2024 原爆の話 その3 核ミサイル | 夢破窓在のブログ

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2024 原爆の話 その3 核ミサイル

夏になりました、原爆の話題が巷を賑わす季節です。
恒例の原爆の話(毎年同じような)を展開します。

核ミサイル

広島・長崎の原爆はB29で運ばれて、上空より落下傘で投下されて地上5~600mで爆発しました。
爆発高度が低くなれば距離の2乗で中性子などの濃度が増して殺傷力が高まりますが、同じく二乗で影響範囲は狭くなる。
高度が高くなると濃度は減るが影響範囲は広くなる。
5~600mが適切と判断されたようです。

現代においてTNT換算20ktの爆弾を落とすのでも600m程の高さが適当なようです。
爆撃機を用いての攻撃は可能なのか?
爆撃機は爆弾が破裂するまでに影響範囲外に逃げないと、搭乗員は特攻隊になってしまう。
現代では制空権が支配出来たとしても、落下傘でユラユラと落としていたら、爆発する前に爆弾が破壊されてしまう。
かなりの高さから高速の弾頭を投下する必要がありそうですが、1秒でも起爆が遅れると弾頭は地面に衝突して破壊されてしまいそうです。

東京を攻撃するとして、爆撃機を東京上空に近づけることが可能なのか?
邀撃戦闘機、邀撃ミサイルの配備状況からして、爆撃機での原爆投下はほぼ不可能と考えます。
となると原爆投下は遠距離からのミサイル攻撃となります。
ミサイルには二つの形があって、発射基地や船舶から放物線を描いて落下する「弾道ミサイル型」と潜水艦や船、爆撃機などから発射されて低高度を飛翔する「巡航ミサイル型」です。

最新の高速ミサイルはマッハ9の速度を持つそうです、秒速3km程。
こんなミサイルを弾道型の軌道で落下させたらどうなるのか?
起爆が0.1秒以上遅れたら、ミサイルは600m地点を通過して地面に激突してしまいます。
原爆は1トン爆弾と違い、衝突の衝撃で雷管が起爆を行うという訳にはいきません、爆縮レンズの機構が破壊されてミスファイアとなります。
起爆が1秒早かったら、予定起爆地点の3km上空で爆発、距離の比は5倍ですから中性子の密度は25分の1になります。
ま、これでも相当な被害が出そうな気もしますが、どのようにして600m上空で起爆させるのか?2秒早ければ100分の1なのです。
GPSやセンサーを用いて高度が確認できるものなのか?
受ける側も妨害電波を出したり、光を屈折させる為の仕組みを用意すると思います。
元々弾道ミサイルを一定の範囲内に着弾させるのは難しい。
邀撃ミサイルがカスリでもすればミサイルは方向、高度が狂い目標を大きく外す事になります。
弾道ミサイルによる核攻撃は頭に描く程優しいものではありません。

巡行ミサイルはどうか?
高度50mの高さで敵のレーダー網を逃れて接近して来る。
決められたところで機首を上に向け600mの高さで起爆する。
爆撃機からの投下でも低い高度を維持して来て、目標に近づいたら高度600mに上昇して水平飛行、水平になってから決められた時間で起爆する。
いずれも放物線ではなく双曲線を描く弾道になりそうです。

日本海側から巡航ミサイルで東京を狙う事ができるのか?
衛星で測った地図を搭載して高度50mをトレースして攻める事になりますが2000mを超える山々が聳える地形を高速でトレースするのは難しいと思われます。
潜水艦にせよ爆撃機にせよ日本が所有する潜水艦、イージス艦、邀撃戦闘機の目を逃れての爆弾投下は容易な事ではありません。

東京を狙うには太平洋側から相当距離を置いて巡航ミサイルで狙う事になるのでしょうが、潜水艦を近づけない為に、ヘリ空母や潜水艦を多数用意しています。
艦対空ミサイルを装備したイージス艦の数も増やしています。
簡単ではなさそうです。

