ビートルズ、シングル盤私的雑感(その127)/『恋する二人/ぼくが泣く』 (1) | John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

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今回も1960年代から70年代にかけて、世界中で数多くリリースされた各国独自のビートルズのシングルの話です。今回からは、1964年日本で独自に企画されたシングル『恋する二人(I Should Have Known Better)/ ぼくが泣く(I’ll Cry Instead)』の話です。


(日本盤シングル『恋する二人/ぼくが泣く』の初盤ジャケット)

もともと「I Should Have Known Better」は、当初より映画『A Hard Day’s Night』の挿入歌として作られたものでした。映画挿入曲はLPアルバムのA面に収録されていますが、1964年2月のビートルズ・アメリカ初上陸後、イギリスに戻ってすぐにレコーディングという強行スケジュールであったこともあり、ジョンとポールはほぼこの作曲に掛り切りになっていました。そんな中で、ジョンの活躍は半端ではなく、このアルバム『A Hard Day’s Night』では多くの曲のアイデアをジョンが出しています。「I Should Have Known Better」もそんな曲の一つです。

この曲でフィーチャーされていた楽器が、ジョンのハーモニカとジョージの12弦ギターでした。ジョンがハーモニカを取入れたのは古く、1960年のハンブルグ時代からすでに使用していました。と言うのも、初めてビートルズがハンブルグへの長期巡業に出た際、車の休憩時に立ち寄った楽器店に展示されていたハーモニカを、ジョンが黙って持ってきた、つまり万引きしてきた訳ですね。以来ステージでも使用していましたが、今回の曲で再びハーモニカを使おうと思った切っ掛けが、ディランだと言われています。初のアメリカ上陸前に行われた、1964年1月のフランス公演時にジョージが入手したボブ・ディランのアルバムの『The Freewheelin' Bob Dylan』に影響を受けてのことと言われています。

そしてジョージが使用したリッケンバッカー360の12弦仕様のギター、これは皆さんご存知の通り、初のビートルズの渡米の際にリッケンバッカー社の社長から贈られたもので、同社が初めて作った12弦仕様のエレクトリックギターでした。12弦を開発中だった同社で、プロトタイプとして2本のモデル360の12弦仕様が作られたのですが、その内の一本がジョージに贈られたものでした。この12弦は、アルバム『A Hard Day’s Night』では大活躍して、このアルバムのサウンド・メイクの要となっていましたね。ギターを贈ったリッケンバッカー社としても、この上ないプロモーションが出来た訳で、事実その後にバーズやサーチャーズなど、12弦ギターを取入れるバンドが急増しています。

この続きはまた明日に。