Wish you were here 100 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

『SATOSHI』のアンコール曲

明るい曲調なのにメッセージ性が高い歌

彼の歌が伝える想いに感動して

胸がいっぱいになった

思わず、櫻井さんのシャツの裾を掴んでた

さっきから何度も掴むから

シャツの裾が皺くちゃになっちゃって

どうしよう? ・・・ 後で謝らないと ・・・

 

 

歌い終わった彼はステージの上で

柔らかい笑みを浮かべ手を振る

ずっと ・・・ 『ありがとう』って呟いてた

 

「さっきまでの彼とは別人みたい ・・・」

 

スイッチがoffになった顔

見てるだけで温かい気持ちになる

 

「ここまで表情に違いがある人も珍しいですね

 さっきまでのcoolな彼とは全くの別人にみえます」

 

櫻井さんがオイラの顔を見て大きく頷いた

 

「あ ・・・ 妖精君を見つけたんだ ・・・

 だから ・・・ フニャフニャとした笑顔 ・・・

 自然と笑みがこぼれます」

 

彼がステージを降りても

その場から動けなくて

暫く二人で余韻に浸ってた

 

「大野さん、そろそろ上田たちの所に行きますか?」

 

「そうですね ・・・ 待ってるかもしれない」

 

人の波から少し逸れて

控室のある方に向かう

途中で金髪の彼に抱かれた妖精君に逢った

 

「てんとうむちの  おにいちゃんだ」

 

オイラ達に向かって手を振る

 

「お歌もダンスも凄く上手だったよ

 素敵な時間をありがとう」

 

大きな声で叫ぶと

嬉しそうに笑って

 

「ありがとう!

 おにいちゃん、あおちゃんが

 おみせにきちぇくださいって」

 

抱っこしてる金髪の彼(あおちゃん)が

 

「お待ちしています」

妖精君の後を続けた

 

「近いうちに伺います」

 

「は~い!まっちぇるね」

手を振りながら控室に入って行った

 

「あの控室は『SATOSHI』のかな?」

 

櫻井さんが彼らが入って行った控室を見て呟いた

 

「一緒に歌ってるから知り合いかも知れませんね

 それより、早く行きましょう

 きっと待ってます」

 

結果がどうであれ

亀ちゃんたちのライブは大成功だって思う


ユニットハウスの前まで行くと

丸ちゃんたちがドアの外で待ってる

 

「丸ちゃん、入らないの?」

丸ちゃんが人差し指を唇に当てて

 

「今、お客さんが来てる」

小さな声で教えてくれる

 

「もしかして?」

櫻井さんと顔を見合わせる

 

「その可能性はあります

 先ずはインディーズデビューからだと思いますが」

 

「芸能事務所関係の人?」

 

「『 Friendship 』 って言ってたような ・・・」

侑李が自信無さげに呟いた

 

「芸能事務所にそんな名前の所って有ったっけ?」

シゲも首を傾げながら半信半疑

 

「櫻井さん知ってますか?」

 

「本当に『Friendship』って言ったんですか?」

確認するように3人を見た

 

「本当かと言われると自信無いけど ・・・

 そう聞こえたよねえ」

 

丸ちゃんが二人と顔を見合わせて

3人が大きく頷いた

 

「それは凄い!『SATOSHI』が所属してる事務所です」

 

それを聞いて4人ともポカンとした

 

「え ・・・ っと ・・・ あの ・・・ さっきの『SATOSHI』ですか?」

 

オイラも相当、間の抜けた顔をしてたと思う

櫻井さんがクスッと笑って大きく頷く

 

「『Friendship』はSATOSHIの友人達が

 彼の為に立ち上げた芸能事務所です

 その友人の一人のcafeの店名が事務所の名になりました

 当初、彼はそのcafeで働いていたはずです」

 

だから『Friendship』なんだ

 

「かなり下積みを経験しています

 昨年から鮫島グループがその事務所のスポンサーになり

 彼が陽の当たる場所に出てきました

 実力がある人だから、あっという間に若手№1の座に

 だからと言って、事務所を大きくしてはいません

 所属タレントも数名だったはずです

 さっきの話が本当なら、チャンスを頂いたのかも知れない」

 

『SATOSHI』はアーティストと言うより

舞台で活躍しているミュージカル俳優

テレビに出る事はあまりない

彼の舞台のチケットは販売数分で完売する

その世界に疎いオイラでも知ってる

 

「大事に育てる事務所だって聞いた事が有る」

シゲが思い出したように呟く

 

「ええ、その通りです」

 

「櫻井さん詳しいですね」

 

「その業界で働いてる友人もいるので」

 

小説家さんって言うのは人脈も凄いんだ

オイラとは違うのかも

 

そう言えば今日泊まるホテルも鮫島グループのホテル

知り合いというより関係者なのかな?

