取りあえず奇蹟を起こそうか 5 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

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大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

息を整えながら席に座る雅紀君

 

「もしかして、かなり待ってましたか?」

申し訳なさそうな顔で訊ねる

 

「そんなことは無いよ、さっき来たところだから」

 

「良かった ・・・ お待たせしてたらどうしようって

 慌てて走ってきました」

 

「そこまで気を使わなくてもいいのに

 君のお蔭で智君にも会えた 

 本当にありがとう」

 

彼がいなかったら、ここまで来れていない

東京でヤキモキしながら連絡を待つことしか

出来なかったはずだから

 

「それを聞いてホッとしました

 行ってはみたものの

 会えなかったでは、お話になりせんから」

彼が安堵の表情を浮かべる

 

「綾野君が全て上手くいくように手配してくれた

 一目顔を見るだけで良いと思っていたけど

 1時間も一緒に過ごせたよ

 俺たちは皆に支えられてる

 感謝しないといけないな」

 

「お二人の人柄じゃないでしょうか?

 和也から長について、延々聞かされました

 すでに一番の理解者になっています(笑)

 あの家も ・・・ ずっと罪を背負ってますから ・・・

 許された事が嬉しいんだと思います

 俺も ・・・ 同じでしたから ・・・」

 

彼の顔が穏やかな顔になってた

貴方の魔法って凄い効力だね

類に漏れず、俺もその魔法で癒されたけど

 

「長の協力者が一人増えた ・・・

あの人、もう動こうとしてるんだ」

 

「退院するって話ですね」

 

「ああ、せっかちだろ?

 ホテルのスイートルームみたいな部屋だった

 あそこなら泊ればいいのに(笑)」

 

「屋敷にある長の部屋の方が豪華だと思いますよ(笑)」

 

「そうだ ・・・ あの人特別だからね ・・・

 さて、俺達はどうしようか?

 マスターに紹介して貰った茂さんに会いに行く?」

 

「翔さんはどれくらい滞在される予定ですか?

 そもそも、長に逢うのが目的でした

 それが果たされたのであれば

 一度東京に戻って、出直しませんか?」

 

「出直すとは?」

 

「正直に申し上げます

 あの街での長期滞在はお勧めできません

 万が一、翔さんの身元がバレてしまったら

 元も子もない気がするんです」

 

確かに ・・・ 偽名も考えていない

その辺りを周到にしておかないと

辻褄が合わなくなって立場が危うくなる

 

「そうだな、潜入するとなると

 細かい所まで考えておかないと」

 

「ええ、付け焼き刃では直ぐにメッキが剥がれます

 それに ・・・」

 

彼が愁いを帯びた顔をした

 

「それに?」

 

「僕が一緒じゃないほうがいいと思います」

 

「ええっ ・・・ それは心細い ・・・」

 

彼が嬉しそうに笑う

 

「そう言ってもらえて嬉しいです

 ただ、僕の顔を知ってる人がいたら困ります

 翔さんがあの街に滞在するのであれば

 僕はこの街に部屋を借ります」

 

そう言う事か ・・・ 

 

「そうだな、念には念を入れないと

 追い出されては元も子もない」

 

「翔さんが追い出されることは有りません

 追い出されるのは僕だけです」

 

彼の横顔が少しだけ淋しそうに見えた

 

「俺たちは行動を共にしたほうがいい

 滞在するならこの街 ・・・

 あ ・・・ 雅紀君、小瀧さんって知ってる?」

 

いきなり聞いても分からないか ・・・

 

「小瀧望くんですか?」

 

あっさり返事が来た

 

「名前までは知らないけど

 すごく長身の ・・・」

 

「長の同僚ですよね?」

 

「ああ ・・・ 彼も?」

 

「彼は ・・・ 東の家に繋がる者です ・・・

 あの会社は東の家の系列ですから」

 

「そういう事だったんだ ・・・」

 

「ええ、彼がどうかしたんですか?」

 

「さっき、この店にいたんだ

 だから、見つからないように 

 こうやって顔を隠した」

 

おしぼりを顔に乗せると

彼が可笑しそうに笑う

 

「ここに居たんですか?」

 

「ああ、もう一人いた

 智君に会いに行くって話してたけど

 会えないってボヤいてたから ・・・

 もちろん、彼は長が誰かは知らないんだよね」

 

少し声を潜めて聞いた

 

「ええ、それは知らないです

 基本、屋敷勤めになる人とは会えません」

 

そうだろうな ・・・

屋敷がどこに有るのかさえ分からない

 

「雅紀君は屋敷の場所知ってるの?」

 

彼が苦笑いを浮かべて

大きく頭を左右に振った

 

「どこにあるかは知りません

 どの山かも分からない

 立ち入り禁止の山が多いんです」

 

「やっぱり、街に入るのは控えたほうがいいね

 小瀧君とは何度も会ってる

 慎重に行動した方が得策だな

 今日は、この街で一泊して

 明日、東京に戻ろう」

 

「そうですね」

 

何処にいても貴方には会えない

なら、万全を期してここに帰ってくる

 

 

また暫く会えないけど

俺は俺の出来る事をする

それが貴方に繋がるから

 

 

 

<続きます>