ビートルズ、シングル盤私的雑感(その126)/オール・マイ・ラヴィング/ラヴ・ミー・ドゥ(3) | John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

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今回も1960年代から70年代にかけて、世界中で数多くリリースされた各国独自のビートルズのシングルの話です。昨日に続いて今回も、1964年に日本独自で企画されたシングル『All My Loving / Love Me Do』の話です。

一昨日はアレンジの話で、ジョンの三連ギターとポールのベース・ラインの話をしましたが、今日はまずジョージのリード・ギターの話です。このソロは、一目瞭然でチェット・アトキンス風のカントリー・ギターでキメていますね。基本的にはコードを崩した二つの和音で構成され、よく練られたソロで、通常のロックンロールとは一味違った、「いい味」を出しています。初期のジョージのギター・ソロの名演の一つに数えられると思います。

1964年のワールド・ツアーでは、「All My Loving」が定番曲の一つとして、どのコンサートでも必ずと言っていいほどレパートリーに入っていました。ポールの自信作でもあったのでしょう。レコードでは2コーラス目がポール自身による二重唱になっていますが、コンサートでは皆さんご存知の通り、下のメロディをジョージが歌っています。何故ジョンではなくジョージだったのでしょう。一説では、ジョンの弾く三連ギターに集中するため、というような話も流布されていますが、これは俄には信じられません。と言うのも、他のポールの二重唱曲「Things We Said Today」も下のメロディをジョージが歌っているのですから。
またジョンがあの三連カッティングをしながら、あのメロディを歌えなかったとは思えません。まずは「All My Loving」の演奏シーンのジョンの様子を見てください。

いかにも軽々と演奏しているではありませんか。恐らく歌うことも十分に可能だったと思います。(ちなみに、私自身もあの三連カッティングをしながら、このメロディを歌うことができます。私に出来るくらいですから、ましてジョンでしたら!)

真相はもっと単純なことではないかと考えています。デビュー以前において、デッカ・レコードのオーディション時も、あるいはBBCラジオ出演時の演奏においても、ジョン、ポール、ジョージの歌う楽曲は比較的三人均等にあったのです。ところがデビュー以後は次第にオリジナル曲が多くなるに連れて、ジョージのボーカル・ナンバーが減ってきました。そのためにジョンは、ジョージのために「Do You Want To Know A Secret」「I’m Happy Just Dance With You」を作っているほどですね。
ポールの二重唱曲の下のメロディに関しては、恐らくジョンが、歌の出番の少なくなっているジョージに「お前が歌えよ、ジョージ」と言って譲ったのだと思いますよ。またそんな風に考えながら、この曲を聴く方が楽しいでしょう?

(B面の「Love Me Do」のことは以前も書いているために、今回は省略です。)
ビートルズ関連の話は、また別の日に!