アウローラ〜夜明けに向かって〜 -4ページ目

 

 

”帝国は終滅することがない”

フィリップ・K・ディック『ヴァリス』より

 

ディックは米国のSF作家で、数多くの作品を遺し、1982年3月2日に亡くなりました。

彼の作品で最も有名なものは『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』で、リドリー・スコット監督、ハリソン・フォード主演で映画化され、『ブレードランナー』というタイトルでディックが亡くなった1982年、公開されました。

 

1974年3月、ディックは親知らずを抜いたことで激痛に見舞われ、薬局に鎮静剤を配達してもらいます。

鎮静剤を持ってやって来た薬局の女性を玄関に出迎えた時、女性が身につけていた魚の形のネックレスに目を奪われます。

 

ネックレスの中央に刻まれている魚のシンボルが何を意味するのか、ディックが女性に質問すると、女性は応えて云いました。

「これは昔のキリスト教徒が使っていた徴なんです」

 

このわずかな数秒の間に、ディックはフラッシュバックを体験し、ディックの精神は過去へトリップします。

そして、古代ローマ帝国の時代に生きていた自分の過去生を思い出したのです。

 

古代ローマ帝国の時代、初期のキリスト教徒であった当時のディック~トマス~は、キリスト教を弾圧していた古代ローマ帝国の官憲に追われ、脅えながら逃亡生活を送っていました。

 

”帝国は終滅することがない”

 

これは、キリストへの信仰に生きながら、同時に強大な古代ローマ帝国の支配下でいつ官憲に捕らえられ、激しい拷問の末に処刑されるかもしれない、という恐怖と抑圧の元で息を潜めて生きていた過去生のディック~トマス~の、古代ローマ帝国に対する絶望を吐露した言葉です。

 

この神秘体験を皮切りに、ディックの身に次から次へと神秘体験が押し寄せ、幻視や霊聴から霊的情報を受けとるようになります。

そしてディックは大変重要な情報~救世主がこの世にいる~という情報を受けとるのです。

 

ディックは救世主を探して奔走し、ある日、ふと耳を傾けたラジオ番組で「キリスト・マイトレーヤが再臨しています」と話すベンジャミン・クレームさんのインタビューを耳にします。

 

ディックはクレームさんが世界に発信し続けていた情報~キリストの再臨~を真摯に受けとめ、その情報は真実であると、クレームさんに賛同します。

 

ディックはこの実体験をフィクションも織り交ぜて『ヴァリス』という小説にしたため、キリスト・マイトレーヤの再臨を心待ちにしながら亡くなりました。-

 

 

©Philip K.Dick

 

 

 

 

 

2月24日、ロシアが一方的にウクライナを侵略した日以降、ずっとこの戦争-ロシアは「特別軍事作戦」などと今も主張していますが、これは紛れも無く「戦争」です-の戦況を見守ってきました。

 

ロシアやロシアに与する連中が世界中に垂れ流し続ける、根も葉もない虚偽の数々~醜悪なプロパガンダ、フェイクニュース、陰謀論~に浅はかな人たちが取り込まれ、信じ込んでその虚偽情報を更に拡散することで、ロシアがウクライナに対して行なった、今も行なっている、虐殺や拷問、女性や小児児童に対する性的暴行、強制連行、文化の破壊に間接的に加担していくさまも見ていました。

 

プロパガンダに関しては戦時に相手国を貶める為に繰り広げられる情報戦と捉えられなくもないのですが、陰謀論までも情報戦の1つとして採用するロシアのありさまに、ロシアと云う国の行く末が思いやられ、ロシアの外相ラブロフが「ヒトラーにはユダヤ人の血が流れている」という陰謀論を公の場で公言した時には、ロシアの行く末を本気で心配しました。

 

外相ラブロフは、「ヒトラーはユダヤ人だった」という陰謀論を持ち出すことで、「ナチスのヒトラーがユダヤ人だったのだから、ユダヤ系のゼレンスキー大統領をネオナチだとするロシアの主張は成立する」と言いたかったのでしょうが、「ヒトラーにはユダヤ人の血が流れている」という説は昔々に流行った稚拙な陰謀論の1つで、今では根も葉も無い虚偽であると判明しています。

 

当然ながらこの発言はイスラエルから猛反発を受けました。

 

