疑問符の18: 水位 | 夢破窓在のブログ

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 疑問符の18: 水位

図(水位)

事故直後の1号機の水位だそうです。
ソースが信用できません。
電源が途切れて測れた筈がない部分も含みますが、おおよそこんなものだとしてみます。

原子炉の圧力容器は全体で高さ20mほどで、おおよそ5mずつ4つの区域に分かれます。最上部が蒸気の溜まる部分。その下が熱湯が存在する部分。半分から下の5mが炉心と呼ばれる燃料棒集合体(4m)が置かれている部分。最下部が制御棒が置かれている部分です。水は全体の4分の3を占めています。

事故直後は核反応の余熱があり、半減期の短い放射性物質が崩壊していますから、この熱で炉内の湯の温度は高くなります。冷却機構が働かない状態では、お湯の温度が高まり、SR弁の作動圧が80気圧だとしたら蒸気の温度が295℃を越えるとSR弁が作動して蒸気は圧力抑制プールに流れ込みます。(注1)
炉内の水位はどんどん下がっていきます。

やがて燃料棒の上部が露出する事になりますが、大半が約300℃の湯に浸かっている状態では事態は動きません。
燃料棒の半分が露出したとしても、上部の熱は金属の鞘を伝わって下に逃げますから変化は無いでしょう。

燃料棒があらかた水から露出してしまうと、水による冷却能力がなくなり、燃料棒の上部が熱を持ちます。
水のほうもヒーター(燃料棒)が抜かれた状態になりますから発生する蒸気の量が減ります。熱は圧力容器を通じて外部に輻射していますから、ヒーターが抜けた状態では、水位は簡単には下がって行きません。

結局、上記の図が正しければ、圧力容器の底には2m程の水が存在しています。
SR弁の作動圧が80気圧だとしたら、圧力抑止プールが5気圧だったとしても、この水の温度は最高でも305℃です。
圧力容器の鋼鉄の器の温度も最高で305℃です。
融点1500℃の鋼鉄の圧力容器の底が熔けて落ちるような事態は全く考えられません。
融点2800℃の燃料ペレットが熔けるということも考えられません。

水蒸気の温度は300℃ですが、宙吊り状態の燃料ペレットの温度は中心部は2000℃近くになります。ペレットの表面は1200℃だとして、この二つに挟まれた鞘の温度はどれ程になるのか?

セシウムが炉外に漏れたということは鞘が損傷した事は確かです。
鞘の表側の温度が700℃を越えると、鞘が水蒸気に反応して酸化する事が起きます。ジルカロイは酸化してセラミックになる時に相変位を生じて大きく縮みます。
厚さ1mmもない鞘には亀裂が生じます。内部から気化したセシウムが噴出します。
水蒸気と反応して水素と熱を出します。

ほんの一部が酸化しただけでこの騒ぎになります。
セシウムが親和した蒸気と水素の大量生産です。
セシウムの沸点は671℃です。液体であったセシウムが気化しますから鞘の中の圧力は高まります。ジルカロイの酸化が起きなくても、熱で膨張した鞘が圧力でパンクした可能性も考えられます。

いわゆる「汚染」とやらには鞘が溶けたかどうかは関係ありません。
鞘が溶ける1500℃になる前に損傷は終わっています。

鞘の上部は破けているのか?網の目状なのか?
重たいペレットを支えきれずに千切れてしまうのか?
千切れた鞘は途中で引っかかっているのか?
どちらにせよ燃料ペレットが熔けるという話は有り得ません。

問題になるのは注水を始めた後の状況です。水を注入したにも関わらず水位が全く上がっていません。
これを見て「水位が上がっていないのは何処かから水が漏れているのだ」「メルトスルーが起きている証拠だ」などと言い出す輩がいます。
疑問府がつくのはこの発言です。
高圧の容器のどこかに穴があいていたら、2mも水が残っているわけがないと思います。

水位が上がらないのは水を注入する為にSR弁を開けたからです。
300℃の湯なんて液体の外見をした水蒸気の塊です。
減圧されますから湯はボコボコと沸騰します。
注水出来たとしても水位が上がる筈がありません。
水が漏れているのではなく、蒸気をSR弁から排出したのです。

確認はしていませんが、電気が利用できるようになって1号機の隔離時冷却系のバルブを開放した可能性があります。高圧注水系を作動させたのです。
こちらからも注水し、外からも注水したのなら水位は上がっていい筈なのですが、タービンを回すと炉内は減圧されます。80気圧あったものが、圧力抑制プールの5気圧まで減圧されて行くのです。300℃の湯はどんどん蒸発して冷却タービンを通じて圧力抑制プールに出て行きます。
ヒーター(燃料棒)に暖められてながらも徐々にお湯の温度は下がって行きます。
格納容器との圧力差がなくなって、お湯の温度が150℃くらいになれば減圧蒸留の状況ではなくなります。

注水した水の量と、減圧沸騰させた量が見合った状態になってそれが上の図だという事です。

この図のソースは件(くだん)の捏造新聞社です。
注水しても水位が上がらない、この状況をどのように説明しているのでしょうか?
まさか「メルトスルー」なんてやっていないでしょうね。

注1:「蒸気表」でググッて参照してください。