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2024 原爆の話 その4 日本で核爆弾製造

夏になりました、原爆の話題が巷を賑わす季節です。
恒例の原爆の話(毎年同じような)を展開します。

日本で核爆弾製造

三か月もあれば日本でも原爆は製造可能である」などと唱える人がいたりします。
これは無理な話です。

原爆を製造する為に必要なものを挙げてみると、
1)核爆弾級の燃料の確保
2)爆縮技術
3)中性子源の確保
4)核実験施設
5)シミュレーションプログラム
6)運搬技術
等々が挙げられます。

1)核爆弾級の燃料確保
ウラン235にせよプルトニウム239にせよ93%濃度以上の「核爆弾級」燃料が必要になります。
一番簡単なのは広島型の原爆を作る事ですが、一発製造するのに60kg近いウラン235が必要になります。
これさえ手に入れば火薬を用いて「筒の中でドカン」と衝突させれば広島並みの破裂を実現できそうですが、93%以上の濃度のウラン235を手に入れるには、六ケ所村の遠心分離機で膨大な電力を使って稼働させても3か月では無理でしょう。
10発製造するとしてどれだけの遠心分離機の増設と電力が必要となるのか?

長崎型の原爆を作るにはプルトニウム239製造用の原子炉が必要になります。
専用の黒鉛炉を作ることになりますが、建設だけでも一年以上かかりそうです。
技術的には北朝鮮でもこなしたくらいですから問題はありません。
炉の中心部分にウラン238をセットして、ウラン240が作られない内に早々と引き上げる、僅かに作られたプルトニウム239を採取する。
これを延々と繰り返す。
地味にやたらと時間がかかります、3ヶ月なんて冗談でしょ。

2)爆縮技術
長崎型の原爆はプルトニウム239の周囲に火薬を配置して爆発させるわけですが、ほんの一部が核分裂を起こしても核爆弾ですから他のプルトニウムに火が付く前に爆弾を破壊させてしまう可能性があります。
計算された性能の火薬を適切に、精密に、配置して、少しでも多くのプルトニウムが一気に(≒同時に)核分裂を起こすように仕組む必要があります。
「爆縮レンズ」と呼ばれるこの機構の設計には、このあたりを熟知した技術者と計算プログラムが確保されねばなりません。
かのフォンノイマンをして10ヶ月かかったという計算は富岳でも使えば1日もかからないのでしょうがプログラムを作り、そのバグを検証するには一年以上は必要でしょう。

3)中性子源
長崎型の爆弾を起爆するにはトリガーとなる中性子を発生させる機構が必要になります。
長崎ではポロニウム210が用いられていました。
ベリリウムにアルファ粒子を当てて中性子を発生させました。
現在でも同じ方法なのか、新しい方法が開発されたのかは知りませんが、ポロニウム210の場合は半減期が138日です。
半減期の短い放射性物質を製造する炉とアルファ粒子発生の「鮮度」を維持する為の交換体制が必要になります。

4)核実験施設
核保有国と言われる国は核実験の施設を作って、核実験をして爆弾を保有しています。
日本は多くの無人島を有していますから、実験場には困らないのでしょうが、世間の目にどう対応するのか?
核実験なしで机上の計算だけで作った爆弾は本当に破裂するのか?

5)シミュレーションプログラム
コンピューターの中で、仮想の原爆を爆発させて、威力を確認するシミュレーションプログラムが必要なようです。
このプログラムの作成には相当な手間が必要です。
プログラムが正しくシミュレート出来ているかのデバグ作業だけでも膨大な時間が必要になります。
バグ検証用のAIでも先に作って進めるのでしょうか?
大変な作業になります。

6)運搬技術
ロケット.・ミサイルの技術については、日本は弾道型でも巡行型でも容易に開発する技術はありそうですが「起爆制御技術」は時間がかかりそうです。
敵の工作員に情報が漏れないようにするのも容易ではないでしょう。

3ヶ月以内どころか何年かかることやら?
アメリカに売ってもらうのが一番割安なのですが、簡単に売ってくれるものなのかどうか?
手持ちの米国債で、第七艦隊を核装備を含めて買い取ることが出来ると良いのですが?

国会議員が「簡単に制作できる」などの発言をする時は、然るべき専門家の意見を聞いて行うべきなのですが、仄聞で不用意に発言する人がいます。
学校で基本的な「放射能・核分裂」に関する常識を教えていないのでトンデモ学説を受け入れてしまうのです。

(一言)

更新は1日置きに行う予定です。