どんなに口を開けてって言っても
呆れた顔してた人が ・・・
まさか食べさせてくれるとは
顏がニマニマしてしまった
「顔！」
すかさず貴方から呆れた声が飛ぶ
当然でしょ、久し振りの甘い時間の後
二人だけの食事、その上お互い食べさせ合うなんて
夢見てるみたいじゃん
（一緒に住んでる頃は皆無）
「顔がどうしたの？」
態と惚けた顔で訊ねる
「そのデレデレの顔をなんとかしろ！」
ちょっとだけ怒った顔をする
「なんで？」
それは心外だよ
貴方以外に見せたことが無い顔なんだから
「あんなエロい顔してたのに ・・・
同じ男だとは思えない程 ・・・ 崩れてる ・・・」
「崩れてる？ ・・・ そんな酷い顔してる？」
思わず掌で顔を触った
貴方が可笑しそうに笑って
笑い過ぎて涙がこぼれてる
「アハハ ・・・ 酷くはない
どんなお前も好きだから ・・・
ただ ・・・(笑)」
「ただ？」
「締まりがない(笑)」
声を立てて笑う貴方の顔を久し振りに見た気がした
東京の俺の部屋で暮らし始めた頃
他愛のない事で笑い転げてた事を思い出す
「智君」
「ん？なに？」
「智君」
「だから何？」
「智君」
「お前 ・・・ 」
ちょっとムッとした顔をした
「名前を呼ぶと返事が聴こえる ・・・
それがどんなに幸せな事か ・・・」
貴方の肩を抱き寄せて唇を塞ぐ
「間違ったな ・・・ もう一回呼んで」
柔らかい笑みを浮かべた貴方が呟く
「智君」
「翔」
俺の名を呼ぶ声が甘くて ・・・
鼻の奥がツンとした
「智君、これも美味しいよ
あ～んして」
「ふふ ・・・ もうお腹一杯だよ
お前頼み過ぎだよ ・・・ これ全部食べられるか？」
テーブルの上の料理に目をやる貴方
「食べるの ・・・ 貴方もだよ
少し痩せたでしょ？
駄目だからね、食べないと」
明らかに痩せてる ・・・
心労を考えると致し方ないのは分かる
綾野君がどれだけ気を使ってくれてても
ホッと出来る場所は俺の隣
だから ・・・ 羽を伸ばして休んで欲しいんだ
(体は疲れさせたけど、心は満たされてるはず）
「じゃあ、ゆっくり食べるよ
それより、お前の水割りが飲みたい」
俺の水割り？
「同じ物作れば良い？」
グラスを取りに立ち上がろうとすると
手を引っ張って座り直させて
小さく頭を横に振り
俺の前に置いてある水割りのコップだと
顎をクイっと上げた
「これ？」
指差すと
黙ったまま頷く
グラスを貴方の前に置くと
拗ねた顔をして上目遣いで見つめる
「ん？」
「ん？じゃねえだろ ・・・ 察しろ！」
察するの？ ・・・ 何を？
思い当たるすべての事を考えるけど
思い浮かばない ・・・
痺れを切らした貴方が
俺のグラスの水割りを口に含んで
俺の唇を塞いだ
「ほ～んと 鈍感！」
そう言ってニヤリと笑った
いやいや ・・・ ちょっと待って ・・・
口移しで飲ませても良いの
俺がkissばかりすると
『きりがない』って怒ってたでしょ？
「不服なの？」
少しだけ不満げな顔をする
不服な訳ないでしょ
「光栄です(笑) ・・・
もう少し飲みたい？」
「うん」
大胆な事してるのに
俺が訊ねると顔を紅くする
このギャップなんだよ ・・・
「では ・・・ ご要望に応えて」
水割りを口に含んで
貴方の唇を塞いだ
口移しで飲ませた水割りが
貴方の喉を動かした
それが妙に艶っぽくて
そのまま甘い甘いkissをした
朝まで抱き合って寝よう
どれだけ振りだろう ・・・
二人で夜を越えるのは
俺ね ・・・ 貴方の寝顔をずっと見ていられると思う
だから、俺の腕の中でゆっくり休んで ・・・
＜続きます＞
「取りあえず奇蹟を起そうか」再開いたします
少し間が空いたのでリハビリを兼ねての
愛すべきバカップルの登場になりました
ちょっと甘すぎたかな？
イメージ崩れてない？
心配ですが、久し振りの休息という事でお許しください
台風の影響で雨風が強くなっています
進路にあたる地域にお住いの皆様
どうぞお気を付け下さい
yayosato