アンティークショップ紅玉 (エルフの国編) 4 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

出掛ける前に、もう一度眠りの歌を謳う
気難しいアンティークは特別な歌で眠らせたけど
それ以外のアンティークは、毎日の歌がないと戸惑う
その子たちは ・・・ 一週間が限界だな
 
「そろそろ行くか?」
父さんが奥から出てきて
俺に声を掛ける
 
「ああ、行ってくる
 父さん、知ってたんでしょ?」
 
「何のことだね?」
 
「ジュンのオーラ ・・・ 」
 
父さんは、難しい顔をして俯いた
 
「こっちの世界に居た時はどうだったんだ?」
 
「気になるほどの色の違いは、なかったと思う
 って言っても、自分の事で手いっぱいで
 よく見てなかった ・・・」
 
「帰って来た時は、行く前よりは輝きを取り戻してたから
 安心して、こっちに戻ったんだが
 先日、少しだけ顔を見に戻った時は酷かった ・・・
 こんなに変わるのかって言うくらい、色が沈んでる」
 
「何が有ったの?
 ジュンが不安定なのは玉座から聞いてる
 マザーも危惧してた ・・・ そこまで緊迫してる原因は何?
 玉座は国の情勢までは伝えてこない」
 
玉座は王の状態だけを伝えてくる ・・・
このままだと、ジュンは心を失くす ・・・
 
「ミルナがアスベルと結婚したことで
 ジュンが王位に就く正当性が無くなったんだ
 王族の力関係が微妙にズレてきた
 王の補佐をしていたミルナの家は役職をおわれつつある」
 
「ジュンは王として、立派に政をしてたじゃない
 なんでそうなったの?」
 
父さんは小さくため息をついて
 
「あの家がお前にした事を、問題視する王族が出てきたんだ
 蒼のエルフを無きものにしようとした家の者が
 王に就いているのはいかがなものかと ・・・」
 
今更何を言ってるんだ ・・・ 
あれだけ俺の存在を疎ましく思ってた王族が ・・・
 
「私達と血の繋がりがあれば、問題はなかったんだが
 その事まで明るみに出てしまったから ・・・ 
 いくら私が正当性を訴えても、納得しては貰えない」
 
蒼のオーラを持つ王族が二人もいる
新しい紫のオーラの時代だといっても
納得して貰えないって事か ・・・
 
「そこまで追い詰められてるの?」
 
「ああ、エルフの民が望む真の王 ・・・ それは蒼のエルフ
 そう言われれば反論は出来ない
 それでも、ジュンが揺らがなければ問題はなかった
 ただ、敏感な子だから ・・・ 
 自分が王でいることに疑問を持ち始めたんだ
 それが最大の揺るぎの原因だ」
 
そう言って、表情を曇らせた
 
「聞いて良い?」
 
「なにをだね?」
 
「王に戻る気持ちはある?
 父さんが王に戻って、母さんと結婚して
 2人の間に生まれた子供が王位を継ぐ
 そうすれば、両方の王族は納得できる」
 
ミルナの家もアスベルの家も
王家に連なる ・・・
 
父さんは困った顔をして
 
「それは、ジュンのプライドを傷つけないかね?」
 
自分の都合のいい事ばかり考えてた 
今更、父さんが王に戻るという事は
ジュンが王として不適格だったって認めることになる
 
「ゴメン、短絡的な考えだった ・・・ 
 配慮が足りないね、ジュンの気持ちを最優先に考えるよ
 そろそろ行かないと、翔が待ってる」
 
父さんが店の時計を確認して大きく頷いた
 
「ジュンの事、頼んだよ」
そう言って、俺の手を握り締めた
 
「カズ達の事お願いね
 週に一度は戻るつもりだから」
 
「ああ、気を付けていってきなさい」
 
店奥に向かって声を掛ける
「カズ、マサキ行ってくる」
 
二人が慌てて飛び出してきた
 
「智、気をつけて」
「ジュン君によろしく伝えてね」
 
「ああ解った伝えるよ
 二人とも父さんの事、頼んだね
 それと、二人にも来てもらう事になるかもしれない
 その時はお願いね」
 
カズがニッコリ笑って頷いて
 
「智、二人の面倒は任せて
 帰る時はみんなで一緒って事ですね」
 
「お父さん、失礼だと思いません?
 俺達だってちゃんと出来ますよね」
 
「そうだな、マサキ君」
 
二人が顔を見合わせて苦笑い
 
「3人が一緒なら大丈夫だよ
 じゃあ行ってくるから」
三人が店の外まで出て来てくれた
 
さあ、翔君の待つ場所に急いでいかないと
 
空を見上げれば
綺麗な月が浮かんでた
 
 
 
 
<続きます>