Madonnaのアルバム『MDNA』(2012年)より
1stシングルの"Give Me All Your Lovin'"をご紹介します。
Writer(s)はMadonna Ciccone、Martin Solveig、Onika Maraj(Nicki Minaj)、 Mathangi Arulpragasam(M.I.A.)、Michael Andre Tordjman
Producer(s)はMadonna、Martin Solveigです。
New WaveとDiscoの流れを組んだDance-Popです。
この曲がTop 10入りをしたことで(※最高位10位)、Madonnaとしては38曲目のTop10記録でエルヴィス・プレスリーと並んで歴代1位です！
いつかまたTop10入りを果たして単独一位になることを願っています！こういう記録が出るのもMadonnaがいかに長いキャリアの中チャート上で記録を残し続けているかが分かりますね。
実はこの曲、私が考えるに色んな意味で最強ソングなんです。それはこれから長々と説明していくのでよかったら読んでください（笑）
まずはこの曲のスタイルについてです。ある人は「グゥエン・ステファニ―がケイティ・ペリーに出会ったような曲」と評しています。確かにグゥエンの代表曲"Hollaback Girl"っぽい。ある人は「トニー・バジルの"Mickey"のよう」と評している。トニーさんの"Mickey"、日本ではガレッジセールのゴリさんのパロディがあまりにも有名ですね（笑）チアリーダー・ソングは明るいコーラスが入るので結局のところ、似たりよったりな印象を受けるだろう。実際に"Give Me All Your Lovin'"も盗作疑惑がささやかれてしまったのだ。いずれにせよ、元気の良いチアリーダー・ソングであるということだ。
しかし、大事なのはMadonnaがどうしてチアリーダー・ソングなんて作ろうと思ったのかだ。私は推測するに、理由は二つある。
一つ目として、スーパーボールのハーフタイムショーに出演することへのアピールだったのではないだろうか。あの夢のような舞台へ立てることへの純粋な喜びを表現したのではないだろうか。それを裏付けるかのように、MVはしっかりとアメフトの恰好をした人たちがこれでもかというくらい出演している。そしてそのアメフトの選手を応援するのは決まってチアリーダーたちである。(しかしこの仮説はこの曲の歌詞の意味を考えると、もろくも崩れ去るのである)
二つ目は、Madonnaが元チアリーダーだからである。そもそもこの曲は歌詞に"Lucky Star"が登場したり、MVにはマリリン・モンローを意識したり、過去へのオマージュがふんだんに盛り込まれているのだ。だとしたら、Madonnaの人生へのオマージュとしてチアリーダー的な要素を取り入れるのはむしろ自然でしょう。
↑上の写真はMadonnaが学生時代、チアリーダーだった時の写真である。
↑実際に『The MDNA Tour』でこの曲のパフォーマンスではチアリーダーの衣装を着てくれました。以上のことを踏まえてこの衣装を着たMadonnaを見れば「年相応」なんて言葉は邪推ではないだろうか。すべてはMadonnaの明確な意図があっての表現である。(アッパレ！)
そんなMadonnaに負けないくらいの個性を発揮している？Nicki MinajとM.I.A.です。二人を起用した理由に関して「私は二人の大ファン。生意気でユニークで、独自の声を持っている。彼女たちはありきたりのポップスターではないの」とMadonnaは言っている。
Nicki Minajは『MDNA』に収録されている"I Don't Give A"でも参加しています。『Rebel Heart』に収録されている"Bitch,I'm Madonna"にも参加していて、二作連続でアルバムに客演として招かれていてMadonnaにとってはかなり特別な女性ラッパーのようですね。
MVや曲では尊敬するMadonnaの前なのか、結構控えめな気がしますが、わずか数秒でもNickiの強烈な個性を感じさせるRapですね。ちなみにこの曲きっかけでNickiのファンになり、今では彼女のアルバムを全て持っています。
