放射脳の世界は嘘八百
嘘の弐十壱 「核拡散」
原発には「核拡散」の危険性がある。
原発(軽水炉)の使用済み燃料からプルトニウムを抽出しても核兵器の原料としては使えません。
軽水炉を建設したからと言って、核拡散にはつながりません。
核爆弾はプルトニウムで作られます。
93%以上の純粋な核爆弾級のPu239が必要となります。
実際は97%以上の純度のものを使用しているようです。
不純物として同じプルトニウムのPu240やPu241が一定以上含まれると爆弾としては使い物にならなくなります。
Pu240やPu241が存在すると、爆縮する際に中心部分のみが先に破裂して爆弾を壊してしまう事が起きます。
長崎の原爆ではプルトニウム13kgの内の14%が反応したと言われます。
上手く爆発させてもこんな比率でしか分裂させることができません。
どこかの国が屁のような核実験をやっていますが、あれは小型弾頭用の実験ではなく、爆縮技術が稚拙だから僅かな一部しか分裂しないのです。
原爆は原料が手に入れば大学生でも作れるなどと言う人がいますが、そんな簡単なら北朝鮮はもっと気の利いた破裂のさせ方をしている筈です。
使用済み燃料に存在するプルトニウムはPu239の純度が58%です。
Pu240は24%も存在します。使い物になりません。
ウランとプルトニウムの分離は化学的な性質の違いを利用して分離することが可能でしょうが、プルトニウム同志では不可能です。
遠心分離機を使えば出来る、などと言う人がいたりしますが、考えられません。
核燃料の濃縮過程では濃度0.7%のイエローケーキを濃度3.5%にまで濃縮するのですが大変な数の遠心分離機を回して、大変なお金をかけて作業をしています。
U235とU238では中性子3個分の目方の違いがあります。
中性子1個分の違いしかないPu239とPu240を遠心分離するのは至難の業というより無理です。
こんなことをするくらいなら専用の炉を作って熱中性子の少ない環境でPu239を作る方がずっと安上がりで時間もかかりません。
北朝鮮にしろイランにしろ核開発を目論む国は原発があろうが、なかろうが核爆弾級のプルトニウムを作るには専用の炉を作ります。
軽水炉を改造すれば核爆弾級のプルトニウムが製造できるなどと嘘をつく人がいたりします。元の炉とは全く別の炉に改造すれば出来ない事はないのでしょうが、発電用の炉を改造するより専用炉を作った方がずっと安上がりです。
核兵器を作り上げるには核爆弾級のプルトニウムのほかに、爆縮技術やミサイルの製造技術、制御技術、地下実験設備、シミュレーション環境、が確立していなければなりません。
「2位ではダメなんですか」と言っていたお馬鹿さんがいました。
米国や中国がペタFLOPSなどというスパコンを作る主目的は核爆発のシミュレーションです。大きさや薬の量を僅かでも変えればミスファイアの恐れがありますから動きをシミュレートして解析するのです。
北朝鮮がスパコンを作ったと言う話が出てきたら、核爆弾の脅威を本気で考える必要があります。
使用済み燃料は「核拡散」とは関係ありません。
再処理施設を作ったからと言って核爆弾級のプルトニウムは手に入りません。
濃縮施設があれば、延々とブン回せば、広島型のウラニウム爆弾用のU235なら手に入る理屈ですが、専用炉でプルトニウムを作る方がずっと安上がりで時間も電気代もかかりません。
原発(軽水炉)を作ったのだから我が国も核兵器を開発しよう、などと考える国が出てくる事は有り得ません。