福島事故 疑問符 「?」
疑問符の12: 廃炉決断
原子炉を廃炉にするのを惜しんで海水注入やホウ素剤の注入を遅らせ事態が悪化したという報道があります。
疑問点だらけです。
ホウ素剤の注入は制御棒が正常に挿入され、核連鎖反応は停止に向かっていたのですから意味のある話ではありません。
ホウ素剤や海水が炉内にこびりつくと炉が使えなくなるので廃炉を決断しなければならない、という話も疑問です。
中に入ってりる燃料棒の鞘にこれらの物質がこびりつくと使い物にならなくなります。
厚さ1mmの鞘にこびりついた塩をこそぎ落とすようなことをしたら鞘を傷つけてしまいます。傷がついた鞘は使い物になりません。
燃料棒を取り除いた後の圧力容器の中に存在する部品は容器本体以外は定期点検時に交換している部品ばかりです。塩が付着しているのなら交換すれば良いのです。
問題になるとしたら圧力容器の壁面に塩がこびりついたケースです。
これを洗浄して取り除くことは不可能とは思えません。ワイアーブラシでこそぎ落とすことも可能だと思います。
なぜ廃炉にしなければならないのか理解できません。
塩水を注入した原子炉を冷却後そのまま再稼動すると言うことは出来ません。
再稼動不能=廃炉と判断した素人がこんな話を始めたのではないでしょうか?
4号機の燃料棒はすべて炉外に出されていました。
シュラウドと呼ばれる炉を囲む大きな円筒形の鋼鉄の部品を交換するためです。
こんな大きな部品まで定期的に交換されているのです。
この部品は炉内の水の流れを制御すると共に、炉から発せられる中性子を受け止めて圧力容器に届く中性子を減らす役目があります。
自ら鉄砲玉になって劣化して炉を守るという役目です。劣化が役目なのですから、一定期間経ったら交換します。
それでもシュラウドを透過してくる中性子もありますから、厚さ16~20cmの鋼鉄の容器も中性子劣化して、やがて寿命がやってきます。
実際に何年くらいが寿命なのかというのは判っていません。
原子力発電が始まってから歴史が浅いので、劣化が認められるから廃炉にしようという話がまだ出ていないのです。
40年経ったら廃炉にするべきという話がありましたが、圧力容器はまだまだ使えそうです。
40年を寿命として考えると、
稼動開始日 余命
1号機 1971年3月26日 15日
2号機 1974年7月 3年4ケ月
3号機 1976年3月 5年
廃炉になるものだとしても、この三つの炉は、それを惜しんで決断がにぶるような存在ではありません。
電力会社は一般企業と違って、出費を惜しんでも意味のある経営体制ではありません。むしろ出費が多いほど電気料金に上乗せ出来て利益が増えるという仕組みの会社です。
この仕組みが業者と癒着し、ムラを形成していると批判する意見はごもっともです。
そんな意見を言う人に限って、なぜか「廃炉を惜しんで」などと声高に言うのは矛盾しています。
東電が「廃炉を惜しんで」行動したという説明には無理があります。
無事収めて、かつ1号機が使用不能になることが、建て替えが要求できて、東電にとってはベストだった筈です。
この辺の事情を斟酌せずに、東電を批難できればそれでよしとするマスコミの行動は愚かです。
東電さえ責める事ができれば報道機関として事足れりということのようです。
たまには東電側の擁護に回ってはいかがですが?
あんな余命いくばくもない施設の廃棄を惜しむわけがありません。
(一言)
次回は10月1日より再開予定です。