デビューシングル「ウエディング・ベル」(1981)が当たったからか、Sugarはほぼ翌1982年末ぐらいまでコミカルな歌詞を売りにした曲をメインに発表し続けてきた印象だが、セカンドシングル「アバンチュールはルックスしだい」(1982)こそそこそこにヒットしたものの、先細り感は否めなかった。セカンドアルバム「COFFEE BREAK」(1982)の付録シングルには「ウエディング・ベル その後」が収録され、1982年末にはA面が「ウエディング・ベルII」、B面が「アバンチュールはルックスしだいII」となっているシングルレコードまで発売されたものの、ここまでくるとさすがにやり過ぎという印象がある^^;(このうち「ウエディング・ベルII」だけは聴いているが、内容は妻が夫への不満をぶちまけるもので正編の主人公とは同一人物か判然としないものにされている。作詞者も正編とは別人が手がけている)

 

Sugarは1983年に入ってからこのようなコミカル路線と訣別し、スタンダードなポップスへと作風の転換を試みている感があるが、「ウエディング・ベルII」の一つ前に発表されている4thシングル「Misty Night」(1982)はそれに先立ってシリアスな曲を採り上げてみようという試みになっていて、注目される。このシングルのアレンジはそれまでの平野融ではなく前田憲男が手がけているが、いかにも前田らしい懐かしさを感じさせるようなビッグバンドっぽいサウンドで、(こちらのアレンジは平野だが)やはり往年のミュージカルを思わせる響きの前作「私◯にほリカ人」に続くものとして納得度の高いものになっていた。ミキの甘ったるい声で曲の末尾にボソッと「嘘よ」とつぶやくフレーズは、往年の「I Wanna Be Loved By You」中の「Boop Boop Bee Doop!」に近い味わいを狙っているように感じさせる。

 

「COFFEE BREAK」は1982年9月発売で、8月発売の「私◯にほリカ人」・10月発売の「Misty Night」のほぼ中間の時期にあたり、インパクトを狙ってか畳み掛けるようなタイミングで順次リリースされていたのが分かる。前作「Sugar Dream」(1981)同様作詞作曲の軸になっているのは古田喜昭(コーラスアレンジも古田)で、Sugarメンバーの自作曲が脇を固めている。同じくアレンジもほぼ平野が手がけているので作風に大きな違いはないという印象だが、前記のような流れを受けてややシリアスな曲へと軸足を移そうと試みているように感じられなくもない。前に書いたとおりこのアルバムには50,000枚限定で付録シングルレコードがついていてそちらには「ウエディング・ベル その後」などのコミカルな調子を思わせる曲が収められているようだが、そちらの付録レコードにて従来のSugarの作風のファンのニーズに応えようとしたのかな?と思わせるところがある(あいにく自分の入手したレコードはメルカリで落とした中古盤で、付録レコードはついていなかったため未聴^^;)

 

冒頭に収録されているのは「Misty Night」だが、明記はされていないもののアルバムバージョンで、ヴォーカルを務めているのがクミであるなどかなり印象が異なる。こちらのアレンジは平野担当だが、前記のとおりシングルバージョンのレトロな味わいは同じアルバムに収録されている「私◯にほリカ人」との統一感に一日の長があるような気がするので、シングルバージョンとアルバムバージョンを逆にした方がよかったように思った^^; こちらもイントロのオーケストラの美しさなど捨てがたい。

 

2曲目はイントロのコーラスの美しさが際立つ「キラキラSummerメモリー」。3曲目「女は色よ」は平野らしいラテン的色彩を感じさせる陽気な曲だ。4曲目「Who are you」はモーリ作品。シリアスタッチの曲だが、やはりサビの「Who are you」の響きの美しさのインパクトが強い。LPでいうA面最後の「Lindy」はミキ作品。これもラテンっぽい印象の曲だが、エコーの使い方がいかにも涼し気な雰囲気を醸し出している。

 

LPでいうB面冒頭は先行シングル「私◯にほリカ人」。この曲については先に言及したが、いかにもそれまでのシングル路線に続くコミカルな曲とはいえ、サウンド面ではラテン的なタッチから趣向を変えているのが目を惹く。次の「ギャルズ・パワー」はモーリ作品。軽めの曲だが、アルバムのタイトルはこの曲のなかのフレーズに由来するのか。3曲目「熱い夢」はクミ作品。このアルバム中では翳りを感じさせるが、個人的にはジェイク・コンセプションのサックスを聴きたい曲^^; ラストはモーリ→ミキ→クミの順でワンコーラスずつヴォーカルを務める大作「Bobbysox物語(夏の少女Anna)」。 この曲のみアレンジは飛澤宏元担当であるが、最後のクミ担当のLast Summerの哀感がそれまでのSugarのイメージと異なるだけに、先に触れたような作風の転換を予感させるような締めくくりとなっていると思わされた。