疑問符の19: ヘリによる見学 | 夢破窓在のブログ

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 疑問符の19: ヘリによる見学

首相と言うのは将棋で言えば玉将です。
歩の前にのこのこ出て行くような真似をしたら将棋は負けです。

重要な決断を下すべき人が、緊急事態に政治的パフォーマンスを目的にこのような行為を行なったというのは許されざる愚挙です。

見に行ったからと言って映像で見られる情景と異なったものが見られるともおもえませんし、首相と言う立場は現場の詳細を知ってあれこれ差配する立場ではないのです。

東電はどうか知りませんが、一般的にはどこの組織でも緊急時の対応の訓練をします。何が起きたら、誰がどうするという決めがあります。部外者が入ってきて「ああせい、こうせい」と指示をされて、それに従ったのでは訓練をしている意味がなくなります。

この男は明かに、貝割れ大根を食べたパフォーマンスが評判が良かったからと、今回もこんな馬鹿な企画を思い立ったのだと思います。
周囲の人間が囃すから、あれが愚挙だと気付いていないのです。
あんな事をしたら厚生大臣は次からあのような食中毒疑惑が起きるたびに、その現場を訪問して安全パフォーマンスを行なわなければならなくなります。

恐ろしい原発の近くまで行って見せる、「なんて勇気のある人なんだろう」と人が考えると考えていたものと思われます。
事故が起きるたびに首相が現場に駆けつけていたら国家の仕事がおざなりになります。

厚生大臣がカイワレを食べてお腹を壊して亡くなったとしても変わりの対応をする人間がいます。
首相が乗ったヘリが落っこちて首相が死んだとしたら、代行が決められているからその人が行なえば良いという話ではありません。今現在緊急事態が起きていますし、これとは別に国際的な大問題がその瞬間にも発生することも有り得ます。
重大な判断を行なう責任のある人は、重大な問題が発生している時は軽々しく外を出歩いてはいけないのです。

首相の役割は事故の火消し役ではありません。
このような時に首相の役割はは、各省庁間の要望を調整するとか、外国への応援依頼、支援養成の際に相手国元首に連絡を取るとか、様々なトップとしての役割があるのです。

吉田所長は1号機の非常用冷却装置(IC)が停止状態であることを知らなかったのだそうです。11日午後11:50頃に事態を知ったのだそうです。
燃料棒損傷は日付の境目前後に起きているとされています。
水位の図の淡水注入開始時点での水位は信用できるとすれば、空焚き状態になってから2m分水が減っていますから、損傷が起きた可能性は高いと思います。
セシウムまじりの水蒸気はSR弁から圧力抑制プールに排出されていました。
首相の訪問がなければ損傷せずに済んだと言う話ではありません。

しかし、そんな炉の中身の事は吉田所長は知りません。ICの異常に気付いて、なんとかして炉心の温度を下げねばと躍起になっている所への来客です。
お客様曰く「ベントを急げ」。
所長として「だったら邪魔しに来るな!ボケ!」と怒鳴りつけたい心境だったと思います。

邪魔をしたのも問題ですが、一番の問題は技術的な処方にまで口を挟んだ事です。
勝手に「自分は放射能に詳しい」などと思い込んで、放射能検定試験があったら初級すら落第する知識しか持ち合わせないのに、あれこれ注文をつけたことです。

邪魔者以外の何者でもありませんでした。

ベントは急ぐべきではありませんせした。
あのまま圧力抑制プールをパンクさせるべきでした。
そうすれば蒸気は建屋にこもり、外部に勢いよく排出されることはなかったのです。
東電がドジな工事をしていたので建屋内ベントとなり同じ結果となりましたが、ラプチャーデスクの取り付け時の工事が正しく行なわれていたら、蒸気は煙突から激しく噴出されていた筈ですから放出量も違っていたと思います。

放出量が多かったら何が起きるのか?
私は今と変わらないと思います。セシウムのガンマー線なんてトンでもない量を浴びなければ火傷する事はありません。
だったらどっちでも良いじゃないかという話はあります。

やれ、がけ崩れが起きたら、学生の船が潜水艦と衝突したら、マスコミは首相にああせい、こうせいと喚きますが、首相は桂馬や銀ではありません、玉将です。