プーチンがさっそく火消しに回りましたが、ロシアが主張し続けている「ウクライナはネオナチ国家だ」という言説に真実味を持たせる為に「ヒトラーにはユダヤ人の血が流れている」という陰謀論を引き合いに出したことで、比較的友好な関係だったイスラエル-ロシア間に決して小さくはない亀裂を生じさせてしまうことになりました。

外務大臣が、私的立場ではなく「ロシア」という国の看板を背負った公的立場で堂々と陰謀論を主張してしまうという見境の無いありさまに、ロシアの行く末を本気で心配してしまったのですが、とは言ってもロシアという国は元々、世界中にはびこっている数多の陰謀論の揺籃の地であり、陰謀論の温床、醸成国家ですから、外相ラブロフが陰謀論を国際社会に対して公言したことも、殊更驚くことではないのかもしれません。

 

 

 

20世紀初頭、『シオン賢者の議定書』という怪文書がヨーロッパに出回って広く読まれました。

この書はユダヤ人を貶める為にロシアが秘密警察に捏造させた、いわば国家ぐるみで仕上げた虚偽文書なのですが、結果的にヨーロッパ各地でこの書が広く出回り、ヨーロッパの人々の間に元々燻っていたユダヤ人に対する反感や憎悪をいたずらに刺激して反ユダヤ主義を勢いづけることになり、ユダヤ人が世界を支配して人類を奴隷化し、世界を破滅に追いやろうとしているというユダヤ陰謀論が広く深く、人々のマインドに浸透し、やがて後のヒトラーとナチスという怪物を生むことになりました。

 

この書がもたらしたインパクトは絶大で、人々のマインドに深く広く浸食していったユダヤ陰謀論の悪影響は非常に深刻でした。

 

ヒトラーとナチスを生んだのみならず、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによってユダヤ人が強制移送され絶滅収容所で殺戮されていることが知られていながらも、一部を除く欧州各国はユダヤ人を積極的に救済することをためらい、結果的にナチス・ドイツによる大量殺戮(ジェノサイド)を許してしまったのです。

 

元はといえば、ユダヤ陰謀論は『シオン賢者の議定書』という捏造文書、つまり、ロシアが国家ぐるみで吐いた嘘八百から生まれた根も葉もない暴論であり、この捏造文書が結果的にヒトラーとナチスの台頭を許してホロコーストに繋がったのですから、ユダヤ陰謀論とナチスはコインの表裏、つまり表裏一体であり、切っても切れない関係にあります。

 

「ウクライナはネオナチ国家だ」とロシアは主張し続けていますが、ロシアがウクライナの人々に対して虐殺や拷問、強姦を断行してウクライナの人々の尊厳を踏みにじり、或いは強制連行して選別(ろ過)収容所に収容し、反ロシア分子を炙り出して拷問或いは処刑し、侵略した地域ではウクライナの文化を否定し破壊してロシア通貨やロシア語の使用を強制しているさまを視れば、「一体どちらがネオナチなのか?」という疑問が自然に湧き上がってきます。

ロシアがウクライナに対してやっていることの全てがかつてのナチス・ドイツの蛮行と非常に似通っているのは誰の目にも、火を見るよりも明らかです。

上記でご説明した通り、ユダヤ陰謀論とナチスは表裏一体の関係にある為、ユダヤ陰謀論を生んだロシア国家の振る舞いがナチスと似通っていることはさして驚くにあたらず、寧ろ当然の帰結です。

 

 

ヒトラーは若い頃からユダヤ人に対する反感、憎悪を抱いていました。

そして自らも参戦して大怪我を負った第一次世界大戦でドイツ帝国が大敗したことを、「大ドイツの威信が踏みにじられ、地に堕ちたのはユダヤ人のせいである」と、ドイツ帝国の失政を棚に上げて、ドイツ帝国の大敗には何一つ関与していない無実のユダヤ人に責任転嫁したのです。

この男の病的な被害妄想がナチスを生み、当初は弱小野党に過ぎなかったナチ党は、戦後の不況と貧困に疲弊し、大ドイツの威信が地に堕ちたことで精神的にも堕ちていた殆ど多くのドイツ国民の支持を得て第一党となり、ドイツはナチスが支配する「ならず者国家」に成り果ててしまったのです。

