Miles away 9 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

蔵の外に出ると、白い雪が地面を覆ってた
 
「本格的に降り出しましたね ・・・」
会長が、困った顔で空を仰ぎ見た
 
「気温が低いから積もりそうですね」
俺もつられて空を仰いだ
 
「乾いた雪は積もりますからね ・・・
 底冷えして来たので、もしやと思ってたら
 酷くならないといいですが
 早く母屋の方に、風邪を引いたら大変です」
 
会長は、俺を案内するように母屋に向かって歩き始める
母屋は暖房のお蔭で暖かくて、ホッと一息つく
 
「会長、日本酒造りは寒い方が良いと言いますが
 そうなんですか?」
 
「昔はそうでした、冷却設備も何もなかった時代ですね
 お酒の仕込みには温度が重要なんです
 寒い時期に仕込んだ方が雑菌の繁殖を抑えやすく
 醪の品質を管理しやすいんです
 仕込みから発酵まで、低温で発酵させた方が美味しく出来るんです
 今は、設備がしっかり整っていれば、そこまで気温に気を使いません」
 
確か、醪の発酵時は温度が上がる
その調節が大変だと聞いたことが有る
発酵が進み過ぎると、酸味が強くなるからって ・・・
 
「それが、寒造りと呼ばれる日本酒なんですね
 先程、仰ってた特別な酒、昔ながらの製法と言う事は
 出来るまでの過程は、相当手が掛かるって事ですよね?」
 
「ええ、その仕込みに入る時は神経質になりますよ
 先程の麹を作る作業などは、2,3日寝ずの番が続きますから
 いつになく大野君がピリピリしだすと、その季節が来たと思いますね
 どうぞ、腰掛けて、利き酒を始めましょう」
 
会長は数本の日本酒の瓶をテーブルの上に置いて
御猪口に酒を注いでいく
 
「この酒は切れ味が良いですね」
 
「そうでしょ、この酒は辛口になります」
 
空きっ腹に酒が入って
冷えていたからだが中からポカポカしてくる
会長は味の違う酒を、次から次に継いでいく
正直、ちょっと酔いが回ってくる
 
「この、お猪口の中の蛇の目の意味をご存知ですか?」
 
確かにお猪口の中に模様が入ってる事あるな・・・
酒好きは、そこまで気にしてないけど
 
「蛇の目の意味ですか?
 遊び心ですか?」
 
「この蛇の目にも意味があるんですよ
 日本酒の利き酒をする際
 この蛇の目の模様の白い部分で「透明度」を
 青い部分で「光沢」をチェックするんです
 これが描かれている物は
 利き酒の為のお猪口という事です
 まあ、日本酒も多種多様になってきましたから
 その酒に合った器で飲むのが一番です」
 
ワイングラスや、お洒落なグラスで飲む日本酒もある
時代と共に変化していくって事なんだろうな
酔いも手伝って、無理なお願いが口をついて出てしまった
 
「会長、大野さんが作った特別の酒
 飲ませては頂けないでしょうか?」
 
彼が作った酒を飲んでみたい ・・・
会長は少しだけ困った顔をして
 
「今、お出しした中にも彼が作った酒はありますよ」
って苦笑いする
 
「それは、幻の酒ではないですよね
 来る時、タクシーの運転手さんに聞いたんです
 地元の人でも滅多に飲めない幻の酒
 それを作っているのが大野さんですよね」
 
相当、無理難題を押し付けてるのは分かってる
会長は腕を組んで難しい顔をして
 
「う~ん ・・・ 試飲用の酒が残ってたかな? ・・・
 瓶詰めしたものは封を切れません
 奉納するものですから
 節分の酒はまだ眠りに就いてますし ・・・
 彼に聞いてみないと ・・・
 櫻井さん、お昼の膳をご用意させて頂きました
 社長も同席したいと申しておりますので
 和室でお待ちいただけますか
 大野君も昼休憩に入るはずですから、確認してきますね」
 
 
会長は俺に、最初に通された和室に上がるように告げて
母屋を出て蔵の方に歩いて行く
 
 
 
鈍い空から細かい雪が降り続いてた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
<続きます>