 彼女が出来たから ・・・」

 

歯切れが悪いけど

もしかしたら振られたのかも?

 

「フラれたとか ・・・」

 

「その可能性もあるな」

 

「彼女とは会ったことあるの?」

 

「あるよ

 何回か一緒に飲みに行った

 彼奴の高校後輩で社会人

 友達の紹介とか言ってた」

 

「あれだけの片思い

 きっぱり諦められたの?」

 

「諦める手伝いをして貰った

 彼奴、寂しがり屋だから

 誰かさんと同じで」

 

にやりと笑った後

缶ビールを開けグラスに注ぎ

軽く乾杯した後、口に運ぶ

 

「俺の事?」

 

「言わずもがなだろ?

 これからは、突然来れないな」

 

グラスを持ったまま

部屋の中を回し

小さくため息をついた

 

「配属決まった?」

 

3か月の研修期間が過ぎ

配属部署は決まった

 

「ああ、企画室に配属になった」

 

「添乗員じゃないんだ」

 

「企画室は向いてるかな

 まだまだ下っ端で

 仕事を覚えるので手いっぱいだけどな」

 

「誰もが通る道だな

 大野は元気にしてるって?」

 

「毎日が充実してると言ってた

 日常会話もできるようになり

 仕事も順調だって」

 

話を聞いてると

向こうでの生活の方が

君には合ってるような気がした

 

「それは良かったな

 そのまま向こうにって事はないの?」

 

「そこまでは聞いてない ・・・」

 

歯切れが悪い返事を聞いて

池田がため息をついた

 

「お前さ ・・・ 都会は向いてないよ」

 

ぼそっと呟いた言葉が

胸に刺さって ・・・

何も言えなくなった

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>