このあたりの経緯は、長い記事になりますが、過去記事で既に詳述しています。

 

 

 

 

プーチンはKGB職員だった当時、東ドイツにいて「ベルリンの壁」の崩壊を目の当たりにしました。

東西冷戦が終結してソ連が解体し、ソ連解体の機運に乗じて一部の人が巨万の富を得て後のオリガルヒ(新興財閥)になっていきましたが、ロシア全体としては自由市場経済の荒波に揉まれて財政が危機的状況に陥り、貧富の差が拡大して貧困の増大が深刻化していきました。

かつてのソ連邦の属国であった国が次々に独立し、かつて米国と繰り広げた東西冷戦の東の覇権国としてのロシアの威信は影を潜めていきました。

 

プーチンの心理にはかつてのソ連邦ではなく、ロシア帝国に対する郷愁がある、という説があります。

プーチンはロシア帝国の初代皇帝ピョートル大帝を殊の外尊敬しており、かつてのロシア帝国の版図を取り戻したいのだ、とも言われています。

 

確かにプーチン自身が「ロシア、ベラルーシ、ウクライナは三位一体である」と公言しています。

 

ウクライナは小ロシア、ベラルーシは白ロシアという旧称があり、「ロシアと三位一体」というプーチンの発言には歴史的根拠があるように、うっかりすると思えてしまいそうになりますが、これはプーチンの都合のよい歴史の曲解、誤謬に過ぎません。

 

要は、今となっては完全にロシアから独立して主権国家となったウクライナとベラルーシに対して、その独立も主権も一切認めない、この二国はロシアのものであり、ロシアそのものであり、ロシアにならなければならない、とプーチンは言っているのであり、これはつまり、主権国家ウクライナに対する蹂躙を正当化する支離滅裂な言い分なのです。

 

 

プーチンはウクライナという国の主権どころか存在すら認めていません。

「ウクライナなどという国も民族も無い、ウクライナと称する地はロシアであり、そこにはロシア人がいなければならない。その地がウクライナと呼ばれ、ウクライナ人という民族が居住しているならば、誤りを正さなけれなならない。ウクライナはロシアにならなければならないし、ウクライナ人はロシア人にならなければならない」という空恐ろしい本音が、プーチンの心理の底にはあるのです。

 

 

そのような歪んだ心理にマインドを侵食された独裁者プーチンの指令に従うロシア軍によって、一方的に侵略され、虐殺や拷問、強姦や文化の破壊をし尽くされているウクライナの人々に対して「武器を置いて話し合え」と提言する人がいますが、ウクライナという国やウクライナ人の存在を否定して地球上から殲滅し、完全にロシアに同化させることを意図し、交渉も宣戦布告もせずにいきなり軍隊を侵攻させたロシアのプーチンに対して、武器を置いて話し合うことは全く非現実的であるし、このような相手に対する対応としては完全に誤っており、武器を置くことも戦わずに話し合うことも不可能であることは自明の理です。

 

 

実際、ロシア侵攻後にロシア側とウクライナ側が停戦交渉のテーブルに着いていた時も、ロシア軍はウクライナに対する侵攻、攻撃を一時的にせよ停戦するという配慮は一切しませんでしたし、武器を持たない人々が安全地帯に避難する為、人道回廊で避難中にも、彼らが乗車した避難用バスをロシア軍は砲撃しました。

 

大きく「子ども」と明記して、子どもを初めとする武器を持たない一般市民が避難し身を寄せていることを示した劇場や大型施設、学校や病院、人々が暮らすアパートをロシア軍は躊躇なく砲撃し爆撃しているのですが、これはウクライナの人々に底知れない恐怖を与えてロシアに服従するように仕向けるか、ウクライナ人という民族の殲滅を意図しているからです。

 

 

 

第二次世界大戦の開戦前、ヒトラーの要求をある程度黙認してやればヒトラーのナチス・ドイツともお互いに妥協点を見いだして上手くやっていけるし、ヒトラーもそれ以上は望まないだろうと楽観視し、ヒトラーとナチス・ドイツに対していわゆる宥和政策を英国のチェンバレンと仏のダラディエが採用し続けましたが、見事にヒトラーに裏切られました。

