「お客さんは、ここは初めてかね」
「はい…」
「とりあえず、この銀色の椅子にお座りください。
その紙のエプロンは、汚さないためなのは、わかるよね」
私は言われるまま椅子に座ると、目の前の鏡に映る自分に落ち着かなかった。
「どれにします?」
「そうだなあ…」
私は、無難なものを頼んだ。
「流行りのものなんか、どうです?」
「ゴメン、冒険するつもりはないんだ。
他のやつにあたってくれ」
「お客さんが、決めることでしたね。
失礼しました」
私の職種は、みんな大体同じ髪形だから、色で勝負するのだ。
一色だったり、他の色を混ぜてみたり。
だが、私はあくまでもノーマルな白でいく。
若くはないというのか。
いや、確かにそうだ。
頭に柔軟性がないのだから。
「お客さん、できましたよ」
こうして、私は職場に向かう。
常に新鮮である。
頭から一気にいくか、なめられていくか。
あるいは、道具で、削られていくか?
ソフトといいながら、ハードな仕事をこなす。
それが、私こと、ソフトクリームの日課である。(終わり)