福島事故 2024 その18: スクラップ (1) | 夢破窓在のブログ

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福島事故 2024 その18: スクラップ (1)

毎年恒例の事故の話、同じ内容になりますが、視点を変えてみる努力をしながら、問題点を挙げてみようと思います。

「放射能」の話の中で出て来る話の幾つかを整理して見ます。

スクラップ 1) 原爆と原発

福島第一原発の1~3号機の発電量は、
 46+78.4x2=202.8万kw=2.028x10^9W
電気になったエネルギーの他に、復水器などから外部に漏れたエネルギーがありますが、ここでは発電量=発熱量として計算します。
1日の発生熱量は、
 2.028x10^9x24x60x60=1.9x10^14ジュール

広島原爆の威力はTNT換算16kt。
TNTの威力は4184ジュール/g。
 16x10^3x10^6x4184=6.7x10^13ジュール

 1.9x10^14÷6.7x10^13=2.84
福島第一原発の1~3号機の1日の発生熱量は、広島原爆2.84個相当と計算されます。
従来、広島原爆はTNT換算15ktとされていましたので、最新の数値とは1ktの差があります。
上に述べたように外部漏洩エネルギーが加算されていない事も考慮して、
福島第一の1~3号機は、1日あたり広島原爆の3倍の発熱量
という話は「おおよそ正しい」ものとして良いと思います。

福島では広島原爆3個分を爆発させている」(武田邦彦)
これは誤りです。

原爆と原発の違い。

1)反応に使われる中性子の持つエネルギー
  原爆は高速中性子、原発は熱(低速)中性子、百万倍以上の差です。

2)使われる燃料の濃度
  原爆は93%以上、原発は通常は3.5%

3)核分裂継続時間
  原爆は一瞬、原発は1年~2年

原発は核連鎖反応であることは同じですが「爆発」はしていません。

1~3号機は同時に稼働したわけではありませんが、稼働後7か月で津波に遭遇したと仮定すると、燃料棒集合体には平均して20か月分の核のカケラが生成されたことになります。
多くが崩壊を終えて一部が残っているだけですが、セシウム137のように半減期が長い核種は、大半が崩壊を終えずに残っています。
600日分が残っていたとしたなら、残存量は原爆1800個分になります。
生成された核のカケラは多くがペレットに内封されていますが、1割がペレットの外に出て来たとするなら180個分が燃料棒から漏れた
半分の90個分が水酸化セシウム親和水蒸気として建屋からモクモク上がり、陸と海に注がれた。
陸地に注がれた量は原爆50個分くらいになりましょうか?
それで具合が悪くなったという人の情報はありません。

スクラップ 2) 世田谷

世田谷のお婆ちゃんの家の前の道路から3.35マイクロSv/hrのガンマ線が観測されました。
ガンマ線の被曝量は距離の2乗で減衰します。
お婆ちゃんのベッドと縁の下の収納にある核種との距離は2m、核種と道路の測定点までの距離が10mだとすると距離の比は、
 10÷2=5
5倍です。
2m離れた場所の被曝量は、10mはなれた場所の25倍となります。
 3.35x25=83.75マイクロSv/hr
年間被曝量は、
 83.75x24x365=733.65ミリSv/年
お婆ちゃんは寝たきりだったわけではありません、台所で作業をしたり、買い物にも出かけたと思いますが、就寝時間が一番長い。
年間被曝量は500ミリSv/年程と想定されます。
90才を過ぎてもお元気でした。
ご家族に障害が出たとの話も聞きません。

高線量地域として有名なイランのラムサール、屋内線量の最大値は28μGy/h=245.3mSv/年 。
最大値でお婆ちゃんの半分、調査で異常が見られないのは当然でしょう。

スクラップ 3) カリウム40

カリウム40という放射性物質があります、通常カリウムと言うとカリウム39の事を差しますが、その中に0.0117%のカリウム40が含まれます。
平均すると成人には160gのカリウムが存在しているそうです。
 160x0.000117=0.0272g
0.0272gのカリウム40が体内にあることになります。
1gのカリウム40に含まれる原子の数は、
 6.022x10^23÷40=1.51x10^22個
0.0272gでは4.1x10^20個
カリウム40の崩壊定数は1.76x10^-17。
4.1x10^20 x 1.76x10^-17=4100ベクレル
このうちの10.7%が1.461Mevのガンマ線を放出するベータ(+)崩壊です。

私、1ベクレルでも放射能があるものは口にしたくないんです!
オバチャン、あんたの体の中では、カリウム40が4000ベクレル、炭素14も含めたら7000ベクレルの放射性物質が崩壊しているんですよ。
こんな話を記事にする新聞記者も放射能に関しては全くの無知。

バナナには100g当たり360mgのカリウムが含まれています。
大きめのバナナ1本の重量は200gです。
そこに含まれるカリウムの量は0.72g。
カリウム40の量は0.0117%ですから1.224x10^-4g
バナナ1本の崩壊量は32.5ベクレル。
その内でガンマ線を放つベータ(+)崩壊は3.5ベクレルとなります。
バナナは放射性物質です。

(一言)

記事の更新は一日置きに行う予定です。