英仏が手出ししないと見るや、ヒトラーは自身の野望の赴くまま、ヨーロッパ大陸を蹂躙し、結果的にユダヤ人を初めとする多くの人々の血が流されることになりました。

この時、チェンバレンから政権交代したウィンストン・チャーチルのみが、ヒトラーとの話し合いやヒトラーに譲歩することを断固として拒否し、ヒトラーとナチス・ドイツのような相手に対しては、これを徹底的に退け、完膚なきまでに打ち負かさなければならないと主張し、英米率いる連合国が枢軸国(独、日、伊)による侵略行為に対して防衛戦争を展開しました。

歴史を振り返れば、結果的にチャーチルの判断が正しかったことは云うまでもありません。

 

このような過去の経験と、2014年にロシアがウクライナのクリミアを勝手に併合した時、ロシアに対して戦わずに部分的な経済制裁のみしか課さなかった時の教訓を踏まえた上で、米国や欧州各国は現在、ウクライナに対して出来る限りの軍事支援を行なっているのです。

 

ちなみに、ロシアがウクライナに侵攻する兆候をいち早く掴んだ米国はその情報をウクライナや西側の同盟国と共有し、ロシアにウクライナ侵攻を思いとどまらせるよう水面下で働きかけていました。

ドイツ、フランス、英国もロシアに働きかけましたが、ロシアは受け入れず、ウクライナに侵攻しました。

 

戦争回避に向けて各国が惜しまずに奔走し、努力したのです。

 

この戦争中も各国が水面下でロシアに戦争をやめるよう働きかけていますし、フランスのマクロンなどは度重なるプーチンとの数時間に及ぶ電話会談で、戦争をやめるようにプーチンを諭し続けています。

 

各国のウクライナに対する軍事支援を「戦争を煽っている」とか、「軍事支援するから戦争が終わらないんだ」などと主張し批判している人たちは、もう一度、一度とは云わず二度、三度と過去の史実と報道を見直し、プーチンが仕掛けたウクライナに対する侵略戦争に対して、各国がウクライナに対する軍事支援のみならず、如何に戦争回避に奔走しているか、そして、ウクライナに侵攻したロシアのプーチンの真の意図を、その発言と客観的事実から、報道と照らし合わせて各方面の専門家の意見や解説も参考にしながら、何度も何度も吟味し再考したら良いです。

 

 

ところで、プーチンとの関わりという点で、プーチンに接近し親密な関係を築いていた米国のドナルド・トランプについても言及しておきます。

トランプの支持勢力にはQアノンという匿名の勢力があり、Qアノンはインターネットの匿名掲示板を利用して数々の陰謀論を披露し、陰謀論に絡めて「トランプは世界の救世主である」などとというとんでもない主張を繰り返していました。

 

Qアノンが垂れ流す陰謀論やトランプの虚像を信じ込んだ人々がQアノンに扇動され、米国の国会議事堂襲撃事件を引き起こしましたが、トランプの主たる支持勢力はQアノンに洗脳された陰謀論者の他、KKK(クー・クラックス・クラン)、PROUD BOYS(プラウド・ボーイズ)といった極右の白人至上主義団体、ユダヤ教右派やキリスト教原理主義者がいることも特筆すべき点です。

 

「トランプの時代、米国は戦争をしなかった。トランプは平和主義者だし、世界に平和をもたらす救世主だ」と主張してはばからない向きが多くいるのですが、トランプは戦争をしなかった代わりに世界中を飛び回り、日本を初めとする各国に高価な殺戮兵器を大量に売りつけ、武器商人としての顔を隠そうともしませんでした。

 

トランプが政権を握っていた当時は白人至上主義者たちが息を吹き返し、米国の各地で黒人を初めとする有色人種が白人至上主義を信奉する白人によって襲撃され、迫害され、差別を享け、米国社会が分断されてしまい、暴力が蔓延してしまいました。

 

トランプはメキシコとの国境に壁を築き、貧困と飢餓に苛まれ、中南米から一縷の望みをかけて米国に入国しようとする移民を遮断しました。

そもそも、中南米諸国が貧困に喘いでいるのは、過去の米国による内政干渉が原因です。

当ブログでは米国が南米チリに対して何をしたのかを過去記事で詳述しました。

 

 

