取り敢えず打ち破ろうか 148 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

父の前の当主は本家の長男 

関西で言う所の『阿保ボン』で

当主の役目は殆ど執事任せ

経営の才が全くなく

思い付きで何かを始めるから

あっという間に会社が傾いたそうだ

その会社を立て直し

成長させたのが父だと

執事から聞いたことが有る

その当主が早逝した為

分家の父に白羽の矢が立ち

俺が生まれる前に当主に就いた

 

十分尽くしたと思う

 

「父さんが残る必要はないと思うけど

 本家にもいるでしょ

 一族の役目に関して知ってる人は」

 

口煩いご意見番は沢山いる

母がどれだけその方々から

小言を言われたことか ・・・

 

「俺もサクの意見に賛成だな

 面倒ごとは分家で

 おいしい所は本家って構図

 変えた方が良いと思う

 会社は大丈夫なんでしょ?」

 

「ああ、当主の勝手で

 会社が傾かない組織を作った

 だから、その心配はない」

 

「じゃあ、なおさらだよ

 本家に付く分家と一緒に

 一族を率いてもらえばいい」

 

「そうなんだが ・・・」

 

どうも、父の歯切れが悪い ・・・

一体何があるんだ?

 

首を傾げてると

翔兄が思案した後

父の顔をじっと見つめて

 

「本家に付いてる分家って

 俺の両親じゃない?」

 

ああ、だから ・・・ 

父も母も歯切れが悪かったんだ

それによって翔兄が呼び戻される

可能性が出てくる

 

それなら、本家の言う通りに

暫く残ろうかと迷いだした ・・・

 

父も母も翔兄の問いに

即答しなかった

 

それが答えなんだけど ・・・

 

「俺に気遣って、残るとかやめて

 あの家に戻る気はないし

 親だとも思っていないから」

 

「そうは言っても

 君のご両親だよ」

 

「『出来の悪い奴は息子じゃない!

  出て行けと』言われたんです

 今更、手のひら返そうとしても

 そうは問屋が卸さない

 だから気遣いは無用です」

 

詳しい経緯は聞いていないけれど

 

翔兄のご両親は

長いものに巻かれろ的な考えの方で

何より対面を気にしてた

翔兄の行動はご両親の逆鱗に触れたのだろう

 

分家の中で当主になれるのは

俺か翔兄だと言わてたから余計だ

 

「本当に良いの?」

 

母が念を押すように聴く

 

「はい、それを伝えるために

 今日は二人に会いに来ました」

 

翔兄は俺よりも当主の器だと思う

冷静沈着に物事を考えられる

どうして、それが見抜けなかったんだろう ・・・

 

父はそれを見抜いてるからこそ悩んだんだ

 

「君の意志が固いなら

 私は尊重するよ

 ご両親に会おうとは」

 

「思いません

 あの時、絶縁しましたから」

 

「許せないの?」

 

母の言葉に翔兄は頭を左右に振って

 

「住む世界の違う人たちだと

 割り切ったので

 正直、恨みも消えました

 それに、向こうは許して欲しいとは思ってないですよ

 多分、俺の謝罪を待ってる ・・・」

 

そう言って苦笑いを浮かべる

 

翔兄とご両親の溝は

画伯が中に入っても

埋まることはないと思う ・・・

 

 

「そうだな ・・・

 君の思う通りにしなさい

 私の方から君からの言葉を伝える」

 

「お願いします」

 

 

この問題は

俺達では解決できない

 

 

母は小さく頷いた後

気を取り直したように笑みを浮かべて

 

「それじゃあ、お昼にしましょう

 美味しいシチューが出来てるはずよ」

 

席を立つと

父も一緒に立ち上がって

 

「仕上げをしないとな」

 

そう言って

にっこり笑った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>