ビートルズ、シングル盤私的雑感(その131)/『ザ・ナイト・ビフォア/アナザー・ガール』 (2) | John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

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今回も1960年代から70年代にかけて、世界中で数多くリリースされた各国独自のビートルズのシングルの話です。昨日に続いて今回も、1965年日本で独自に企画されたシングル『The Night Before / Another Girl』の話です。


(レアなBBCレコーディングの「The Night Before」)

この曲がポールのペンによるものであるのは一目瞭然ですが、完全主義者のポールは恐らくアレンジまでほぼ固めた形で、この曲をバンドに持ち込んだと思われます。というのも、リード・ギターまでジョージではなくポール自身で弾いていること、しかもオクターブのダブルトラックで弾いているところを見ると、レコーディング以前にギターのフレーズまで完璧に仕上げていたと思われるからです。

このレコーディング・セッションでポールが演奏していたのは、彼が入手したばかりのエレクトリック・ギター、ギブソン社製のエピフォン、カジノ1962年製でした。ポールがカジノを弾き始めたのが切っ掛けとなり、ジョンもジョージもエピフォン・カジノを入手することになり、彼らのサウンドに変化が現れ始めるのです。
1965年のこの時期、彼らの演奏する曲はロックンロールの範疇だけでは収まらない奥行きを見せ始めており、それに応じてサウンド面でも変化が見られ始め、ギターのサウンドも歪み始めた時期でした。リッケンバッカーの時期は終焉に近づいていたのです。

話が脱線しました。「ザ・ナイト・ビフォア」の話に戻しますと、この曲でもうひとつ、センスアップのポイントとなっているのが、ジョンによるエレクトリック・ピアノでしょう。この時期に彼らが入手したのが、ドイツのホーナー社製のエレクトリック・ピアノ『ピアネット』でした。ジョンの弾いているのはコードのみですが、そのリズムがボサノバのリズムに近く、この曲のポップ感をセンスアップさせるのに一役買っています。
そう言えば、この前年にリリースされたアルバム『BEATLES FOR SALE』に収録されていた『No Reply』でも、ドラムスのリズムにボサノバを取入れていましたが、彼らの音楽探究への知識欲の大きさを物語る、好例のひとつとも言えましょう。それにしても、ボサノバは1962年にジャズ・サクソフォン・プレイヤー、スタン・ゲッツによってアメリカに紹介されたばかりでしたが、ビートルズがジャズのジャンルまで耳にしていたことに大きな衝撃を感じたものでした。


(日本盤EP。「The Night Before」収録。)

この続きはまた明日に。