ビートルズ、シングル盤私的雑感(その128)/『恋する二人/ぼくが泣く』 (2) | John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

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今回も1960年代から70年代にかけて、世界中で数多くリリースされた各国独自のビートルズのシングルの話です。昨日に続いて今回も、1964年日本で独自に企画されたシングル『恋する二人(I Should Have Known Better)/ ぼくが泣く(I’ll Cry Instead)』の話です。


(日本盤シングル『恋する二人/ぼくが泣く』セカンド・ジャケット)

この「I Should Have Known Better」は当初、ジョンとポールのデュエットだったようですが、実際にはジョンのダブル・トラックでのレコーディングとなっています。恐らくその判断は、プロデューサーのジョージ・マーティンが行ったと思われますが、シンプルに仕上げたことが好結果を呼びました。結局、ジョンの声を全面的にフィーチャーしたことが、この曲の最大の売りになりましたね。ジョンの声質は非常に不思議な響きを持っていて、低音が比較的よく響くのですが、実際に自分で歌ってみると非常に高い音を出しているのが判り驚かされる、といったことが多くのです。これは、ジョンの声の倍音の多さに起因しています。結果として、シンプルなバックの演奏が、ジョンの声を活かしていると言えましょう。

初期のビートルズの場合、演奏は比較的シンプルなものが多いのですが、ビートルズ、特にジョンとポールの強力なボーカルがそれによって引き立てられている場合が非常に多く、実際にカバーしてみると演奏は似せることができても、ジョンとポールの歌は真似が出来ない、という例が非常に多いのです。ジョンとポールのボーカルがいかに物凄いか、カバーをしてみると本当によく判ります。

さて、私感ですがこの「I Should Have Known Better」は、主メロディ、そしてサビのメロディ共に非常によくまとまった曲で、サビに入る部分のメジャーからマイナーへの転調の方法もオーソドックスではありますが、きれいにまとまっています。全体的に曲自体の流れも良く、非常にまとまりのある曲で、ジョンが軽々と作ってきたという感じがしています。
これを初めて聴いたのは10代の頃ですが、不思議だったのは、ハーモニカのメロディのバックに付けられた、ギター・コードがGとD7であったこと、つまりハーモニカのメロディとそれに付けられたコードが合っていないんです。しかしそれでも成立してしまうという事実に当初は違和感を持ったのです。しかし、結局これはメロディに対してテンションを付けるという手法として、初歩的なものだった訳で、恐らく作ったジョン自身はそんなことも意識せずに難なく軽々と生み出したんだと思いますよ。その方が、いかにもジョンっぽいと思いませんか。

この続きはまた明日に。