末期の眼「修行僧の『氷のやうに澄み渡った』世界には、線香の燃える音が家の焼けるやうに聞こえ、その灰の落ちる音が落雷のやうに聞こえたところで、それはまことであろう。あらゆる芸術の極意は、この『末期の眼』であろう」という文章を、吉行はほとんど諳じていて口伝えのように教えてくれた、と、安岡章太郎さんは、私に書いてくださった。芸術の極意は…教育の極意は……と私の中をその言葉が走り回っている。『まり子のねむの木45年』より宮城まり子さん。。*本日のあじさい