取り敢えず打ち破ろうか 21 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

昼休み、開かずの宝物庫の前まで行き

ポケットの中から鍵を取り出した

翔兄が親父から預かった鍵だ

 

「ん? 櫻井くん

 何をしているんだい?」

 

不意に後ろから館長の声が聞こえた

気づかれないように

そっと鍵をポケットの仕舞い

何食わぬ顔でゆっくりと振り返る

 

「館長もお昼ですか?」

 

白々しく聞くと

怪訝な顔をして

 

「君がこっちに歩いていくのが見えたから

 気になってついてきたんだ」

 

ん? ・・・ もしかして ・・・

この人、本家の関係者?

 

「すみません

 少し考え事をしてて

 気がついたら突き当りで ・・・

 この部屋の鍵って

 本当に無いんですか?」

 

わざと好奇心ありありの顔で聞いてみる

 

「随分、ここの部屋が気になってるんだな

 前にも言ったが

 この美術館ができた頃から

 鍵はなかったそうだ

 歴代の館長に伝えられてきたのは

 この部屋の詮索は無用

 扉は開けるべからず」

 

だから、後ろからついてきたのか ・・・

つまり ・・・ 館長は中に入っているのが何か

知っているのかも?

 

どっちなんだ?

監視のために本家が館長に据えてるのか

それとも ・・・ 分家の中で担ってるのか ・・・

 

「そうですよね ・・・

 一つ質問してもいいですか?」

 

「なんだい?」

 

「この部屋の鍵が見つかったら

 貴方は開けますか?」

 

「鍵が見つかっても

 開けるかの判断は私にはない」

 

素っ気ない顔をして

それ以上は話せないと言う顔をした

 

現当主の親父の判断を仰ぐのか

本家の判断を仰ぐのか ・・・

 

今は個々を離れたほうが無難な気がしてきた

 

「君が当主になるのなら

 その時考えたらいいんじゃないのか?」

 

今までにないほどの冷たい言葉 ・・・

館長の立場からすれば

詮索されたくないことなのだろう ・・・

 

「触れてはいけないのなら触れません

 僕にその資格はないので

 は~ ・・・ お腹すいた ・・・

 今日のランチメニューは何かな」

 

これでもかって言うほどの笑みを浮かべて

さっさとその場を離れることにした

 

「今日のメニューはミックスフライプレートと

 フィッシュ・アンド・チップス」

 

館長が教えてくれた

ここを離れれば

いつもの優しい館長になるんだな

 

「ご一緒してくださいますか?」

 

立ち止まって館長と並ぶと

ニヤリと笑って

 

「じゃあ、一緒に」と答えた

 

 

これからは用心しないといけない

 

現当主一家は

本家からすれば繋ぎ当主

いわゆる分家だ

 

 

親父がいつも厳しい顔をして

冷徹に見えていたのは

心を許せる者が居なかったからだ

 

 

翔兄から聞かされた時は

ピンとこなかったけど

こういう事を目の当たりにすると

俺の両親はこの(当主の)道を

歩かせたくなかったのだと

改めて思い知る

 

見ようとしなければ見えない ・・・

きっとこの先も

そう言う事の連続だと思う

 

 

今日こそは父と膝つき合わせて

俺の思いを伝える

新しい橘の流れを汲む分家の独立

 

 

 

 

 

 

<続きます>