Ray of hope  48(翔太郎編 最終話) | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

急な屋敷からの呼び出しで、智様は出かけて行った



数時間後家に戻ったサトシ様の顔は真っ青で

慌てて駆け寄り声を掛ける




「サトシ様 どうしたんですか?」


そう言って、話しかけても

その問いに答えようとはしない


ただ、焦点の合わない瞳が宙をさまよい

その綺麗な瞳から

とめどなく泪が零れて

滴となって床に落ちる





「守れなかった ・・・ 俺の ・・・」



その一言だけが、部屋に零れ落ちる





今にも消えてしまいそうな貴方を掴まえて抱きしめると

ようやく俺の存在に気が付いて




無理して笑おうとする ・・・・ だけど出来なくて




「カズ ・・・ 大丈夫だから ・・・」




そう言い残して

俺の腕を解き部屋を出て行った





ふらふらと揺れながら、歩くのも精一杯なのに



何処に行くの ・・・ どこに

後を追うようについて行く



貴方は自分の部屋に入って、俺の前で扉を閉めた



部屋の中から漏れてきた声は

貴方の嗚咽だけ

その声が、あまりにも切なくて



胸が締め付けられるほどの悲しみにを感じた



あの方と離れたのは知っていた

あの時寂しそうに


「カズ ・・・ 心配かけたけど ・・・・ もう ・・・」


って泣きそうな顔で笑った



俺はそれ以上触れられなかった

貴方の苦悩を知っていたから

その上での選択なら

俺は貴方を支える事が全てだから




サトシ様にとって永遠の恋人




『生きてさえいてくれれば ・・・ 

 それだけで幸せなんだ』


ポツリと零した言葉 

あの時の貴方の顔を思い出す






おそらく ・・・ あの方はもう ・・・ この世界には




あの方の声を思い出す

『サトシの弟なら俺にとっても弟だよ』って言った

あの優しい言葉を思い出して、涙が溢れてくる




貴方の胸の内を想えば心が痛くて

扉の前から一歩も動けない

部屋から零れていた嗚咽が止んで、静まり返る空間




扉の取っ手に手を掛けて、貴方の名前を呼ぶ


「サトシ様 ・・・・ サトシ様 」


扉を叩いて、呼んでも返事がない




扉を開けて部屋に入っても、貴方の姿は見えなくて

窓だけが開け放たれていた




慌てて窓に駆け寄る





聞こえてきたのは貴方の歌声 ・・・・ 

泣きながら謳う貴方

その声を聞いただけで

胸が締め付けられて涙が溢れて ・・





🎶 君がいなければ ・・・ 僕になれない ・・・

 

   記憶の全てを消してしまいた ・・・ 君だけを愛していた


    ・・・・・・  もう一度会えるのなら   🎶







月のない空に響く悲しい旋律




貴方の絶望が伝わって来て ・・・ 切なくて





俺では埋められない、貴方の孤独


どうすればいい ・・・・


俺は近くに居る事しかできない





その日から、貴方の瞳は何も映さなかった

すぐにでも、生きることを止めてしまいそうで・・・



それなのに、俺の前では決して泣くことはない

その事が、切なくて悲しくて




毎日、日付が変わる頃部屋を抜け出し

陽が昇る頃に戻ってくる




心配で後をつければ

屋敷前の楠からどこかに行ってしまう




ついて行けない俺 ・・・ お願いですサトシ様を救ってください




俺は貴方の帰りを、膝を抱えて待っていることしか出来ない





部屋の扉の前で待ち続ける毎日

でも気が付くと、いつの間にかベッドに寝かされている

その優しさに、また涙が零れる







一ヶ月が過ぎた頃、

俺の前で、ほんの少しだけ笑ってくれるようになった




そんなある日、彼奴を連れて帰ってきた



「カズ、今日から一緒に暮らすマサキ」


って言って彼奴を紹介した




「カズもマサキも同じ精霊だから仲良く出来ると思うんだ

 ずっと気になってたんだ、全然声を掛けてこないから

 やっと話しかけてくれた、良く出来ましたマサキ」



って言って、マサキの背中をポンと叩いた



それから、俺の傍に来て


「カズ、黙って寄り添ってくれてありがとう」

って小さい声で呟いた




その言葉が胸に沁みて、涙が込み上げてくる



少しずつ、貴方が元気を取り戻してくれれば

俺はそれでいい ・・・ それ以外はいらないから





マサキが緊張した顔で


「カズさん、これからよろしくお願いします」

って言って、人の好さそうな顔で笑った




サトシ様は俺達二人を見乍ら



「今日から3人家族だな、きっと賑やかになる」


って言って、久し振りに嬉しそうに笑った






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こんにちは

翔太郎編はこれが最終話です



予定をはるかに超えたお話で、迷子になりかけましたが

無事書き終えました、やっと現代の二人のお話に入れます



爺さんの事も書きたかったのですが、なんせ長すぎて ・・・



切ない話ばかりで ・・・ って思われたかなと ・・・

心配しながら書いておりました




拙いお話にお付き合いくださり

ありがとうございました