Wish you were here 165 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

虹色の飴 ・・・ 貰ったのを思い出した

ポケットから取り出すと

虹色の飴がきらりと光った

 

「櫻井さん、食べますか?」

 

「さっき妖精君から貰った飴だ」

 

「ええ、 気のせいでしょうか?

 キラキラしてる気がするんですが」

 

透明な袋を光に翳すと

やっぱりキラキラと輝く

 

「金粉が入ってるのかなあ?」

 

金粉入りの日本酒とかソフトクリームと同じってこと?

金粉見えないんだけど ・・・

 

「入ってるように見えないですよねぇ」

 

マジマジと見つめて首を傾げた櫻井さん

 

「頂きましょうか?」

 

「じゃあ、どうぞ」

 

口の中に放り込むと

花の香りの押し寄せて来る

 

「まるでお花畑にいるみたいですね」

 

本当にそんな感じがする

 

「でも ・・・ どの花と聞かれると

 答えられなくないですか?」

 

「確かに、思い浮かぶ花がない ・・・

 きっと、この世界にない花なのかも」

 

あり得るかもしれない

洋館を見終わって和館(日本家屋)の方に移動を始める

 

「思ったより観光客の方がいるんですね」

 

平日は空いてると思い込んでたから

ガイドの人も少しだけいる

外国人観光客相手なのか

年配に方でも英語で説明してる

聞いていても何を説明しているのか分からない(笑)

櫻井さんは分かってるみたいだ

 

洋館から和館に向かう廊下を通りすぎると

櫻井さんが大きな声を上げた

 

「ええっ! ・・・ ここはどこでしょうか?」

 

驚きを隠せないのか

目をパチクリさせてる

 

「ここは ・・・ 松岡邸じゃないんですか?」

 

大広間の部分しか残っていないって聞いたけど

相当広い日本家屋なんだけど ・・・

 

「いやいや ・・・ 日本家屋は大広間の部分だけのはずが ・・・」

 

相当慌ててるのか

思いっきり身振り手振りをするけど

言葉が続かない

 

「何が違うんですか?」

 

「大広間から繋がる廊下が ・・・ それに日本庭園 ・・・」

 

ずっと建物の先を指さしている

 

僕は来たことが無いから

櫻井さんの言ってる事はさっぱりなんだけど

 

「行ってみますか?」

 

「行って大丈夫でしょうか?

 俺達、狐に抓まれてます?」

 

周りを見ると観光客が居ない

僕たち二人だけ ・・・

 

「狐ですか?

 森の中だからいるのかなあ ・・・」

 

「あの ・・・ 不思議な事は平気なんですか?」

 

「これが不思議かどうかが ・・・(よく分からない)

 ここは初めて来た場所なので ・・・」

 

「それはそうですが ・・・ 

 どうして存在しない建物が ・・・」

 

もしかして ・・・ 櫻井さん怖がりなのかなぁ ・・・

 

「あの ・・・ 僕の腕に掴ってください」

 

「へ? ・・・」

 

「初めての場所だから

 迷子になると困るでしょ?」

 

櫻井さんが黙ったまま何度も頷く

 

「折角だから行ってみましょう」

 

大広間の先に続く廊下に足を踏み入れる

その廊下がさっきまでとは違って

真新らしい感じがした

 

 

「あの ・・・ 不思議なんですが ・・・

 全く時代を感じないのですが ・・・」

 

畳も襖も障子も、それこそ縁側までも新しい

櫻井さんが僕の腕をギュッと掴んだまま

部屋の中を見回してる

 

「立ち入り禁止の柵がない ・・・

 それに ・・・ 人もいない ・・・」

 

「障子なのにガラスが有るんですね」

 

「雪見障子でしょう」

 

「雪見障子?」

 

「部屋の中に居ながら

 庭に積もった雪を見るための物です」

 

雪を見ながらお茶を飲んだのかなあ ・・

 

「風流ですね ・・・ でも ・・・

 此処まで広いと ・・・

 暖を取るのも大変だった気が ・・・」

 

日本家屋には洋館と違って暖炉はついていない

 

「逆に夏は過ごしやすかったはずです

 今ほど気温も高くなかったでしょうし」

 

「今も涼しい風が心地いいです ・・・

 櫻井さん ・・・ これって ・・・ あれじゃないですか?」

 

櫻井さんがキョトンとした顔をする

 

「あれとは?」

 

「虹色の飴の効果じゃないですか?

 大ちゃんからのプレゼント(笑)」

 

七夕には見たことのない天の川を

今回は、存在しない日本家屋を

妖精君がお願いしてくれたのかも

 

「ああ、さっきの虹色の飴 ・・・

 まだ口に残ってます」

 

口を開けて見せてくれた

 

「多分、花の香りが残っている間は

 この建物を探索できるんじゃないでしょうか?」

 

「この香りが消えたらどうなるの?」

 

また少しだけ怯えた顔をして

腕をギュッと掴んだ

 

「なかなか消えないと思いませんか?」

 

「確かに ・・・」

 

「きっと回り終わるまでは消えないと思います

 ゆっくり見学しましょう」

 

「貴方がそう言うなら、きっとそうだ」

 

漸く、安心したのか

穏やかな顔で建物に興味が移ったみたい

 

「あ ・・・ 暑苦しいかも知れないけど

 腕を掴んでても良いですよね」

 

「ええ、それが今回のルールだと思います」

 

「ルール?」

 

妖精君の言葉

『手を繋いでいないと迷子になるよ』

 

何処か触れていないと

きっと迷子になるのかも

 

「ええ、手を離した瞬間

 大広間の濡れ縁前に戻されそうな気がします」

 

多分、これは不思議なことが起こる飴なんだ

どうしてそんなことが起こるのかは分からない

僕たちだけが見れる奇跡なんだ

それが意味する事は

今は分からない(何も意味がないかも)

 

「それは嫌です

 折角なので500坪の邸宅を

 見学させて頂きましょう」

 

櫻井さんが説明してくれた時

昔の邸宅を見たいと思ったんだ

この飴が願いを叶えてくれた

 

そう思う事にしよう ・・・

 

 

夏の陽射しが見せた幻かもしれない

ここを出たら忘れるかもしれない

 

それでも、一緒に見たことは忘れないと思う

 

 

「これだけ広い縁側なら

 月を愛でながら

 枝豆とビールを飲みたいですね」

 

「きっと美味しいですよ」

 

「そうだ ・・・ 夕飯は居酒屋に行きましょう

 枝豆を抓みにビールで乾杯です」

 

「その前に昼ご飯(笑)」

 

「ああ、そうだった(笑)」

 

 

ゆっくり時間が過ぎていく気がする

櫻井さんの隣は居心地がいいと思う

 

広い庭を眺めていたら

離れの縁側に蒼さんと誰か(お爺さん?)が

見えたような気がした

 

 

 

 

 

<続きます>