(創作)体を張った通話 | ネムリ・モヤのブログ

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アートと旅と食を愛す孤高の仮面ライダー好き女

テ「突然、連絡してごめんなさい。ごぶさたして、ふと、あなたのことを思いだしたものだから…」
東「いいんですよ。私、先日退職しましたから、毎日ヒマですから…」
テ「そうですか。良かった、声が聴けただけでも…」
東「なんだか、元気がありませんね。あなたらしくない。
それにしても、時代は、変わって行くもんですな…」
テ「…そうですね。私も、もうじき引退ですよ」
東「あなたが働ける場所があるのですね、うらやましい」
テ「…しかし、私は、もう寿命がつきそうですよ。仕事に人生をかけてしまいましたからね…」
東「そんなこと言わないで…。私は、後継ぎができて安泰なんですよ」
テ「うらやましいですなぁ。私の後なんてもう、誰もいないですよ」
東「おかわいそうに、後継ぎがいらっしゃらない…、時代でしょうな。
仕事もしないで大事にされていた仲間は、どうされたんでしょうねぇ」
テ「それもそれぞれの生き方ですから…。彼らを責める権利は私にはありません。
今も大事にされていると信じています」
東「私も、そんな彼らと同じように大事にされてるんでしょうかね…」
テ「きっとそうですよ。退職してからが、勝負だと思いますよ」
東「ありがとう。君のおかげで東京という街を再び眺める気分がまた違うと思うよ…」

ピピピ、ピピピ…。

どこかで公衆電話が舌を出しながら、泣いている…。
いや、舌に見えたのはテレホンカードだった。
思い出の幻影だろうか…。

今もどこかにある、公衆電話。
そこには、まだ転がっているのだろうか、穴だらけになり使えなくなったテレホンカードが。

ちなみに12月23日は、東京タワーの日。
そして、テレホンカードの日なんだ。

テレホンカードってなあに?

そんな読者もいるだろうな…。(終わり)