Alain Planes (アラン・プラネス)
ドビュッシー/ベルガマスク組曲 1.プレリュード/演奏:金子一朗
玉子焼き のの字太巻き 花見酒 永野七梟
ドビュッシー :ベルガマスク組曲
この作品は4つの小曲から成っている。初期のピアノ作品で、1890年ころから書き始めたが、完成に至るまではほぼ15年という長い年月がかかっている。ドビュッシー独自の語法はまだ確立しておらず、マスネ、グリーグ、サン=サーンスなどの影響が顕著にみられる。
「ベルガマスク」というタイトルの由来については、いろいろな説がある。イタリア在学中、北部イタリアのベルガモ地方を訪問した際、その地方独特の舞曲「ベルガマスカ」に強い影響をうけ、この名前もそこに由来している、というものや、詩人ヴェルレーヌの詩集《雅びた宴》のなかに出てくる「18世紀の宮廷的(ベルガマスク)な」という言葉が関係しているであろう、というものがある。
〔第一曲〕プレリュード
モデラート、四分の四拍子。和音に支えられた印象的な旋律が、リズムの変化や楽句の反復により展開していく。
〔第二曲〕メヌエット
アンダンティーノ、四分の三拍子。「きわめてデリケートに」と指示があり、その敏感な動きは、18世紀フランスのクラヴサン作曲家の作品に通じるような、洗練された美しさがある。
〔第三曲〕月の光
アンダンテ・トレ・エクスプレシィフ、八分の九拍子。ドビュッシーの作品の中でも一般的に広く親しまれている曲。ヴェルレーヌの詩集『雅びた宴』の中の一つ、「月の光」でも、ベルガマスクという言葉がみられる。この詩では、一見楽しそうではあるが、仮面の下には悲しみや郷愁の念をかくしもっている道化師たちの様子がうたわれている。
〔第四曲〕パスピエ
アレグレット・マ・ノン・トロッポ、四分の四拍子。パスピエは本来3拍子のフランスの古舞曲であるが、ドビュッシーは、四拍子で作曲している。
ベルガマスク組曲:第1曲 前奏曲
即興的で自由に明るく始まる様子は桜の満開になる前の活き良いが感じられる。ところが、必ずしも明るいだけの響きにならないのは、教会旋法を巧みに織り交ぜているからです。後年のドビュッシーの作品にはない、ロマン的な味わいのある作品ですが、音域が広いにも関わらず、同時に対位法的な表現も多く、しかも古典派の質感もあり、楽譜に書かれた通りに演奏することはなかなか難しいと思います。