make a wish 162 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

マサキさん一押しの場所は

王都からかなり離れた

湖上にある城だった

 

「凛とした美しさがある

 孤高の城って感じしない?」

 

彼の言う通り

まさに孤高の城

息をのむほど美しい佇まい

 

「湖の中に建ってますが

 どうやって行くんですか?」

 

見ている側からは城への道はない

船で行くんだろうか?

 

「反対側に煉瓦で出来た橋があるよ

 ただ、来るまでは渡れない」

 

「つまりは徒歩?」

 

「馬車一台分の幅しかないんだ

 昔は跳ね橋もあったんだけど

 今は煉瓦の橋が城まで続いてる」

 

煉瓦道がお城の手前で途切れて

お城側から跳ね橋が降りないと

中に入れなかったのか ・・・

つまりは要塞なのかな?

 

「昔は要塞のようなお城だったんですね」

 

マサキさんが珍しく首を傾げながら考え込んで

 

「要塞と言うよりは ・・・

 修道院のような感じかな?」

 

「なるほど ・・・争いとは無縁で

 世俗から隔離されてたんですね」

 

「うん ・・・ O国歴代の中で

 1,2を争う孤高の王が

 晩年を過ごしたお城と言われてるから」

 

こんな寂しい場所で晩年を過ごす ・・・

まるで幽閉されてたような感じまでしてきた

 

「もしかして幽閉ですか?」

 

マサキさんは思いっきり頭を振って

 

「違うよ、それならお城側に跳ね橋は作らない

 こっち側を閉ざせばいいんだから ・・・」

 

確かにそうか ・・・

陸地側を閉ざせば

お城からは誰も出れない 

 

「じゃあ、望んでって事?」

 

「うん、王を退いた後に移り住んだって言われてる

 偉大過ぎる方だから

 政には関わらないという

 意思表示じゃないかって

 ショ~ンが言ってた」

 

「なるほど ・・・

 その王様、かなり潔いい方ですね」

 

「うん、王子に似てるなって ・・・」

 

そう言われて納得した

王子にとっての城は離宮か ・・・

もしかしたら ・・・ 

その王様も独身だったのかも

 

「その王様は独身だったんですか?」

 

「よく分かったね

 生涯、誰とも結婚しなかった

 このお城には王の時代

 彼を支えた宰相が同行したって」

 

まるで王子と侯爵の未来を見てるような

そんな感じがした

 

マサキさんの横顔は少しだけ寂しそうで

多分、その城に入れない自分を

想像しているのかもと

邪推してしまう

 

「王ともなると多忙で

 重責も半端ない

 だから王を退いた後は

 穏やかに暮らしたかったんでしょうね」

 

宰相と暮らす為に建てた城なのかも ・・・

 

「中に入れないんですか?」

 

「う~ん ・・・ 入れることは入れるんだけど」

 

何やら困った顔をする

 

「入れない事もある?」

 

「どちらかと言うと

 入れる人の方が少ない

 実は俺も入ったことはない」

 

バツの悪そうない表情を浮かべて

頭を掻く仕草をする

彼が入れないなら

俺達は絶対に無理だよな 

 

何故ここを選んだんだろう?

 

「じゃあ、俺達も入れない可能性の方が高い?」

 

「どうかな?

 大にぃさんは入れそうかな ・・・」

 

「そんな予想だけでは無理があるでしょ」

 

「確かにね 

 だけど王子と一緒なら入れるよ

 だから第一候補に選んだんだ

 俺も入ってみたいしね」

 

そう言ってにやりと笑う

 

「王子は入れるんだ」

 

「うん、王家では王子だけが入れたらしい

 それがあって

 孤高の王の生まれ変わりだと言われてる」

 

宰相は侯爵って事かな?

 

「じゃあ、王の帰還じゃないですか」

 

「そうなるのかな

 でも、そうなったら

 このお城は扉を開くんじゃないかって

 そう思うんだよ」

 

「扉を開く?」

 

言ってる意味がよく分からないんだけど ・・・

 

「誰でも入れるお城に生まれ変わるって意味」

 

「なるほど ・・・

 それはあるかも

 鍵は王子と侯爵でしょ?」

 

「その通り

 今日は城の前まで行ってみようよ

 多分、鍵が開かないはずだよ」

 

鍵が開かないのが分かってるみたいだけど

もしかして、俺と来る前に

挑戦してるのかな?

 

「そんな自信満々に言われても(笑)

 入れるかもしれないでしょ」

 

態と明るく笑って言うと

彼は小さく頭を左右に振る

 

「煉瓦橋の上から見るお城も綺麗だから

 入れなくても最高だよ」

 

「じゃあ、お供します」

 

彼はアクセルを踏んで

お城の反対側に向かった

 

この国には小説になる逸話が

至る所に転がってるように思えた

 

大ちゃんが同行を許してくれたのは

それも有ったからかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>