Ray of hope 89 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

森へ続く扉の前で、アスベルさんを待つ

あのブレスレットが語った事が真実なら ・・・

彼もまた孤独の道を選んだ ・・・ 一人で歩く道を



父さんは知っていたから、人の世界で暮らすことを選んだ

戻らなければ王位継承者の権利が、彼に移ると思っていたから



父さんですら、証の本来の意味を知らなかった




「今まで、王の直系以外のエルフが王位継承者になった事は有ったのか?」


玉座の使いである、ポケットの住人に尋ねれば



「いいえ、数千年 ・・・ ありません」



「だから、長男が王位に就くと疑わなかった ・・・ もし、継承者に何かあった時は

 権利が移るって事なのか?」


そう尋ねると、可笑しそうに


「継承者に何かあるなんてありえないんです、玉座の加護を受けているから」




玉座の加護 ・・・ 昔、そんな話してたな




「王も守られてるって事なのか ・・・ 当然か ・・・」



「継承者の力が王を越えた時、守られる順位は継承者に移ります

 いつでも王位につける訳ですから、命を落とすこともあり得る」



父さんの選択は間違っていた

だから国は荒れた、玉座が呼び戻したんだ

その時、彼はどんな思いだったんだろう ・・・ 




「なら、俺が人の国に出された理由は ・・・ 守られているなら必要ないはず

 ・・・ 成人してなかったからか ・・・」




「生まれた時からアナタの潜在的な力は、他のエルフよりはるかに強よかった

 ただ、体は脆弱でした ・・・ 何故ならこの国の時間軸で生きるには

 アナタの体は未熟だった、エルフと言うより人に近かったからです

 加護だけでは守り切れない、命の危険があったのは嘘ではありません」



つまり、彼女の家が俺を ・・・

きっと気付いたんだろう、どんな事があっても継承者は変わらないって

だから父との婚礼を押し進めた

俺が居なくなれば、娘が産んだ子が王位に就く




「継承者を辞退する事なんて ・・・ 出来ないのか?」


考えれば考えるほど、難しい事だと思う




「一つだけあります、王宮の地下に玉座の間があります

 そこで玉座と対決するしか ・・・ 但し、数千年玉座の間に入った者はいません

 それから ・・・ 言いにくいのですが、アナタの力は既にお父上を越えています

 完全に覚醒したら、アナタはこの国の始祖と同等の力を持つことになる 

 アナタにとっては嬉しくない情報ですね ・・・」



つまり王位を譲るには、次の継承者が決まらなければ無理だと




「対決?何を戦う?」



「戦いはしませんが ・・・ 私もよくわかりません、前例がないので

 アナタが人になる事を選択した場合も同じ、玉座が認めなければ無理です ・・・

 サトシ ・・・ 足音が聞こえます ・・・ 彼がやってきた」



そう言って、口を閉ざした




屋敷に続く道を見つめていると

戸惑ったっ表情のアスベルさんが、足早に近付いてきた



「では、森の家に」




「王子、どのようなお話ですか」

怪訝な顔で尋ねるアスベルさん




「申し訳ありません、人に聞かれては困ることなので

 それでは行きましょう」




そう言って扉を開けて、森の家に向かう





 

森の家に入れば、古い調度品がいろいろ教えてくれる



彼はとても誠実で良い人なんだね 

君たちは彼の幸せを願って ・・・




「座っても構いませんか?」

って、声を掛けると



「もともとは王子の家です ・・・ 私は ・・・」



そう言って立ったままでいるから


「座りましょう ・・・ 」

って促すと、ゆっくりと椅子に腰掛けた



「一つお聞きしたい事が有ったので

 単刀直入に聞きます、ジュンの父親をご存知ですか?」



その質問に、彼は吃驚した顔で見つめて

その後、視線を外して俯いてしまった



「知らない?って事ですか ・・・」

彼の瞳をじっと見つめる



テーブルの上に置かれた組んだ手が微かに震えてる



「 ・・・ ジュン様の ・・・・ 」

そう言ったまま、黙り込んでしまった




「アナタが知らないと言ったら軽蔑するところでした

 沈黙は肯定だと ・・・ 結構です名前を言わなくても

 彼女に確認します」



彼はテーブルの1点だけを見つめて

微動だにしない



「俺を王位につけたいのは貴方ですね

 それが貴方の使命 ・・・

 ジュンは今、自分の生まれてきた意味に疑問を持っています

 それを救えるのは ・・・ ジュンの父と彼女しかいない ・・・

 ジュンの母親 ・・・ ミルナさんに会える様に使いを出しました」



そう言った時、彼の瞳が動いた



「彼女から返事はあったのですか」

って、小さい声で呟いた



「いいえ、返事はいりません ・・・

 時間と場所だけ指定しました、彼女は必ず来ます

 ジュンを、誰よりもジュンを愛しているから」




彼の瞳が揺れている



「この事は父は知りません ・・・  

 お呼び立てしてすみませんでした、屋敷に戻ります

 どうしますか?一緒に戻りますか」


そう尋ねると



頭を振って


「 ・・・ 少し一人にさせてください」

そう言って、俯いてしまった





家を出る時、振り返って


「貴方も勘違いをしてる、彼女もまた俺に王位を継いでほしいと思っています」


それだけ告げて、外に出た





もし俺が生まれていなければ ・・・ ここまで複雑にならなかっただろう

全ては玉座の意志 ・・・・・







<続きます>