取り敢えず打ち破ろうか 22 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

こういう時、つい貴方の意見を聞きたくなる

貴方だったらどう言うだろう?

そんな事を考えながら

胸ポケットの鍵に触れた

館長のことは調べてから

(敵か味方かわからない)

鍵を使うことは諦め

いつも通りに仕事をこなした

 

 

カンテラに向かう道すがら

小さい声で翔様に尋ねる

 

「館長は ・・・ 味方だと思う?」

 

『私にはそういう能力がないから

 はっきりとは分からないが ・・・

 気を許す相手かは

 よく見極めてからだな』

 

「そうだよね ・・・

 あの部屋の番人の可能性もある」

 

『鍵はお前の父上が持っているのだから

 それだとこっち側だな ・・・』

 

「でも、あの中に重要なものが隠されている

 それを知った向こう側が

 番人を送り込んでる可能性も否めない」

 

『本家ならやリかねないな』

 

櫻井グループが此処まで大きくなったのは

父の手腕が大きい

その為、父が当主を降りても

社長を解任されることはないはず ・・・

いや待てよ ・・・ そんな上手い話はないな ・・・

体よく交代させられる可能性は大きい

その辺りは父に聞かないと分からないな

 

カンテラに続く細くて急な階段の前に

見慣れた横顔 ・・・

父がそこに立ってた

 

「親父 ・・・」

 

声をかけると

柔らかい笑みを浮かべた

 

「此処で有ってるのか?」

 

店を貸し切りにしてもらったから

看板が出ていない

出てても迷うのに

父の戸惑いも頷ける

 

「ああ、有ってる

 ここまで迷わなかった?」

 

「母さんが地図を書いてくれたんだが

 肝心の入り口の目印がなくて

 どうしようか考えていた所だ」

 

手に持った地図を見せてくれる

 

「あっ ・・・ 『細くて急な階段』

 って書いてあるよ」

 

母の筆跡で『!』が3つも付いてる

その部分を指差すと

 

「ああ、この階段がそうなのか ・・・

 確信が持てなかった」

 

苦笑いを浮かべながら頭を掻いた

 

当主になってからは

裏通りにある店に来たことなど

無いであろう父が

なんだかとても嬉しそうな顔をしている

 

「雲隠れが上手な

 変わり者の店らしいでしょ」

 

態と分かりにくくしている節がある

辿り着けたものだけが

美味しいコーヒーと料理の恩恵を受けるのだ

 

「直人くんらしい(笑)」

 

「店は2階だよ

 階段が急だから

 ゆっくり上がって」

 

「ああ、気をつけるよ」

 

ゆっくり階段を上がり始める父の背中を見て

何故か泣きそうになった ・・・

 

一族の為、会社の為だけに

存在しているような

家族への愛の少ない

冷たい人だと思ってた

 

抱えきれないほどの重責があることなど

知らなかったから ・・・

 

ごめん、父さん

何も知ろうとしなかった

 

心のなかで呟いて

未だ大きい背中を眺めながら後に続く

 

二階につきドアノブに手を置いて

 

「ここで有ってるか?」

 

俺の方を見て尋ねる

だから大きく頷いて

 

「有ってるよ」と伝えた

 

独特の音を響かせながら開くドア

 

カランカラン 

 

父は懐かしそうな顔をして

その音を聞いていた

 

「いらっしゃい」

 

直人さんがカンターの向こう側で笑みを浮かべる

 

「お邪魔しますよ直人くん」

 

「お待ちしていました

 テーブル席にどうぞ」

 

「翔兄は?」

 

「まだ来てない

 そろそろ来ると思うけど ・・・」

 

翔兄が来る前に

父に確かめたいことがある

 

翔兄の実家は

今どうなってるんだろう?

 

 

 

 

 

<続きます>