M.I.A.は『MDNA』に収録されている"B Day Song"でも参加しています。Nicki同様にこの曲きっかけでM.I.A.のファンになりました。しかしM.I.A.の曲を知れば知るほど、いかにこの曲がM.I.A.の個性をつぶしているかが分かりました（笑）でも挑発的なラップはこの曲にこれ以上ないくらいマッチングしていると思いますけど。Madonnaとのコラボをきっかけになったのか、M.I.A.はこれ以降けっこう明るいサウンドの曲を作るようになっている気がします。(しかも今度新しいアルバムを出すそうで、そのアルバムが明るいサウンドに仕上がっているそうです)
そして何よりMVでも中指をあげて挑発的なポーズをとっていますが、この曲をパフォーマンスしたスーパーボールハーフタイムショーでも同じことをして大問題になりましたね（笑）しかも大量の罰金を支払わされるハメに。さすがのMadonnaもM.I.A.に怒りを表明しました。
でもそんなM.I.A.に負けないくらいMVでは挑発的な姿を見せてくれたMadonna。露出度高めの衣装に大きな十字架のネックレスを首から下げたり、銃で撃ってくる相手からアメフトの選手が守ってくれたり、人形の赤ちゃんに○○したり、アニメ顔の女の子たちがキスしたり、久しぶりにマリリンモンロー・ルックになったり、あげればキリがないですが、こんなに面白いMVもMadonna作品としては面白いのではないでしょうか。それに普通にMVとしての質がこれでもかと言うくらい高いです。(そして何よりお金がかかっています)
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Give Me All Your Lovin’
L-U-V マドンナ
Y-O-U あなたは欲しい？
(Verse1)
あなたがやって来る姿が見えるけど あなたの名前は知りたくない
L-U-V マドンナ
あなたがやって来る姿が見えるけど そのゲームは変えてもらわないと
Y-O-U あなたは欲しい？
試してみたいの？ その理由を教えて
あなたが持てるモノすべてを私に与えて
あなたなら多分大丈夫 私に嘘をついたり
自分を偽ったりしない限りね
(Pre Hook)
馬鹿げたゲームはもうしないで
だって私は他の女のことは違うタイプだから
全てのレコードが同じように聞こえる
私の世界にあなたも踏み入れてみて
(Hook)
あなたの愛を全て私に与えて
そう あなたの愛を私にちょうだい
今日 あなたの愛をすべて私に与えて
あなたの愛を全て私に与えて
そう あなたの愛を私にちょうだい
時間なんて忘れて
人生を踊り明かそう
L-U-V マドンナ
Y-O-U あなたは欲しい？
(Verse2)
もし とても欲しいと願うなら 諦めないで 努力し続けて
L-U-V マドンナ
あなたの目の前にそれがあるでしょ 今あなたが考えることを私に教えて
Y-O-U あなたは欲しい？
他の場所で 違う時代に あなたは私のラッキースター(注1)になれる
二人でワインを飲みましょう ブルゴーニュなら最高
一滴も無駄にせず飲みほしてしまおう
(Pre Hook)
馬鹿げたゲームはもうしないで
だって私は他の女のことは違うタイプだから
全てのレコードが同じように聞こえる
私の世界にあなたも踏み入れてみて
(Hook)
あなたの愛を全て私に与えて
そう あなたの愛を私にちょうだい
今日 あなたの愛をすべて私に与えて
あなたの愛を全て私に与えて
そう あなたの愛を私にちょうだい
時間なんて忘れて
人生を踊り明かそう
(Rap Verse:Nicki Minaj)
(あなたの愛を全て私にちょうだい)
あなたの愛を全て私にちょうだい ボーイ
あなたは私のオトコにもなれるし ボーイトーイ(注2)にもなれる
移り変わる瞬間に もっと凄いライムが言える
変化の時だから もっと低い音だって出せる
UHHH(あなたの愛を全て私にちょうだい)
私はローマ人 私は野蛮人 私はコナン
寝ぼけながら あなたは私に絡みついてくる
今 動くから
私は行くよ
あなたには全てのL-U-V(愛)がある 必要な物はすべてあなたにあげた
次はY-O-U(あなた)しだい あなたが運命の人なら 一緒に進みましょう
(Rap Verse:M.I.A.)
