Serge Chaloff - Blue Serge ( Full Album ) | 七梟のブログ

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Serge Chaloff - Blue Serge ( Full Album )

「サージ」というのは辞書によると、「表面に対角線状の畝を持ち,梳毛(そもう), 紡毛,綿,絹やレーヨンでつくる実用的な織物」のことだそうだ。バリトン・サックスを持つ美女とブルーのサージをあしらったジャケットがお洒落な、サージ・チャロフの名盤である。
 
1. "A Handful of Stars" 5:33 
2. "The Goof and I" 4:45 
3. "Thanks for the Memory" 3:46 
4. "All the Things You Are" 5:24 
5. "I've Got the World on a String" 6:44 
6. "Susie's Blues" 5:08 
7. "Stairway to the Stars" 4:50 
8. "How About You?" 5:23
 
 
Personnel: Serge Chaloff (baritone saxophone); Sonny Clark (piano); Leroy Vinnegar (bass); Philly Joe Jones (drums).
 
チャロフの生涯最高と賞され、また最後のアルバムで、タイトルは彼の名前をもじったものです。青いサージ(服地)、青白い電光(blue surge)、物憂い(blue)なSerge・・・。ジャケの写真通りだと思います。

ソニー・クラーク、リロイ・ヴィネガー、フィリー・ジョー・ジョーンズという文句のつけようのないメンバーです。内容はスローバラードです。沈む重低音から、太い中域、そして最高音に至るまで、キッチリ使い分けています。
 
さて、リーダーであるチャロフは、ジョーンズと一度だけジャムったことがあるだけで、他のメンバーとは初顔合わせ。リハーサルもせず、スタジオに入ってから、その場でやる曲を決めていったそうだ。演奏のレベルがあまりにも高く、全員の息がピッタリ合っているので、僕はこの情報を読んだときにずいぶん驚いた。
 
ジャズ・ミュージシャンが初対面でも「会話」を成立させられることはよく知っている。同じようなジャム・セッション形式で録音された名盤がたくさんあることも知っているし、聴いてもいる。それでも、それにしても、このアルバムの完成度の高さは尋常ではないと思うのだ。ただ4人の名手を集めれば、それだけで自動的に名盤ができるとも限らない。
 
内容は、リラックスした雰囲気のストレート・アヘッドな4ビート・ジャズで、僕の好みのど真ん中を突いている。リハーサルなしとはいうものの、単なるブローイング・セッションではない。アル・コーン作のThe Goof and Iといったジャズメン・オリジナル曲もやっているし、品の良い、適度なアレンジが効果的に施されている。
 
リーダーのチャロフは、扱いにくいバリトン・サックスをまるでアルト・サックスのように軽々と扱い、生粋のバッパーとして素晴らしいプレイを披露している。これだけの技量をもってバリサクを吹きこなした人は、後にも先にもないのではないだろうか。クラークは溌剌としたプレイと構成力に優れたソロが印象的だ。ジョーンズは曲によっては少し控えめに叩いているが、アップテンポの曲ではさすがのドライブ力を見せる。共演者の演奏に鋭く反応し、短いソロで天才的な閃きを見せるところもさすがである。
 
しかも、当時チャロフとジョーンズが32歳、ヴィネガーは27歳、ソニー・クラークはなんと24歳だった。当時の評価を考えれば、ようやく名が知られてきた元気の良い若手、という感じだろうか。演奏に勢いがあり、力があるのは、それぞれがグングン伸びている時期、または脂が乗りきった時期に当たっていたからかもしれない。
 
このメンバーが同じ時間に同じ空間に集まってレコーディングを行ったこと自体が僥倖だと思う。「東」からやってきたチャロフとジョーンズを、「西」のクラークとヴィネガーが迎えた、「もうひとつのグランド・エンカウンター」とでも呼びたくなる邂逅である。
それにはもうひとつの理由がある。サージ・チャロフは実は、この録音の1年4カ月後に33歳の若さで亡くなってしまうのだ。本人はたぶん知らなかったはずだが、この録音時にはすでに癌に冒されていたのである。
 
こうして、サージ・チャロフが死の直前に残した貴重な録音は、すべての歯車がピッタリと噛み合った名盤となった。「奇跡的」という言葉が浮かぶのは、これゆえである。1956年3月のこの奇跡のような演奏を、50年の歳月を経てオーディオという手段を通じて再現できるのは、つくづく幸せだと思う。
 
 
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略歴
サージ・チャロフ (Serge Chaloff 1923年11月24日~1957年7月16日) はアメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン生まれの白人ジャズ・バリトン・サクソフォン奏者。
ピアニストの父とピアノ教師の母を両親に持ち幼少より高度な技術を身につけている。
チャーリー・パーカーの影響を受けた初期のミュージシャンとされる。