10年目に初めて抱けることも… | シン・135℃な裏庭。

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来たいのに、エヘッと笑って逃げる。


これは追いかけて欲しいのだナと思うが、


クセになるといけないので追いかけない。


イッちゃんは私に抱かれたことはない。


悲しい。


……


去年あたりから、他の小さい子が私に甘えて遊んでいると、


指を口にくわえて、じっと見ている。


これをやめさせなければ。


産んでくれたお母さんに死なれ、お父さんはわからず、


籍だけ、パキスタンの人。


それじゃかわいそう。


……


イッちゃんに、愛する人を見つけさせなければならないと思っていた。


……


誰から抱かれにくるか、見ていると、


小さい子を、手でどけて、


イッちゃんが私のそばまで来て、


また、後ろを向いた。


抱かれたくて、抱かれたくてならないイッちゃん。。


また先頭に出た。


私は職員に見られてもいいや~と思って、転がった。


ワッと私の上に上がってきたチビふたりの中で大手を広げて、


「イッちゃん、さあ、ここにおいで」


その時、初めてイッちゃんは声を上げて、


両手をまっすぐ広げ、


まっすぐ私の胸に飛び込んできた。


私の胸に顔をすりつけ、

私の顔に自分の顔をすりつけ、


ぎゅっと抱いた私の手の中にしっかりつかまった。


私は預かって10年目に

初めてイッちゃんを抱いた。


イッちゃんも抱かれるために飛びつくのに


長い年月が経った。。


……


これほど小さいとは思わなかった。


これほど細いとは思わなかった。


私は大切に見よう。


抱かれることを知らなかったイッちゃん。


まっすぐ飛び込んでくることを知らなかった子は

ひとりもあってはならない。


愛されることを知らなかった子は


愛することを知らない。

心からの愛は、きっと心に通じる。


私はそう思う。


人を信じることができるよう、教育しよう。




『まり子のねむの木45年』より



宮城まり子さん。。







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*本日のあじさい


今日は子供の運動会、雨で延期。。