取り敢えず打ち破ろうか 155 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

一度、海のアトリエに戻ったけれど

通勤時間などの不便さを考慮して

都内のマンションに戻ることにした翔兄

必然的に俺も都内のマンションに

画伯がいないのだから当然と言えば当然だ

「カンテラ」にも近いから

俺としては有り難い

 

「サクちゃん、意外とできるじゃん」

 

ランチタイムが終わり

店に客が一人もいなくなった時間

特別メニューの賄を手にした直人さんが笑う

 

「洗い物は出来るよ

 お湯も沸かせるし

 ご飯だって炊けます」

 

京都で二人で暮らしてた頃

貴方に鍛えてもらった

珈琲だって淹れれるし

ゆで卵に目玉焼きくらいは出来る

【客には出せないけど・・・)

 

「そう言えば京都で同棲してたんだ

 智が教えてくれたの?」

 

「あの人、作業に入ると時間を忘れるから

 結構、残業とか多かったんだ

 だから、最低限の家事くらいは出来るようにって

 ビシバシではないけど、教えてくれた」

 

「だから手馴れてたんだ

 翔兄と違って」

 

「あの人は無理(笑)

 画伯が何でもやっちゃうから」

 

翔兄は画伯がいる場所が家なんだ

画伯がアトリエに籠ればアトリエに帰る

つまりは画伯がせざるを得ない

 

「家事が気分転換になるって

 画伯が言ってたから

 そうなって当然だな

 その点、智は違うから」

 

「離れるって分かってたからかも ・・・

 一人でも生活できるように鍛えてくれてたんだと思う

 でも、悲しいかな料理のセンスがない

 直人さんに手伝いも野菜を洗うくらいだよ」

 

「いやいや、十分助かってるよ

 でも、早くバイトを雇わないとな ・・・」

 

カンちゃんが呼ばれた日に

これ無くなったバイト君

結局辞めてしまったようだ

(臨時スタッフの弟君も本業に忙しいらしい)

 

カンテラのバイトはハードルが高そう

歴代のバイト君が優秀らしく

長続きしないらしい

だから、カンちゃんの登場なんだけどね 

 

「俺のいるうちに見つけて(笑)

 久しぶりの特別メニューじゃん」

 

これは貴方が直人さんに頼んでくれたメニューだ

「肉ばかり食してないで野菜食べなさい!」の

メッセージが込められたもの

 

「ああ、久しぶりに作ってみた

 二人の生活からして

 進んで野菜を摂らなさそうだからな」

 

「確かに、朝はパンとコーヒーとヨーグルト

 たまに、ゆで卵と果物だった」

 

「ヨーグルトを食べてるのは〇だな(笑)」

 

「ここでバイトするようになって

 朝食も豪華になったよ

 直人さんのお陰」

 

夕飯はここで食べて

翌日の朝食を持って帰るのが日課となり

人並みの生活がおくれている

 

「ふふ、それくらいしか出来ないからな

 そう言えば、おじさんが何するか聞いてる?」

 

両親の第2の人生

何をするのかは聞いていない

 

「聞いてないけど ・・・」

 

「輸入雑貨やインテリア用品を扱う

 お店を開くって言ってたけど」

 

インテリア雑貨?

なんでまたそんなお店を 

 

「全然 ・・・ 知らなかった ・・・」

 

「もしさ、博物館が不採用になったら

 サクちゃんもあの街に店を構えたらどう?」

 

そんな簡単にお店経営なんて出来ない

心配してくれてるのは理解してるけど

 

「親父は経営のプロだから

 販売のノウハウは持ってるだろうけれど

 それでも ・・・上手くいくかどうかは分からない

 それを考えると

 全く畑違いの俺には無謀だと思う」

 

意外な返事だったのか

直人さんは感心した表情を浮かべて笑みを浮かべた

 

「サクちゃんの良い所は

 その堅実さだな

 ほいほい乗せられて起業して

 失敗する心配はなさそうだ」

 

「試したの?」

 

「ああ、翔兄が勧めてたからな」

 

心配してくれてたんだ直人さん

 

「翔兄みたいに冷静な判断が出来ないから

 向いてないって自覚してる」

 

ビジネスに置いて冷静な判断は必須

そして冷酷な一面がなければ出来ないことでもある

俺にはその冷酷さがないんだ

(情に流されやすいとも言う)

 

「それが分かってれば大丈夫だな

 今までやってきたキャリアを活かす仕事

 博物館とか文化財保護の仕事がベスト

 採用されるといいな」

 

直人さんの言葉が温かくて

胸が熱くなった ・・・

 

「うん、何度も挑戦するつもり!」

 

「長い人生だ

 回り道しても良いんじゃない?

 俺もこの店を開くまで

 放浪してたし(笑)」

 

だろうねえ(笑)

外国の名前も知らない田舎の

郷土料理やお菓子が出てくる

 

「楽しかった?」

 

「楽しいことも辛いことも

 同じくらいあったな ・・・

 いろいろ放浪して

 ここが一番だと思う」

 

そう言って笑った直人さんの横顔は

凄くカッコよかった

 

 

 

 

<続きます>