先週観た映画たち(その170)/『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『トランセンデンス』 | John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

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『オール・ユー・ニード・イズ・キル』



SF作品を、二本続けて観てきました。まずはトム・クルーズの話題作で、日本の作家・桜坂洋氏の原作小説をハリウッドで映像化したもの。元々SFは大好物で、中でも時間物は面白いものが多いんです。この原作はライトノベルだそうですが未読。が、内容はなかなか良かったんです。SFやファンタジーもので世界観を決定するのが、決まり事をどう設定するかということ。判り易く言えば、未来であれば、どんな未来になっていて、何故そうなったか、という設定次第でリアリティが全く異なって来るんです。本作で言えば、何故主人公がタイム・ループすることになるのか、という部分がキモですね。それがとても上手く出来ていました。面白く観せてもらいました。



『トランセンデンス』



コンピュータが知性をもったらという設定で、同じ時期に本作と「her 世界でひとつの彼女」の二本が公開されましたね。後者はまた次回に評をかきますが、本作の場合はそのテーマが、人間の頭脳のデータをすべてアップロードした時に、人格や感情まで再現出来るものかというもの。
ストーリーは、天才的な科学者であるウィル・キャスター博士(ジョニー・デップ)が開発する人工知能に危機感を持った者がテロ集団化し、ウィルの殺害を企てるところから始まります。死期を迎えようとするウィルの妻、エヴリン(レバッカ・ホール)は彼の頭脳をデータ化してコンピュータにアップロードすることで、彼の意識の移植を試み成功します。それを知ったテロ集団は、エヴリンを襲って、コンピュータを破戒しようとしますが、破壊される一瞬前にエヴリンはウィルの意識を、ネット接続して拡散させたのですが・・。
まずこの作品、結末をどう付けるかが最大の興味でした。しかし最初の場面で、結末が既に示唆されてしまうのです。これはどうかなーと思ってしまいました。しかし(これ以降ネタバレ注意です)、ストーリーの最大の焦点は、人間の意識をコンピュータに移設した時、それはその本人なのか、あるいは全く別の人格を持った怪物となるのか、ということ。この話では、コンピュータが怪物化して地球を支配しようとしているかの様に見せるのですが、最終的にウィル本人の意識が生き続けていて人間性も持ち続けていたにもかかわらず、それを怪物として人間が葬り去ろうとするという構図であったはずです。それが全くの説明不足。実際には、人類のために全く新しい医療や汚染された環境の再生をしようとしていたウィルの意思を、人間が訳も無く破壊したのです。その元々のストーリーの発想は良かったため、脚本/演出の部分での失敗が大きかったと思われ、残念で仕方がありません。これでは、単なるコンピュータの暴走を止めようと人間が、躍起になって破壊を計画するだけの話になり、単にスケールの小さなアクション・シーンばかりだなと、勘違いされても仕方が無いでしょう。最も重要な主張がハッキリと描かれなかったことによる失敗です。残念です。