Ray 16 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

ジュンの誕生を待っていたかのように

楽園には次のエルフが誕生した

6番目のエルフはジュンが世話係

名前を『トウマ』と付けた

ディルとファーは新しく生まれてくるエルフの準備で忙しい

 

 

屋敷の庭先で日向ぼっこをしてるフィーの側に

セリーがお茶を持ってやってきた

 

「フィー、ハーブティー持ってきた

 一緒に飲まない?」

 

眩しい陽射しに目を細めながら起き上がったフィー

 

「ハーブティー?ショウが淹れたの?」

 

「まさか(笑) ・・・ ファーが淹れてくれた」

 

フィーがクスクス笑って

 

「ホント、そう言事は苦手だな

 何時間でも書物は読めるのに」

 

そっちの方が苦手だよって顔をする

 

「フィーは ・・・ 全ての理が頭の中に有る

 俺は書物から知識を得るしかないから」

 

ショウ(セリー)は新しい名前を使わない

それが淋しい ・・・ だけど理由を聞くことが出来ない

 

「蒼の森から生まれたから ・・・ それだけだよ ・・・

 全部を知ってる訳じゃない ・・・ ショウの方が良く知ってる」

 

「フィー ・・・ セリーって呼んでくれない?

 生まれた時からの名が良い ・・・」

 

セリーが俯きながら、不満げに呟いた

 

大好きなあの方が付けた名 

華やかに咲く花の名前 ・・・

それを勝手に変えたら嫌だよな ・・・

 

「急に変えられても困るな ・・・ ごめん ・・・

 セリー ・・・ 何か用があった?」

 

セリーに取って一番大切なのはフィー

フィーにとって一番大切なのは ・・・

自分ではないと思い込んでる

 

 

フィーが慕い続けるあの方が愛した人を

自分の向こう側に見てるような気がして

ショウと言う名で呼ばれることに抵抗を感じていた

それを伝える事が出来ずに

2人の間にエルフ一人分の小さな溝が出来ている

 

「ああ、この楽園のルールを作るべきだと思うんだ

 エルフが増えれば小さな諍いも起きるだろうし

 今まで通りの生活は出来ないでしょ」

 

「確かに ・・・ 住む場所、食べる物 etc ・・・

 考える事は山積みだな ・・・

 セリーが考えてくれない?」

 

「それは構わないけど

 最終的に決めるのはフィーだよ

 フィーがこの楽園の導なんだから」

 

「そんな大層なものじゃない ・・・」

 

「蒼の森の意思を伝えるのは貴方

 あの森がこの楽園の根幹なんだ

 ルールだって、俺が勝手に決めて良い事じゃない」

 

「蒼の森は何も言わない ・・・

 この楽園は俺達に委ねられたんだ

 俺達がエルフの国を作っていく ・・・

 うん、そうだね ・・・ 勝手に決めちゃいけない 

 セリーが中心になって5人で考えよう」

 

「じゃあ、そうする」

 

不満を抱えてるのは何となくわかる

それが何なのか聞けないでいるフィー

 

「セリー ・・・ 何かあった?」

 

そう訊ねられてドキッとするセリー

自分の中に芽生えた何か

それが恋心だという事は分からない

 

「何もないよ ・・・ 

 時々、二人だった頃のように

 日がな一日空を眺めてたいなって思う」

 

精一杯の想いを口にして

フィーの顔を見てニッコリ笑った

 

「ふふ ・・・ いつでも出来るのに ・・・

 セリーが忙しくしすぎなんだよ」

 

「そうかな?」

 

「そうだよ」

 

穏やかに流れる時間を2人だけで過ごしたい

それだけが望みなのに ・・・

 

『セリー ・・・ セリー ・・・ どこに居るの?』

 

家の中から、ディルの声が聴こえた

 

 

「これで、いつでも出来る?」

苦笑いを浮かべるセリー

 

「聴こえない振りをすればできる」

そう言ってゴロンと寝そべった

 

「直ぐに呼びに来るよ」

 

『ディル、セリーは庭に居る

 フィーにお茶を持って行って貰ったから

 急用なの?違うならもう少し待ってあげて』

 

「ファーが気を使ってる(笑)」

 

『う~ん ・・・ 急用じゃないけど ・・・』

 

「あ~あ ・・・ 直ぐに来るな ・・・

 セリー、行ってあげて

 お茶、ありがとう」

 

「ずっと庭に居る?」

 

「チビの所に行ってくる

 やっと2番目の妖精ショーが生まれる ・・・」

 

「2番目の妖精はショーなの?」

 

「ああ、チビの名はサトシ

 二番目はショー ・・・ 名はチビが決めた」

 

 

『セリー ・・・ どこ?』

ディルが庭先でセリーを呼んだ

 

 

「どうやら待てなかったようだな」

フィーが声を上げて笑う

 

「大した用じゃないと思うんだけど ・・・

 彼奴は大袈裟だから ・・・」

 

仕方が無いって顔をして立ち上がった

 

「ディルにとってはお兄ちゃんだからな」

 

「それを言うなら

 貴方は俺のお兄ちゃんになるね」

 

「そうだな、俺はセリーのお兄ちゃんだ」

小さく呟くセリー

 

 

2人とも自分の言葉に傷付いて

青い空を見上げた

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>