問題なのはミサイルがミスファイアに終わった時です、壊れ方が不十分だと、どんな構造の爆弾だったのかすべてが解析される事になります。
鹵獲されたも同然。「ろかく」と読むのだそうでウクライナの話で知りました。
解析できれば電波妨害が有効か?銀紙を撒くのが有効か?最も有効な対策が取られてしまうと、以降同じ型式のミサイルでの攻撃は難しくなる。
核攻撃は万一のミスをするとすべてを晒す事になりますから、決断するのは大変でしょうね。

「核ミサイルで原子力発電所を狙われたら」という話が良く出て来ますが、原爆の攻撃で運転中の原子炉が福島事故以上の被害を起こす事は考えられません。
福島事故では燃料棒が700℃を超えて気体のセシウムが燃料棒から噴出し、水蒸気と反応して大量の「水酸化セシウム親和水蒸気」が作られ、建屋の天井から撒かれました。
一方で、運転中の燃料棒の温度は270℃、燃料棒が破壊された時のセシウムはまだ液体です。
燃料棒に侵入してきた水蒸気と反応を始めるのでしょうが、液体と気体では反応の激しさが違います。
圧力容器が破壊されたならば、70気圧の水蒸気は外部に向って噴出し、燃料棒に侵入出来る水蒸気は少ないのではないか?

前回の話の様に私は核兵器の破砕力には疑問を持っています。
熱放射や中性子線の威力は大きいにしても、70気圧以上に耐える分厚い鋼鉄の圧力容器を破砕できるのか?
その前に厚い3枚のコンクリートの蓋を破砕できるのか?
そして、数十mのピンポイントの精度でこの蓋の真上で破裂させる事ができるのか?
秒速1kmで飛ぶミサイルを蓋上10mで破裂させるとしたなら、起爆が0.01秒遅くなると弾頭は蓋を直撃して爆縮レンズは破壊されてしまいます。
600m上空で破裂させたのではコンクリートの蓋はびくともしないと思います。
そして、原発が損傷したとしても、そのこと(原発損傷)で人的被害が大きくなるとも思えません。

「水酸化セシウム親和水蒸気」の拡散は福島事故より多くなるとは考えられません。
熱線や、中性子線の被害者は出ますけれども。


露宇戦争でプーチンは「核ミサイルをベラルーシに配備する」などと発言したと言われています。
なぜそんな事をする必要があるのか?
かのチョルノービリ原発はベラルーシ国境近くにあって、キーウからの距離は100km。
地図を見るとキーウからロシア国境までの距離は200km程です。
ロシア国内から発射したので良いのではないか?
200km先には届かないとでも言うのか?

こんなニュースも、
「ロシアは核搭載可能な爆撃機をベラルーシに移動させた」
核爆弾の重量がどれ程か知りませんが、核搭載不可能な爆撃機などこの世に存在するのか?
なぜ爆撃機がベラルーシの空港から発進しなければならないのか?

核爆弾の話は、どの国でも軍事機密です。
漏れて来る情報はどこまで信頼できるのか?
素晴らしい技術を開発しているにも関わらず、秘密のベールに包まれて、我々は何も知らされていないのかもしれません。
逆に、世間で言われている程の高度な技術なんて存在しておらず、ミスファイアの確立が極めて高い代物の可能性も否定できません。

東京や名古屋、大阪をミサイルで核攻撃するのは容易でないと私は思うのです。
ただし、新潟、福岡、札幌など日本海側については東京ほどには難しくない。

レールガンが実用化に向っています、レーザーガンも開発が進んでいます。
これらが実用化すれば邀撃は容易になります。
ほんの僅かでも方向を狂わすことができれば、被害は小さくなります。
ミスファイアさせる確率が高まれば,敵は簡単にミサイルを発射できなくなります。
ミサイルに自爆機能があったとしても、破片からかなりの情報が手に入れられそうです。
レールガンを搭載したイージス艦の登場が待たれます。

(一言)

更新は1日置きに行う予定です。