鈍色の空 (珈琲屋と雑貨屋) | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

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大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

鈍色の空が広がる冬の昼下がり

ふわふわと舞い始めた雪は

いつの間にか勢いを増し

気が付いたら庭一面が真っ白

 

「あっという間に積もったな ・・・」

 

薪ストーブに薪をくべながら

独り言ちの豆屋

 

「珈琲でも淹れるか ・・・」

 

誰に言うでもなく声に出し

今日はサイフォンで淹れようと思いたつ

 

湯が沸騰してフラスコをセットした時

頃合いを見計らったようにマスターが登場

 

「庭から入って来いよ(笑)」

 

ジッパーを下ろすみたいに

空間を開けて入ってくる

 

「珈琲と言えばケーキだろ(笑)」

 

紙袋を持ち上げてニヤリと笑う

 

「ふふ ・・・ 来るだろうって思ってたよ」

 

「雑貨屋は?」

 

「お前ほど来ていないよ

 仕事が忙しいんだろ」

 

気にも留めず

フラスコに入った湯をかき混ぜる

 

週に2、3回は顔を見せていたのに

今週は一度も顔を見ていない

 

「仕事が忙しくても来るだろ」

 

あの雑貨屋が来ないのはおかしいと

首を傾げるマスター

 

「出張してるかもしれないし

 仕入れで海外にでも行ってるかもだろ

 子どもじゃないんだから大丈夫」

 

部屋中に淹れたての珈琲の香りが漂い始めた時

今度は庭からチビちゃんが駆け込んできた

 

「おじゃまちます!」

 

「おちびちゃん いらっしゃい

 一人で来たの?」

 

「そうなの!」

 

妖精は雪に弱いので

濡れても大丈夫なように

スキーウェアを身に着けてる

 

「雪だるま作りに来たのかな?」

 

マスターの言葉に目を輝かせるさとち

 

「それはあとで!」

 

「後で?」

 

マスターが怪訝な表情を浮かべながら

さとちを椅子に座らせた

 

「そうなの!たいへんなの」

 

大変?

 

「何が大変なの?」

 

豆屋が淹れたての珈琲を

マスターの前に置き

手に持ったカップに口を付けたまま隣に座る

 

「あのね、ざっかやさん

 ねちぇるよ!」

 

「寝てる?」

 

意味が分からないので鸚鵡返しになってしまう二人

 

「ざっかやさんのおうちのまえの

 いちょうさんが おちえてくれたの」

 

「銀杏の木が教えてくれたの?」

 

「うん、おへやでねちぇるの

 ひとりだから たいへん!」

 

「ああ、豆屋

 雑貨屋、風邪で寝込んでるんだよ

 ここに連れてきたら?」

 

「風邪か ・・・

 ちょっと待ってて」

 

庭に出て何やら指令を出す豆屋

 

「様子を見に行かせたのか?」

 

「ああ、いきなり行ったら

 驚くだろ?」

 

「確かにそうだな ・・・」

 

「連れてくるにしても部屋の用意をしないと

 ちょっと片付けてくるよ」

 

「快適に過ごせるようにしないとな」

 

蒼幻燈が異世界にある

人が異世界に長く留まることは出来ないから

豆屋を人の世界に戻さないといけなくなる

 

「まめやしゃん

 おてがみ あずかっちぇるの」

 

さとちが骨董屋からの手紙を渡す

 

「なるほど ・・・

 あそこなら人は来ないな ・・・」

 

骨董屋の手紙には

骨董屋が所有する自然公園の中に

蒼幻燈を移しても良いという内容だった

 

「骨董屋の許しが出たのなら

 早々に移動だな」

 

「雑貨屋を連れて来てから

 移動するよ」

 

「チビちゃん、美味しいココア作ろうか?」

 

「うん、のみちゃ~い」

 

「チビちゃんの相手はしてるから

 先に部屋を片付けて来い」

 

マスターに言われて

2階に上がっていく豆屋

 

人が泊れる部屋にしないと

ゆっくり休むこともままならない

 

人は俺達より弱い ・・・

何か温かい物を食べさせて

寝かせるのが一番だな

 

 

 

 

 

 

<続きます>

 

雪が降ったりやんだりの

寒い一日になりました

前日までが暖かかったので

寒さが身に染みますね

 

皆様、お風邪など召されませぬよう

どうぞご自愛くださいませ

 

 

yayosato