秒針の違うGravity 89 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

待ち合わせ時間は11時

お昼を食べてから映画を見る予定

年の瀬ということもあり

田舎から都会に向かっていく電車は

そこまで混んでは居ない

それでも、大きな荷物を持った家族連れが

チラホラ見受けられた

のんびり外を眺めてるのって俺くらいかな

終点まで乗っていくのだから

寝過ごすことはないと

座席に座って目を閉じたら

いつの間に終点駅の近く

いわゆる爆睡していたようだ

(映画館で寝ない自信はできた)

欠伸を噛み殺して、背筋を伸ばす

寝ぼけた顔で会えないから

頭を覚醒させた時、電車はホームに滑り込んでいく

 

電車を降りてからは早歩き

(流石に走れない)

改札を抜けると君が俺を見つけて

軽く手を挙げた

 

 

「おはよう」

 

お昼だけどいいか(笑)

そんな考えが透けて見えたのか

君がクスクス笑って

 

「この時間帯って難しいよね

 おはようって言いやすいけど

 こんにちはって、あまり言わないよね」

 

「確かにそうだ ・・・

 昼間に会う時は

 おお ・・・ とか ・・・

 待った?とかだな ・・・」

 

考えてみたらそうだ

日本語って不思議

 

「じゃあ、アメリカ式で

 は~いとかHello!とか言ってみる?」

 

「あはは ・・・ それはちょっと恥ずいかも ・・・」

 

可笑しそうに笑う君が

俺にはすごく眩しい

 

「俺も恥ずい(笑)」

 

「芸能人みたいに

 いつ会っても「おはよう」でいいんじゃねえ」

 

「それも ・・・ 恥ずい(笑)」

 

どうやらツボにはまったのか

お腹を抱えて笑い出した

 

「お待たせ!でいいか」

 

涙目になって何度も頷いてる

 

「君を笑顔にした所で

 腹拵えに行かない?

 なにか食べてきた?」

 

「何も、昨日の夜で

 冷蔵庫は空っぽになったから

 朝ごはんはインスタントコーヒーのみ」

 

「んじゃ、腹拵えに行こう

 何食べたい?」

 

「ラーメンかな」

 

ラーメン ・・・ 俺も好きだけど

デートらしくないな ・・・

そうだ ・・・

 

「小籠包が美味しいお店に行こうよ

 ラーメンを頼んでも小籠包はついてくるから」

 

「ああ、映画館のあるビルの中の中華料理店だ」

 

「行ったことあるの?」

 

「うん、映画を見た帰りに入った

 海老入りのラーメン二小籠包がついてきて

 ザーサイが美味しかった

 思い出したら余計にお腹が空いた」

 

誰と行ったのかな ・・・

すごく気になる

 

「一人だったの?」

 

思わず聞いてしまった

君はその問いに迷うことなく答える

 

「ううん ・・・ 内田と一緒だよ

 彼奴、予告もなく泊まりに来るから」

 

「確かに彼奴も思い立ったら行動するな」

 

「うん、その時は

 朝一で映画が見たかったらしい

 前日泊まりに来て付き合わされた

 悪いからってランチをご馳走してくれた」

 

「なるほど」

 

「ねえ、もしかして

 変なこと考えてた?」

 

君が俺の瞳を覗き込むように見つめて

ニヤリと笑った

 

「考えて ・・・ 無いとは言わない ・・・

 あの店なら ・・・ 女性も一緒だったかなって ・・・」

 

「ふふ ・・・ 女性と行ってたら

 言わないでしょ普通

 じゃあ、櫻井くんは誰と言ったの?」

 

それは ・・・ まあ ・・・

同行者は関係なく

小籠包が食べたかっただけなんだけど ・・・

形勢逆転 ・・・ 君は苦笑いを浮かべて

 

「ほら(笑)

 って ・・・ 早く行こう

 お昼になったら待たないといけないよ」

 

この話はおしまいと言わんばかりに笑って

ゆっくり歩き始めた

 

「その頃、遊んでた相手と行ったと思う

 それが誰だったかは憶えてない」

 

申し訳にないけど ・・・

顔すら思い出せない ・・・

 

「それは言わなくて良いと思うな(笑)

 さあ、行くよ」

 

俺が思ってるよりも気にしていない(笑)

そりゃそうだ

昔の俺を知ってるんだから

 

君が言うように

この話はおしまいにしよう

 

「あれ?荷物は?」

 

もしかして荷物をコインロッカーに預けた?

 

「ないけど」

 

あっさり答える ・・・

本当に何も持っていない

 

「着替とかは?」

 

「実家にあるから

 それに正月は母ちゃんが

 洋服や下着やらを買い込んで待ってるから

 家は近いから送ってくれない(笑)」

 

実家にはあるだろうけど

着るものとか拘らないの?

ちょっと意外かも ・・・

 

「それは顔を見たいからだな」

 

「孫がいるから

 僕のところには

 中々来れないらしい」

 

「孫は可愛いって言うから」

 

「そうみたいだね」

 

強引に一緒に行くのを決めたから

ちょっとドキドキしてたけど

笑ってくれてるから

ほんと良かった ・・・

 

 

年末デート(敢えて呼ぶ)を満喫しよう

 

 

 

 

<続きます>