最高にイケてる
誰にも真似できない曲(注3)
スーパソニック バイオニック ウラニウム級のヒット
そう 彼らを打ち負かして
この曲が彼らの頭の中にこびりつくことを祈ってる
一度しか言わないけど あなたのことなんて気にしてないから
(Pre Hook)
馬鹿げたゲームはもうしないで
だって私は他の女のことは違うタイプだから
全てのレコードが同じように聞こえる
私の世界にあなたも踏み入れてみて
(Hook)
あなたの愛を全て私に与えて
そう あなたの愛を私にちょうだい
L-U-V マドンナ(あなたの愛を全てちょうだい)
あなたの愛を全て私に与えて
そう あなたの愛を私にちょうだい
Y-O-U あなたは欲しい？
あなたの愛を全て私に与えて
そう あなたの愛を私にちょうだい
今日 あなたの愛をすべて私に与えて(あなたの愛を全て私にちょうだい)
あなたの愛を全て私に与えて
そう あなたの愛を私にちょうだい(あなたの愛を全て私にちょうだい そして)
時間なんて忘れて
人生を踊り明かそう
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注1➡"Lucky Star"はMadonnaの1stアルバム『Madonna』(1983年)に収録されている曲。最近では"Bitch,I'm Madonna"の歌詞の中でも登場しました。面白いのが両方の曲にNickiが参加している点ですね。そして両方ともMVが過激という.....
注2➡"Boy Toy"と言えばMadonnaの初期のボーイトーイ・ルックですね。
注3➡"誰にも真似できない"と言う歌詞ですが、先ほど述べた盗作疑惑があったせいで、皮肉っぽくなってしまいました。
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こちらは"Give Me All Your Lovin'"のRemixです。これが最高にカッコイイ。大ヒットを記録したLMFAOの"Party Rock Anthem"をマッシュアップしたようなRemixで本当に盛り上がる&完成度の高いRemixとなっております。ちなみにLMFAOとはスーパーボールハーフタイムショーでしっかり共演していましたね。
ちなみにこのRemix、M.I.A.の部分が削られてLMFAOがそこにRapで参加しているのですが、これまた何かを暗示しているようです。
さて、あまりにも長い前置きでなので、ほとんどの人がここまで読んでくれているかどうかは想像しないでおこう。最初この曲は色んな意味で最強ソングだと書きました。それはなぜかというと、
・まずはチアリーダー・ソングなのに応援される相手はMadonna本人であること。だから"Give Me All Your Lovin'"なのだ。しかもただの愛ではなく、"All"全てをあげないといけないのだ（笑）
・そしてこの曲にNicki MInajやM.I.A.やLMFAOなど、凄いアーティストが参加していること。
・Top 10記録をこの曲で更新したこと。
・歌詞以上に過激で面白いMV。そしてそれ以上に過激なスーパーボールハーフタイムショーでのM.I.A.のミドルフィンガー事件。
・彼女のキャリアや人生に対してのオマージュがふんだんに使われていること。
以上のようなことをたった数分の曲で成し遂げてしまうMadonna。
まさに歌詞に通り「私は他の女のことは違うタイプだから」である。
そして私はこの曲が収録されているアルバム『MDNA』でまさに「私の世界にあなたも踏み入れてみて」というようにMadonnaの世界に足を踏み入れて、そこから抜け出せなくなってしまったのだ（笑）
以上のことを踏まえて、高らかに宣言したい。
「この曲は最強だとっ！」
馬鹿げたゲームはもうしないで
だって私は他の女のことは違うタイプだから
全てのレコードが同じように聞こえる
私の世界にあなたも踏み入れてみて