散歩コースの一つになっている道に、お地蔵様たちが集中している所があります。その道は元々江戸時代からのれっきとした街道で、古くから有る道とはいえ、自動車が通る現代の感覚ではかなり細くてくねくねしています。私が高校生の頃は、それが江戸時代からの古い道だとは知らなくて、その道の入り口になっている交差点を出入りする車が非常に多いことが不思議でした。どうしてあんな細い道に車が次々に入っていくのかしら、と訝しく思っていたのです。自動車の通行量が多いのも当然で、20年ほど前にバイパス道路が大体並行して開設されるまでは、この地域から○○へ至る唯一の道路だったのでした。
ここまででもうお気付きでしょうが、お地蔵様は交通事故で亡くなった方(おそらく子供さん)の供養と交通安全の願いを込めて建立されたものです。その場所は見通しの悪いカーブになっていて、勿論道幅は狭いままなので、自動車が普及し始めてからは事故が頻発しただろうことは容易に想像できます。江戸時代なら皆歩いていたので、細い道でも問題なかったでしょう。そして古くからの道なら、両脇に住居が並んでいたでしょうから、交通量が増えてもおいそれと幅を拡張するのも難しかっただろうな、と。でもそれで被害を被るのは小さな子供達、というのが、なんともやり切れません。
拙著「まだ、間に合うのなら」でも少し書いていますが、日本の道路行政は完全に自動車優先ですね。住宅街の中を通る道でも、車同士がすれ違えることが大事にされ、車道スペースを広く確保して、子供達が登下校で歩く路側帯が細くされている有り様。電信柱が立っているところなど「どうやって人が歩くの?」状態のままにされてる箇所が数知れず。車で他人を死傷させた際の罰則が異様に軽いことやら、とにかくあれもこれも酷い。