make a wish 99 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

手がかりになるのは

健太くんが身につけていたレースの付け襟

そのつけ襟は師匠が持ってるのかな?

 

「智、師匠に聞いて欲しいんだが ・・・

 レースの付け襟を持っているか?」

 

今ならまだ起きてるはず ・・・

 

「ええ、確認します」

 

携帯電話を取り出し

師匠に電話をした

 

「智、何か有ったか?」

 

突然の電話に驚いた声が帰ってきた

 

「師匠、返事だけでかまわないので

 僕の質問に答えてください

 さっきまで教会にいました

 そこで ・・・ 手掛かりを見つけたんですが

 健太くんが身につけていたレースの付け襟

 今は何処にありますか?」

 

万が一、近くに健太くんが居たら ・・・

そこは気をつけないと ・・・

 

「ああ、あれか ・・・

 あれならマダムが大事に保管している」

 

「良かった ・・・ そのレースの柄が

 O国の一部の町でしか作られていない物らしいです」

 

「つまりは ・・・」

 

「はい、健太くんのどちらかの親の

 出身地じゃないかと ・・・」

 

王子が僕の横で

『そのレースを預からせてくれないかと

 頼んで欲しい』耳打ちした

 

「師匠、そのレースを

 王子に託して頂けませんか?」

 

「それは構わないけど

 送るにしても時間がかかるぞ」

 

「そこは蒼さんに頼んでください

 送ったりして無くしたら

 本末転倒なので」

 

僕の言葉を聞いて

『俺の方から蒼さんに連絡をする

 師匠はそれを蒼さんに渡して欲しい』

王子の判断は早い

師匠からお願いするのは

気がひけるだろうと判断したんだと思う

 

「王子が蒼さんに連絡をしてくださいます

 近いうちに取りに行かれると思います」

 

「蒼さんに託せば良いんだな」

 

「はい、お願いします

 すみません、時間がかかってしまって」

 

「謝るのは俺の方だ ・・・

 お前の一番の仕事は

 工房での修行なのに ・・・

 気の重いことを頼んだな 

 急がなくていい

 時間が空いたときで」

 

「必ずたどり着きますから ・・・」

 

そう言いながら

それが果たして健太くんにとって良いことなのか

ちょっと考えてしまった

 

「無理はするなよ」

 

「はい、じゃあまた」

 

「うん、ありがとう」

 

唯一の手掛かりのレースが来る

そこから辿り着ければいいけど ・・・

 

「王子、調べることが

 良いことなんでしょうか?」

 

分からなくなってきた

健太君は師匠の子ども ・・・

多分、戸籍上は実子になってるはず

 

「君は止めたほうが良いと思う?」

 

「わからないです ・・・」

 

「じゃあ、君が健太くんだったらどう思うか

 知りたいと思うか

 知りたくないと思うか」

 

この先、色々なことが分かるようになってきたら

やっぱり知りたいと思うかもしれない

 

「わからないです ・・・

 知りたいと思うかもしれない」

 

「師匠はその時の為に

 調べるんじゃないかな?

 健太くんの出生について

 彼が望めば伝えられるように」

 

「どんな内容でもですか?」

 

親に置き去りにされた

その事実は消えない 

この先、健太くんが

その事で傷つくようなことがあったら

それを思うと ・・・ これが正しいのか分からない

 

「彼には知る権利がある

 それは止められないよ

 さっきの話を聞いて

 あの子は愛されていたと思った

 どんな事情があって

 許されないことだけどね」

 

「決めるのは健太くんですね ・・・」

 

「その時、君が彼に

 寄り添ってあげなさい

 それで救われることもあるんだ

 親では無理な時がある」

 

だから僕に ・・・

 

「僕の役目ですね」

 

「君は彼のお兄ちゃんだろ?」

 

僕の顔を覗き込む

王子の優しい眼差しが

『大丈夫だよ』って言ってるように見えた

 

「はい お兄ちゃんです」

 

「さて、寄り道をしよう

 マツモト、アンティークショップに寄ってくれ

 時計のことを聞きに行く」

 

「畏まりました

 その前にランチタイムにしませんか?」

 

「そうだったな

 店は任せる」

 

「はい」

 

アンティークショップに寄って欲しいと

僕の方からお願いしようと思ってた

王子は僕のお兄ちゃんみたいだ

 

 

 

 

 

 

<続きます>