米国の経済基盤は中南米諸国からの合法、不法含め移民の労働力によって下支えされているという現実を一切顧みず、「不法移民が米国民の職を奪っている」というあまりに安易かつ浅はかな考えに囚われ、トランプはメキシコ国境に壁を建設し、米国と中南米諸国を視覚的、物理的、心理的に分断したのです。

 

更にトランプは「エルサレムをイスラエルの首都として正式に認める」などと発言し、テルアビブにある米国大使館をエルサレムに移転させると発表しました。

トランプのこのような一方的な発言は中東諸国に一気に緊張をもたらし、世界を震撼させました。

エルサレムはユダヤ教、イスラム教、キリスト教の三大宗教の聖地であり、イスラエルはエルサレムを巡ってパレスチナと激しく対立もしています。

国際社会は様々な観点から、エルサレムをイスラエルの首都とは認めていないのです。

 

トランプの政策を全否定するつもりはありませんが(常識を兼ね備えたホワイトハウスの職員や官僚、共和党議員が必死にトランプの手綱を引いて制御していたので)、バイデンとの一騎打ちで敗退したことを認めずに「選挙に不正があった」とトランプ自身が選挙に絡めた陰謀論を展開し、支持者たちが国会議事堂を襲撃し乱入するのを止めるどころか煽り立てていたトランプの振る舞いも含め、トランプが「平和の使者」「世界を救う救世主」という主張のどこに正当性を見出すことが出来るのでしょうか?

 

トランプを支持する右翼系、陰謀論系のメディアで代表的なものに「ワシントン・タイムズ」という新聞媒体があります。

米国の正統且つ権威ある新聞媒体はニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストがあり、名前が似通っていて紛らわしいのですが、ワシントン・タイムズはニューヨーク・タイムズともワシントン・ポストとも一切関係ありません。

ワシントン・タイムズの報道をニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストの報道と同等に扱い、大真面目に採り上げている人を時々見かけますが、正直申し上げて、見ているこちらが恥ずかしくなります。

ワシントン・タイムズの創立者は某カルト団体の創立者であり、この某カルト団体は宗教の皮を被った極右団体で、日本の元首相A氏とも深く繋がっています。

ちなみに、トランプを強力に支持し、匿名掲示板に数多くの陰謀論を書き込み米国社会を混乱の渦に陥れたQアノンは、日本の某巨大掲示板とその創始者とも浅からぬ繋がりがあることが指摘されています。

A氏もまたトランプに負けず劣らず、プーチンに接近してプーチンを「ウラジーミル」とファースト・ネームで呼ぶほど親しくしていました。

 

A氏を強力に支持し続けた日本の極右は、かつての大日本帝国が、「欧州列強によって植民地支配されているアジアを解放してアジアと大日本帝国が共に繁栄する大東亜共栄圏を築くべく、大日本帝国軍はアジア諸国に進軍した」「南京大虐殺など無かった」と主張してはばからず、その一部は大日本帝国が同盟を結んでいたヒトラーのナチス・ドイツをも礼賛してはばかりません。

曰く、「ヒトラーは世界を支配し人類を奴隷にしようとしているユダヤ人から世界を救おうとした救世主だ」と主張し、挙句の果てには「ホロコーストは無かった」「ナチスは絶滅収容所もガス室も建設していない、ヒトラーとナチスを貶める為に連合国側が仕組んだでっち上げだ」などという支離滅裂な陰謀論を展開しています。

 

つまり、大日本帝国を、善なる側に立つ平和の帝国とする主張に整合性を持たせる為に、大日本帝国が同盟を結んだヒトラーにも善人になってもらわなければ都合が悪い、という訳です。

 

このような主張や陰謀論は、ヒトラーを崇拝し、ナチス・ドイツを礼賛するネオナチの主張とも一致しており、極右とネオナチの親和性が垣間見られます。

 

云うまでもありませんが、ナチス・ドイツは絶滅収容所を建設してガス室を設け、ユダヤ人を初めとしてヒトラーが劣等民族と見下すスラブ民族やロマ、同じドイツ人であっても同性愛者や身体障がい者、精神疾患の患者、アルコール依存症の患者等をも選別して収容所に送致し、大量虐殺しました。

絶滅収容所もガス室もナチス・ドイツによって建設されて実在したし、ナチス・ドイツによる大量虐殺(ジェノサイド)~ホロコースト~は実際にありました。

 

