疑問符の13: SPEEDI 1 | 夢破窓在のブログ

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 疑問符の13: SPEEDI 1

「緊急時迅速放射能影響予測システムネットワークシステム」
という長い名前のシミュレーションシステムがあって、100億円もかけて作ったのに、これが有効に生かされなかった事が問題となっていました。

この手の情報はマスコミなどに公開してはいけません。
情報の流れ方によって、話が変形したり、誤解されて伝わってパニックが起きる可能性があります。
日本のマスコミは構成員の殆どが放射脳症の患者か外国人ですから、針小棒大、滅茶苦茶な解釈を追加されて報道される可能性がありました。
吉田調書ですら誤解報道を恐れて非公開にという話だったのですが、吉田氏が心配したとおりに嘘を書く馬鹿が現れてあの始末です。
事故直後にヘタな情報を流せば悪意の改造を加えられた情報が流れたと思います。

一部関係者の機密として扱われるべきです。
レーダーチャートのような図表を避難の最中の人々に公開しても却って混乱を招きます。
汚染の酷い方向に避難した人も出たと言いますが、「xx方向が安全だ」などと告知しようものなら、人々は一斉にそちらに向かいます。道路は渋滞し、事故現場から距離を置く事ができず、喧嘩が始まる話になります。
このような事態の時は、安全より混乱を避けることに配慮したほうが結果として犠牲者は少なかったりします。

あの図を見て異常に反応する人も出てくれば、我が家の方向には向かっていない、なぜ慌てて逃げる必要があるのかとゴネる人も出てくるでしょう。
情報と言うものはむやみに公開すればよいと言うものではありません。

たとえば「放射線情報管理室」のようなものを作って、アクセス権のある政府関係者や市役所からの問い合わせに対し、「風向きがxxだからxx方面に誘導した方が良い、xxkmは離れた方が良い」といった回答、指導をする方式にするべきです。
指導された人もその情報を直接住民に伝えるのではなく、人の手配や警察官の配置、避難場所の確保に役立てるべきなのです。
マスコミや政府関係者に生の情報を流してはいけません。

SPEEDIの情報が官邸に伝わっていなかったと言われています。
どなたかが「今は出すべきではない」と判断したのか?
「ヘタなものを出して後で責任を問われたら困る」と判断したのか?
恐らく後者でしょうね。

問題なのは被曝積算値がxxミリシーベルトになるとして、これが危険なものなのかどうかなんて誰も理解していないのです。
xxSvは危険です、とガイドを出している団体すら実際に被害を受けた実例データなんか持っていないのです。
根拠は広島・長崎の数字だったりします。あれは統計の信憑性は別にして、中性子線被曝の例です。ガンマー線被曝には適用できません。

(図1)


これがSPEEDIとやらの予測値だそうです。
3月12日~4月24日の44日間の積算線量が示されています。
10mSvのラインが南は福島第二原発の近くまで延びています。
北側は天狗の鼻のように北西方向に大きく拡がっています。
これが屋内退避レベルなのだそうです。

図1には問題点が幾つかあります。
煙突の煙のような微粉塵が吹き上がって、風向きによってどちらに飛んで行くかというシミュレーションをしているようですが、排出されたのはクリプトンやキセノンなどの放射能力の弱い不活性ガスを除けば、水酸化セシウムが親和した蒸気です。
この蒸気は湿気に滲んで拡散します。

一度雨が降ると、大半が地表に落ちます。水酸化セシウムは大変よく水に溶け拡散します。
海側に等値線を描いていますが、雨が降った後では何の意味もありません。
塩の満ち干や黒潮にかき回されて線は直ぐに消えてしまいます。
何を考えて海の上にあんな線を描いたのでしょうか?

水分に親和した水酸化セシウムの拡散を考えると、風より重要な要素は雨です。
15日の夜に降ったと言われますが、その後どの辺にどれだけ降ったかが問題になります。その土地の傾斜や水捌けも影響します。
気温(湿度)も問題になります。降った雨が蒸発し湿気が地表を漂うわけですが、水酸化セシウムはこの蒸気にも付いてゆきます。気温によって蒸発量が違い、滲み方にも違いが出ます。
このソフトの北西への広がりを見ると風の強さと向きしか考えてないように思えます。

44日間で10mSvということは一日あたり0.227mSv。
1時間当り9.5マイクロSvの被曝です。

高線量地域として有名なイランのラムサールでは屋内での最大値が28マイクロGy/hrで、平均被曝量は1日あたり0.19mGy/日、44日間では8.36mGyの積算量になります。1時間当り7.9マイクロGyです。
Gy=Svと考えて良いですから、福島第二原発の近傍はラムサールより僅かに放射線被曝量が多いという事になります。

ラムサールの人々が普通に暮らしている、調査の結果に発ガン率が高いなどの報告もない、そんな環境と同じレベルの被曝量なのに、何故屋内に退避勧告をしなければならないのでしょうか?

このシミュレーションでは沃素などの半減期の短い物質も放出されたとして計算しています。事故直後に被曝量は大きくなり、I131などは8日で半分になります。44日間の内、最初の8日間を除けば残る36日間はラムサールに比べ1日あたりの被曝量は少なかったと推測されます。

退避しなければ、どの様な弊害が予想されるのですか?
そのような弊害の被害者はこれまでに何処に何人いるのですか?

怪しげな組織が怪しげな数字を作って発表している、それをこんな所に検証もせずに持ち込んでくるという感覚にも問題がありそうです。
ガンマー線なんて電磁波です。波長が短いから問題があるというのなら、可視光線との違いを明示するべきです。
水酸化セシウムは湿気と共にやってきて、湿気に滲んで行きます。屋外と屋内でそれ程の差があるのでしょうか?

SPEEDIというシミュレーション・システムは胡散臭さ満載です。