(創作)卒業に寄せて~ある仲間の証言より~ | ネムリ・モヤのブログ

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アートと旅と食を愛す孤高の仮面ライダー好き女

あんなに毎日学校へ一緒に出かけたのに、今日は卒業式。
あの子は、もう僕と違う人生を歩むんだな。
時々、僕のこと思い出してくれよ。
長く感じた授業も今は楽しい出来事。
時には、雨で一緒にびしょぬれになったっけ。
僕の事、電車に置き去りにしてあわてて探しに戻ってきてくれたこともあったな。
はじめてあったとき、君も僕もキラキラしていた。
若かったのもあるし、希望に胸をふくらませていたのもある。
学生生活のうちに、君は何センチ身長が伸びたんだい?
僕も君ほどじゃないけど、少し伸びたかな。
体重もずいぶん増えたんじゃないか。
僕にわざと乗っかってきて、死ぬかと思ったよ。
僕も太ったり、やせたりの繰り返しさ。
いつもいつも君は、僕と一緒だった。
だけど、明日からは、違うんだ。

だって、次は違う学校なんだろ。

僕みたいなカバンを持っていったら笑われるよ。

僕は、おとなしく家で待ってるから。

もう少しだけ、君の成長を見守らせてくれよ…。(終わり)