Ray of hope 47 (翔太郎編) | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

この森は二人だけの空間、二人だけの世界

繋いだ掌、指から想いは伝わって

見つめ合うだけで許された気がして




二人で空を見上げる




「この季節の星空が、本当は一番綺麗なんだ

あの南に見える一番明るい星がおお犬座のシリウス

その斜め左上がこいぬ座のプロキオン

シリウスの斜め右上がオリオン座のベテルギウス

この三つの星座を線でつなげると、綺麗な正三角形になるんだ」



星空を見つめる君の顔は、まるで幼い子どもの様にキラキラしている

君は俺の手を握り直して




「綺麗すぎて ・・・ 星が降りそうで怖いくらいだ」




「ふふっ ・・・ いつも同じ言葉だね」って笑うと




「春、夏、秋 の星は見に連れてきてくれたけど

 冬だけは首を縦に振ってくれなかったでしょ ・・・

 一度来たかったんだ

 この季節の星座は、息をのむほど美しい」




瞳を輝かせて見上げた横顔が

あまりにも美しくて泪が出そうになる




「冬の寒さが影響するみたいだ

 大気中の塵が少ないから空気が澄んでる

 今日は特に綺麗だ、本当に落ちてきそうだな」




君は俺の顔を見つめて、俺の腰に手を廻し小さな声で


「もう会ってくれないって思ってた ・・・ それが怖かった」



そう言って俯いた君を抱き寄せて





「俺も同じ ・・・ 君に嫌われたって思ったから」



そう言うと辛そうに



「ごめん、俺   ・・・    

 見合いの話、止めてくれてありがとう

 何も知らないで智を責めた俺を、許してくれる」





「・・・ 爺さんか ・・・ おしゃべりだな ・・・

 君は何も悪くないだろ、嫌いになんてならない ・・・ 好きだよ」





君は俺の瞳を真っ直ぐに見て


「これからは隠さないで、喧嘩して、泣いても

 二人で乗り越えればいいでしょ」





俺達は喧嘩をしなかった ・・・ お互い嫌われるのが怖くて

拗ねた顔、怒った顔、どんな顔も大好きだよ

でも君の泣き顔だけは見たくなくて、出来なかった





「そうだね ・・・ そうしてれば ・・・」





「どうしたの?」


不安そうに見つめる眼差し





「翔太郎、これ覚えてる」


ポケットから時計を取り出して、君の掌に乗せる



「ドイツに行くとき、お守りに持たせてくれたね」

そう言いながら、時計をじっと見つめている





「これは俺の家に代々伝わるもの

 生涯を共に歩く相手に贈る大切な物


 翔太郎 これを受け取って欲しいんだ」




今だけ夢を見させて欲しい、君が受け取ってくれる細やかな夢を






花が咲いたような満面の笑みを浮かべて


「サトシ、ありがとう求婚してくれたんでしょ、とても嬉しい


 ・・・ でも、今は受け取れない ・・・

 医者になって独り立ちして

 サトシを支えられるようになったら

 その時は胸を張って受け取るから

 その時もう一度求婚して欲しい

 我儘かな」


そう言って俺の掌に時計を握らせた






「・・・君なら医者になれるよ ・・・ それまで俺が持っているよ」






その言葉で安心した君が、少し恥ずかしそうに


「サトシ、触れてもいい?」

って呟いた



その言葉に頷くと、俺の頬を手で覆って




「かけがえのない人ずっと傍に居て、俺も離れないから」



君の柔らかい唇がそっと俺に触れて ・・・ 

君からの接吻は初めてだった




君の頭を押さえ付けて、より深く、烈しく接吻ける

何度も、何度も、君の唇を忘れない様に




俺の全てを君にあげるから、どうか今だけ受け取って




君は熱を帯びた瞳で


「愛してる、今すぐにでも愛されたい、ずっと思ってた女性に生まれ・・・」



その言葉を最後まで聞きたくなくって

もう一度接吻ける




今日までありがとう ・・・ 永遠に愛してる

君の想いはこの森に置いて ・・・ 

新しい道を歩き出すんだ




「サトシに出会えたことが俺の幸せ

 もし女性に生まれ変わったら


 気付いてくれ無いでしょ ・・・ 

 それは嫌だから ・・・ 今の  ・・・ ままで

 ちゃんと待っていて」





小さく呟く君の声が聞き取れない

女性に転生しなくてもいい ・・・




「待たないから ・・・ だから忘れて欲しい」


聞こえないような小さな声で呟く




俺の声も星空に消えて

君の耳には届かなかった



君は嬉しそうに俺の瞳を見つめて笑う





愛しくてたまらない君の瞳を見つめて



全てを元の形に戻す

歪めてしまった君たちの人生を

許してほしい俺の罪を






「レェテーチェ ・・・ ミェー

 スナイガ ・・・ ダングェド ・・・  スローン 」






翔太郎に残した俺の印は全て消した




手を繋いでる君、明日の朝には全てを忘れる

君を送り届けるまでは、泣かないから

君の笑顔を覚えておきたいから




あのケースに、君を守るおまじないを施してある

君が健康に生きられるように

君のお守りだから持っていて欲しい

俺にできる最後の贈り物





俺は君から貰った思い出だけで生きていけるから

遠くから見守っているよ





どうか君が幸せでありますように


















翌年、君が医者になった事を聞いた

君の夢が叶ったんだね




翔太郎おめでとう そしてありがとう






いつも謳うよ君の幸せを祈って







<続きます>




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こんにちは

この後、翔太郎編の最終話UP予定です



打ち込みながら泣かない様に頑張ります