 

「鮫島さんとお知り合いなんですか?」

 

「それはないですよ

 俺はしがない小説家ですから」

 

それは嘘だと思う ・・・ 

しがない小説家だったらシゲちゃんと同じ

シゲちゃんは有名ブランドは持っていない

 

暫くすると中から人が出てきた

3人がその人達の後ろから出てきて

深々とお辞儀をして見送った

 

これは ・・・ やっぱりそうなのかな?

でも緊張した顔してる

 

「亀ちゃん」

 

声を掛けると緊張を解いたホッとした笑みを浮かべた

 

「スカウトされたの?」

丸ちゃんが待ちきれないとばかりに

直球で訊ねた

 

「事務所に所属しないかと言われたんだ」

 

その言葉でオイラたち4人が歓声を上げる

 

「すごい! ・・・ 認められたんだ」

 

「ううん ・・・ そうじゃないんだ

 今の俺達では通用しないって

 はっきり言われたよ

 それでも夢を叶えたいなら

 一緒に頑張ってみないかって」

 

「Friendshipに所属って事?」

櫻井さんが確認するように訊ねる

 

「兄貴、そうトントン拍子には行きません

 鮫島グループが作った音楽事務所です

 そこは育成が中心でデビューが決まった時点で

 Friendshipに所属することになります」

 

「なるほど ・・・ 」

櫻井さんが納得したように頷いた

 

「何がなるほどなんですか?」

 

「Friendshipはあくまで芸能活動を行う事務所

 育成を行うのはその音楽事務所

 所謂、養成所みたいなものだろ?」

 

「ええ、給料も出るそうです」

 

「それだけでは食べてはいけないけど

 道が開けたって事だと思う」

 

学校みたいなものなんだ

そこで実力が付いたら

Friendshipからデビューできるって事だ

 

「一歩階段を上がったって事だよね?」

 

3人が笑顔で大きく頷いた

 

「これは祝杯あげなきゃ!」

 

丸ちゃんが亀ちゃんに抱き付いて

背中を思いっきり叩いてる

亀ちゃんが苦笑いを浮かべて

 

「丸、痛いって!」

文句言ってるけど嬉しそう

 

「兄貴 ・・・ すげえ嬉しい」

櫻井さんが上田さんの頭を撫でてた

 

ユウイチさんも嬉しそうに笑って

亀ちゃんの背中に手を添えた

 

 

遠くで花火が打ちあがる音がする ・・・

 

「お祝の花火だね

 亀ちゃん、ここからだよ」

 

「うん ・・・ まだ古着屋の店員だよ

 これからも頑張るね」

 

商店街から羽ばたいていくのは

もう少し後になるのかな

ちょっと淋しいけど

 

皆、夢を叶える為に歩いていくんだ

 

 

 

 

 

夜空を色とりどりの花が咲く

花火大会が始まった

 

 

「わあっ ・・・ 凄く綺麗!」

 

オイラ、また櫻井さんのシャツの裾を掴んでた

 

「大野さん、花火が上がったら叫ばないと」

櫻井さんがニッコリ笑う

 

「何て叫ぶの?」

 

オイラが戸惑ってると

櫻井さんが小声で教えてくれた

 

「次の花火で叫ぶよ」

8人が大きく頷いた

そのすぐ後、花火が上がっていく音がする

 

 

「せ~の」

オイラが掛け声をかける

8人全員で声を合わせて

『や~まや~』

って叫んだ

 

 

 

 

<続きます>

 

 

100話で花火を上げる事が出来ました

やっと辿りついた感じです

まだまだ続きますが💦