学校で面接や自己アピールスピーチの練習をすることはよくある。
そこでのあるあるなのだが、4〜5人くらいの話を聞いていると誰が何を話したか分からなくなる。
理由はシンプルで、話す内容がほぼ同じだから。
以下のような感じである。
「人の役に立つ仕事をしたい」
「学んできたことを活かせる仕事をしたい」
「個性を活かせる仕事をしたい」
ほぼ全員がこのようなことを言うと区別はつかない。
ここで、
「今時の学生は個性がない」
「具体的なビジョンを持っていない」
と言ってしまうのは簡単だが、おじさん世代の我々でも彼らくらいの年齢の頃はおそらく同じだったはず。
おじさんは仕事の経験も豊かだからこそビジョンもあり、だからこそ物足りなさを感じてしまうのは仕方がないのだが、そのおじさんと同じ土俵に彼らを上げるのは酷である。
もちろん、ビジョンを作らせることはできるのだが...
これについては昨日(2018/7/11)の内容で述べたのでココでは省略。
「作られたビジョン」は枝や葉っぱがあるだけで根がない。
風が吹けばすぐに倒れる。
それを求めても仕方がない。
確かに彼らの話には個性が感じられないが、それでは本当に個性がないのか?
そんなことは全くない!
繰り返すが学生としての経験しかないから、仕事としてのビジョンを持つことがとても難しいだけ。
では、彼らが能力や個性を発揮するスピーチができるのか?
これはできる!
「自分の好きなこと」について話してもらうと、彼らは喜んで話し、表情を輝かせ、水を得た魚のようになる。
そこには「未来のビジョン」を話していた時とは別人がいる。
さらに、それまで人前で話すことを恐れていた子も話し出すから驚く。
その時に感じるのは、学生に近い存在だった者でさえ彼らのことを理解していなかったということ。
彼らの魅力や能力に気づいてやれていない。
さらにココでの大きな問題は、そのような彼らの声を聞く場面がないということ。
「好きなこと」は彼らが20年ほど生きてきて積み上げたもの。
それはもちろん仕事ではないが、社会人顔負けの経験をしていたり、深いこだわりがあったり、そこから何らかの意義を見出していたり...実に驚かされる。
このような話は、おじさんたちが本来聞きたい未来のビジョンに直接つながらないことがほとんどだが、とても大きなヒントにはなり得る。
彼らなりに深めたことを聞くと、「この子はこんな場面で活躍してくれそうだ」という「具体的なイメージ」が湧く。
これは何を意味するのか?
「その学生を口説きやすくなる」
ということである。
「君の深めてきたことはすばらしい! その能力は、こんな場面で発揮できそうだ。ウチの会社のこんな場面で活躍してもらえないか?」
などと具体的な話で口説けば、少なくとも興味は持ってもらえるはずである。
なぜ学生は興味を持つのか?
理由は簡単。
そこには「承認」があるからである。
人間には「承認欲求」という大きな欲がある。
過去の自分が認められ、承認欲求が満たされ、さらに活躍できる場があればそりゃ魅力的だろう。
これは学生だけでなく、我々おじさんだって同じ。
そうなるともはや、大企業や中小企業という切り口で選ぶという考えは影を潜めるのではないだろうか。
これについては、2018/7/10の内容でも述べた。
そして、この「承認」についてはまた別の機会で詳しく述べたい。
そこで、結論と提案。
採用する人物を見るには「未来のこと」よりも「過去のこと」を聞いてみたらどうだろうか。
学生に「未来のビジョン」を聞いた時、彼らは大きな制限をかけられ萎縮する。
ところが「過去に経験した好きなこと」を聞くと、彼らは解放されて実に魅力的な話をする。
この「過去のこと」こそ中小企業が優秀な学生に巡り会え、そしてミスマッチを防ぐヒントになると思う。
学生が一番輝いている場面の話を聞き、彼らが一番輝ける仕事をおじさんが提案するのである。
前回予告した、
企業は「求めること」を変えてみるのもいいかもしれない。
の内容は以上。
あくまで仮説である。
それが可能なのか、そしてうまくいくかどうかはまだ分からない。
だが試してみる価値はあると思う。
そのことをこれから検証していく。
まずは、学生が自由に「過去のこと」を話せる場を作ること。
これは学生・企業・学校の三者にとって、とても意義深いものになると考える。
すっかり長くなってしまった....
次回は、
「学生が恐れること」と「安全な場」
ということについて述べたい。