欧米の正統な歴史修正主義の学者たちも一時期、ホロコーストは無かったのではないか?と疑い、研究と検証を積み重ね、結果的に「ホロコーストはあった」と結論づけています。

 

それから、「大日本帝国がアジア諸国を欧州列強による支配から解放して大東亜共栄圏を築き、日本が主導してアジアに平和と繁栄をもたらそうとした」とか、「南京大虐殺は無かった」とかいう主張も、言うまでもありませんが、全くの虚偽です。

資源の無い日本がアジア諸国を侵略してその国の文化伝統を破壊し、その国の人々に日本語の使用や日本名を強制し、日帝を崇拝することを強要し、人々の財産を思うまま略奪して気まぐれに虐殺し、欧州列強と同じようにアジア諸国を支配してその国の資源を奪い、好きなように搾取しようとした、というのが実情です。

つまり、大日本帝国は欧州列強の帝国主義を猿真似しようとしただけであり、そこにはアジア諸国を尊重し、実りある国交を確立しようとする真摯さや、アジア諸国の人々の人間としての尊厳に対する配慮は一切ありませんでした。

南京大虐殺も実際にあった、と明記しておきます。

 

現人神である日帝を冠する大日本帝国が卑劣な侵略国家であってはならないし、大日本帝国が手を結んだヒトラー率いるナチス・ドイツも絶滅収容所やガス室といった悪魔の装置を設けてユダヤ人を初めとする人々を大量殺戮した「ならず者国家」であってはならない、つまり、日本の後ろ暗い過去を浄化して過去の日本の振る舞いを正当化したい、という歪んだ愛国心理が、史実を直視することを妨げて、大日本帝国の主導による大東亜共栄圏の虚像を信じ込み、「南京大虐殺は無かった」という説を造り上げてしまったのだろうと察します。

 

極左は極左で、とにかく反米、米国憎し、という米国に対する病的な反感、憎悪感情から、何から何まで米国のやることなすことがとにかく気に入らない、という盲目的な心理に陥り、ウクライナを軍事支援する米国を貶めたいが為にロシアを擁護し、挙句の果てには「米国はウクライナに代理戦争させている」「米国は第三次世界大戦を引き起こそうと企んでいる」などという陰謀論に飛びつき、衝き動かされているようで、頭が痛い限りです。

 

米国のこれまでの悪しき所業は当ブログでも過去記事で幾つか採り上げました。

 

 

然しながら、上記記事で詳述した米国の所業はかつての東西冷戦下でのことであり、米国に対峙した旧ソ連も世界の裏で暗躍し、米国と対立して世界の覇権を競い合う中で、旧ソ連も米国の所業と少なからず同じようなことを他国に対して行なっていたのです。

かつて東西冷戦下で、米国と欧米の西側諸国による軍事同盟NATO(北大西洋条約機構)と対峙していた、旧ソ連が主導するワルシャワ条約機構の同盟国(東側諸国:チェコ、スロバキア、ハンガリー、ポーランド、ブルガリア、ルーマニア、アルバニア)や旧ソ連の属国が、ソ連解体後、ワルシャワ条約機構が解散すると共に続々とNATOへ加盟を申請し、ロシアから離れていったのは、それらの国々が旧ソ連によって抑圧され、弾圧され、酷い目に遭わされていたからです。

NATOの東方拡大が、プーチンにウクライナ侵攻を決意させる引き金の一つとなったと云われていますが、今回のスウェーデンとフィンランドのNATOへの加盟申請も併せて、NATOの拡大はロシアの他国に対する振る舞いに原因があるのであって、NATOにも欧米諸国にも何ら責任はありません。

 

時代や世界情勢、各国との関わりに応じて米国やロシアに限らず、国家の為すことの善悪や他国に対する振る舞いは、当然ながら変わるし、一律ではあり得ません。

 

人には様々な側面があります。

そして人は経験に基づいて学び、教訓を得て成長していき、やがて人生経験から智恵を得て、相手に応じて態度や言葉を考慮し、社会の中で軋轢を生じさせることなく皆が気持ちよく生きていけるように配慮できるようになります。

 

国家も同じです。

 

国内外の政治や国際関係論を理解する上で、難しい学問を履修する必要はありません。

国というものは人が集まった集団ですから、人としてごく普通の常識、良識、他者に対する配慮と尊敬、そして健全な良心があれば、どちらの国が正しくてどちらの国が正しくないのか、何が正しくて何が間違っているのか、自ずと判断出来るようになります。

 

「どっちもどっち」などという都合の良い魔法の言葉で、「攻められる側にも問題がある」などと訳知り顔をして誤魔化すことが人として如何に未熟で愚かな振る舞いか、わかるようになります。

 

 

 

今、世界には、かつて失われた帝国の虚像にしがみつき、執着し続ける旧い時代の意識に囚われた人(国)と、帝国の檻から脱出し、独立と自由と正義と平和を求めてもがき苦しむ、新しい時代の意識に目覚めた人(国)が混在しています。

 

史実を直視し、歴史から学びと教訓を得て潔く過ちを認め、他者(他国)に対する最大限の尊敬と配慮を養うことで、人も国家も自らを浄化し、正しく在ることが出来るのではないでしょうか。

 

 

 

”帝国は終滅することがない”

 

フィリップ・K・ディックは古代ローマ帝国の支配下で、抑圧され、恐怖しながらひっそりと生きていた、初期キリスト教徒であった過去生の自分~トマス~が古代ローマ帝国に対して吐露した思いとして、過去生の自分~トマス~から”帝国は終滅することがない”というメッセージを受けとりました。

 

"帝国”とはただ単に古代ローマ帝国の圧政を意味するだけではなく、肉体という檻の中に閉じ込められた魂の叫びをも表わしていることが、『ヴァリス』の中に書かれています。

 

”帝国”の強大な支配体制下で強いられた強権的な政治による、人間性を否定された、抑圧された社会-他人種や他民族に対する差別や排斥、他宗教に対する不寛容や弾圧、身分差による支配階級の横暴と被支配層が享けている非人間的な扱いという不平等-このような、人間性を完全に否定し、人間性の健全な発露を阻害する、あらゆる束縛と抑圧、弾圧を、”帝国”は象徴しているのです。

 

本当の私たちである魂は、肉体に備わる人種や各民族独自の文化伝統、宗教というものに対して、他人種、他民族、他文化や他宗教を差別し排斥したり、優劣意識を持つような、不寛容で偏狂的、狭小的な意識とは全く相容れず、魂は同胞意識と多種多様性を尊重する意識しか持ち得ません。

 

そして魂は、人間1人1人が持つ唯一無二の個性が、何ものにも抑圧されず、歪められずに自由に健全に輝き出すことを求めています。

 

肉体の内奥に閉じ込められている本当の私たちである魂は、人間1人1人の個性と国や地域や民族文化の多種多様性が尊重され、信教の自由が保障され、私たち1人1人が、全ての人間は互いにとっての兄弟同胞であるという認識を深め、互いに和合し協力し合い、助け合う生き方を、私たちが地上世界に実現させる時を心待ちにしているのです。

 

キリスト・マイトレーヤが、人間本来の正しい生き方を私たちが地上世界に実現しようとして奮闘し、もがき苦しんでいる今この時代に世界の表舞台に戻ってきているということは、私たちにとって、本当の私たちである魂が万軍の力を得たことを意味します。

 

今この時代は歴史的時代の幕開けであり、新時代の幕開けを、私たちは今まさに迎えているのです。

 

ディックは”帝国”を象徴する<黒き鉄の牢獄>からトマスを含む人々が脱出し、走り回って笑い転げ、完全なる幸福の中に包まれた場面をも幻視しました。

 

「救世主のことか。

もちろん見つけてみせるとも。

どこかにいるはずなんだ。

僕の頭の中にいるトマスもね、トマスは知っていたんだよ。

トマスは少し前までイエスがそこにいたことを覚えていて、戻ってくることを知っていた。

みんな嬉しそうに、本当に嬉しそうに、彼~キリスト~を歓迎する準備をしていた。

すごい饗宴だったよ。

みんなはまったく嬉しそうに興奮しきっていて、走りまわっていた。

みんな、<黒き鉄の牢獄>から走り出して、笑っていたよ。

みんながそこから出て・・・走り回り、笑いころげ、完全に幸福だった。

ぼく(トマス)もその中にいたよ」-

 

 

 

 

 

 

引用参考文献

『ヴァリス』フィリップ・K・ディック著(東京創元社)